一般診療
GENERAL PRACTICE

下痢症

大腸に関する項目
有形便(いわゆるバナナうんち)の水分量は70%ですが、下痢便は90%以上が水分となっています。
「下痢症」は、腸が吸収する水分量が減ったことにより、便に混じっている水分が増えるために起こります。この「下痢症」が起こるには何らかの原因が存在します。
自己判断で様子を見ずに消化器内科を受診して、その原因を調べてもらいましょう。
どういった疾患が疑われるかについて解説します。

下痢症はどうして起こるのですか?

下痢症は、便の中の水分量が増えることで起こります。1日で約10Lもの水分が腸内を通過しますが、便に混じっている水分は約100ml程度です。つまり、ほとんどの水分が腸で吸収されています。
腸は絶えず「蠕動運動」をしており、これにより腸の内容物を肛門まで送ります。この内容物が腸を通過するときにほとんどの水分が腸で吸収され、有形便となっていくのです。
この「蠕動運動」が活発になりすぎると、腸の内容物が急速に腸を通過するため水分の吸収が不十分となり、下痢便になります。
また、腸から体内への水分の吸収が障害され、不十分となった時や、腸からの水分の分泌が増えても下痢便になります。

下痢症の便の性状について

・便の色は黄色であるが、泥状から水様便
・便に真っ赤な血液が混じっている
・便が黒っぽい
・便に粘液が混じっている
・便が白い液状である

便の性状については、人により個人差がかなりあります。
この病気の症状はこうで無いといけないというものはありません。あくまでも上記の具体例は、症状の一例です。
診察時に便の性状をそのままご自身の言葉で伝えて頂くのが最も大切です。また、診察時には
「いつから、どれくらいその下痢便が続いているか」
「1日何回その下痢便が出るのか」
もお伝え下さい。

下痢症の原因(考えられる病気)について

基礎疾患

糖尿病、慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、パーキンソン病、精神疾患などの基礎疾患の悪化の症状として下痢を認めることがあります。

内服中のお薬

解熱鎮痛剤、降圧剤、胃薬など、薬の副作用として下痢を認めることがあります。

その他の原因としては、下記のようなものが考えられます。

感染性腸炎

細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などの微生物が原因となって引き起こされる腸の炎症です。
これらの微生物が腸の粘膜に入ったり、腸内で毒素を産生することで症状を起こします。感染経路としては、
①食べ物や水分を介する
②ヒトからヒトへ接触感染
③動物から感染 などが考えられます。

過敏性腸症候群

ストレスなどが原因で、腸の蠕動運動に異常が起こり、お腹の痛みを伴う慢性的な下痢や便秘などの便通異常を引き起こす病気です。特に便秘を引き起こすタイプが「お腹の張り」を感じることが多いです。

大腸がん

大腸がんとは、大腸にできた「悪性のできもの」のことです。「大腸がん」がどこまで深く到達しているかによって、「早期がん」と「進行がん」に分けられます。具体的に説明すると、大腸の筋肉(筋層と言います)まで到達すると「進行がん」となります。「進行がん」になると、周囲の臓器やリンパ節に転移する確率が非常に高くなり、生命予後に大きく関係してきます。

炎症性腸疾患

人間の免疫機構が何らかの原因で異常となり、自分の免疫力で自分の大腸を攻撃することにより、大腸に炎症を起こしてしまう病気のことです。潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類が存在します。症状としては、腹痛、下痢、血便などです。どちらも若い方に発症することが多いです。

下痢症状が出たらどうしたら良いの?

症状がある場合は、絶対に放置せず必ず消化器内科を受診しましょう。
自分で判断し、様子をみるのは大変危険です!!
これらの症状は、胃や腸などのおなかに問題があるときに出現しやすい症状ですが、それ以外にも様々な全身の病気で出現する症状です。このため、必ずしも胃や腸などのお腹が原因とは限りません。基礎疾患の悪化や内服中のお薬の副作用による症状の可能性もあります。基礎疾患に関しては、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
基礎疾患の悪化や薬の副作用でない場合は、大腸がんや炎症性腸疾患などの消化器疾患が隠れている場合もあります。その場合は、まずはおなかに病気が隠れていないかを消化器内科を受診して調べてもらいましょう。
おなかに原因がない場合は、他の疾患の可能性も考えましょう。特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や痛みや発熱などの他の症状を伴う場合は、早急に病院を受診しましょう。

当クリニックの内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、診断の為には、内視鏡検査での原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様からら検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることが無いよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

今、下痢があり、悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために消化器内科を受診し、診察の上、必要な検査を受けましょう。
下痢がみられる病気は非常にたくさんあります。
基礎疾患がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて胃や腸などのおなかの検査も行いましょう。
自己判断や放置はせず、特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や痛みや発熱などの他の症状を伴う場合は、早急に病院を受診しましょう。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。