おはようございます。医師の秋山です。
スギ花粉の飛散量の減少とともに花粉症患者さんが明らかに減ってきましたね。
このことからは、九州の方の多くが「スギ花粉症」であることが分かります。
患者さんから胃腸以外の貴重なお話を聴き、病気の流行をその場で知ることができることがかかりつけ医のメリットであると思っています。
今回は市販の「酸化マグネシウム便秘薬」について解説します。
酸化マグネシウム便秘薬(健栄)90錠 約1000円(税抜き)
用法・用量:成人 1日1回3~6錠(←用法・用量について、後で解説します)
効果:硬い便を軟らかくします。
向いている人:便意はあるが、便が硬くて出し切れない人。
便が硬くてお尻が切れたり、出血する人。
などに適しています。
日本人の便秘人口は約500万人と言われています。
福岡県の人口504万人とほぼ一緒です。
実際は申告していないだけで、もっと多くの方が便秘に困っていると思います。
このお薬がドラッグストアに出始めたのが1~2年前であり、便秘治療がご自身でできるようになりました。
これは画期的な出来事でした。
これまで長時間待合室で待たなければならない病院でしか処方してもらえなかったお薬が、ドラッグストアやネットでで簡単に入手できるようになったのです。
私の個人的な評価をすると、★4つです。
ご自身で便秘薬を入手できるので、多くの時間を節約することができるため高点数にしました。
★が1つ足りないのは、薬の量をご自身で調節することが難しいからです。
内服量が少なければ便の音沙汰がありませんし、多くなると下痢が止まりません。
用法・用量をもう一度見直してみてください。
1日1回で3~6錠です。
1錠が330mgですから、1回に1~2gのマグネシウムを飲むことになります。
これは、下痢が止まらなくなる可能性が大いにあると思います。
私のおススメは、この内服量で1日2~3回に分けることです。
またご高齢の方では腎機能障害を考慮した方がよいので1日1回1錠で開始し、少しずつ増量していくことをお勧めします。
ご自身でマグネシウムが入手できる良い時代となりました。
でもこのことから分かる背景があります。
私は「便秘は自分で治してください」という暗示ではないかと感じています。
これは、病院が医療を放棄しているからではありません。
「便秘薬の量のさじ加減は、患者さん自身にしか分からない」からです。
時には風邪を引いて、抗生剤を飲むことがあるでしょう(ちなみにカゼに抗生剤は効果がありません)。
便秘の方は抗生剤を服用すると胃腸内環境は、いとも簡単に崩れてしまいます。
胃腸内環境が崩れた時に医師に決められた用量・用法を守っていると、しばらく下痢に苦しむことになります。
このときは、マグネシウムを一度中止すればOKです。
下痢が治まったら、その時点から再開すればよいのです。
他の疾患は、医師の決めた用法・用量を守っていただきたいのですが、便秘薬だけは「ご自身で上手く適当に調節する」ことがよいでしょう。
驚くかもしれませんが、「患者さんの便秘治療についてあまり興味がない先生が多い」のです。
「便秘に関しては、ご自身の身体は自らで守りましょう」
便秘治療は今後、次第に個々人の判断に委ねられるようになってくるのではないか、と思います。
お時間がありましたら、以下のブログや便秘外来の紹介動画も参考になさってください。