一般診療
GENERAL PRACTICE

のどがつまる・食べ物が下がっていかない

食道に関する項目
なんだか最近、「食べ物がのどや胸でつまる感じがする」や、「食べ物がのどや胸で引っかかって下がっていかない」というようなご経験はありませんか?
水を飲んだり、時間が経つと症状が改善するからといって安心したり、様子を見たりしていませんか?
これらの症状は、大きな固い食べ物をしっかり噛まずに丸呑みすることでも出ることがある症状ですが、食道に何か原因があり出ている症状の可能性もあります。
自己判断で様子を見ずに消化器内科を受診して、その原因を調べてもらいましょう。
どういった疾患が疑われるかについて解説します。

「のどがつまる」、「食べ物が下がっていかない」の症状の具体例について

  1. 食事中や食後に喉に何かがくっついているような違和感やつまっている感じある
  2. 食事が大きいと飲み込みにくい、のどや胸にひっかかる感じがある
  3. 食事中や食後に胸に食べ物がつまっているような感じがある
  4. 食事を飲み込んだ後に水を飲まないとのどや胸でつかえる感じや食べ物が下がっていかない感じがある
  5. 精神的なストレスを感じているときや冷めたい水などをとった時に食事や水分が胸でつかえる感じや食べ物が下がっていかない感じが出現しやすい
  6. 胸や背中に圧迫されるような痛みがある
  7. 食事を食べると胸でつかえる感じや下がっていかない感じがあり、その後吐いてしまう
  8. みぞおちが重苦しい感じがする
  9. ゲップが良く出る …など
症状の感じ方は、人により個人差がかなりあります。この病気の症状はこうで無いといけないというものはありません。あくまでも上記の具体例は、症状の一例です。
診察時にご自身がつらいと感じている症状をそのままご自身の言葉で伝えて頂くのが最も大切です。また、診察時には
「どういう時に症状が出現しやすいか」
「症状を軽くしたり悪化させるものがあるか(姿勢や食事、行動や朝・昼・夜の時間で症状が変わるかなど)」

もあればお伝えください。

「のどがつまる」、「食べ物が下がっていかない」の原因(考えられる病気)について

逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)

胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜にびらんや潰瘍などの炎症を来す疾患です。胸やけ、呑酸症状の原因として最も多い疾患です。のどがつまる症状や食事が胸でつかえるような症状も出ることがあります。炎症がひどい場合は出血を来すこともあります。
胃内視鏡検査(胃カメラ)で食道粘膜の炎症を確認することで診断します。

非びらん性胃食道逆流症

次の2つに分類されますが、いずれもストレスや不安、不眠などが原因で胃内視鏡検査(胃カメラ)を行っても食道粘膜には炎症を認めません。

1)機能性胸やけ

食道への胃酸逆流が無いにもかかわらず、胸やけ症状を認める疾患です。ストレスや不安による食道の知覚過敏に加え、食道の動きが過剰に強くなっていることが原因と言われています。のどがつまる症状や食事が胸でつかえるような症状も出ることがあります。

2)逆流性知覚過敏

胃酸の逆流は少量でも繰り返されることで食道粘膜が知覚過敏になり、少量の胃酸の逆流でも強い症状を感じる状態です。のどがつまる症状や食事が胸でつかえるような症状も出ることがあります。

機能性ディスペプシア(FD:functional dyspepsia、機能性胃腸症)

症状の原因となる器質的疾患が無いにもかかわらず、3ヶ月以上継続する食後のもたれ感、胃が痛い、むかつきなどの症状が続き、日常生活に影響を来す疾患です。のどがつまる症状や食事が胸でつかえるような症状も出ることがあります。ストレスや不安などによる胃の知覚過敏と胃の運動機能障害が原因と言われています。

カンジダ食道炎

喘息に対するステロイド吸入剤や慢性的な酸逆流が原因で食道粘膜に真菌感染による食道炎を来す疾患です。胸やけや胸あたりの違和感、食事がつかえる・下がっていないなどの症状を感じることがあります。のどがつまる症状も出ることもあります。

ウイルス性食道炎(サイトメガロウイルス食道炎、ヘルペスウイルス食道炎)

慢性炎症や免疫力の低下があるとサイトメガロウイルスやヘルペスウイルスによる食道炎を来すことがあります。逆流性食道炎と同様に胸やけや胸あたりの違和感、食事がつかえる・下がっていないなどの症状を感じることがあります。のどがつまる症状も出ることもあります。

食道アカラシア

食道下部の筋層内の神経の異常が原因で食道の運動障害や食道と胃のつながり目の弛緩不全(しまりが強い)を来します。食べ物が通過しづらくなったり、食道が広がってしまって、のどや胸のつかえ感や嘔吐が主な症状としてでてきます。胸やけ、呑酸、胸部不快感も認めることもありますが、食事がのどや胸でつかえる・下がっていないなどの症状が中心です。
また、精神的なストレスを感じているときや冷めたい水などをとった時に症状が悪化しやすいのも特徴です。

薬剤性食道炎

十分な水分を摂取せずに薬を服用すると薬剤が食道に停滞し食道炎を来すことがあります。テトラサイクリン系の抗菌薬、抗炎症薬、カリウム製剤、キニジン、ビスホスホネート製剤などが原因になりやすいと言われています。ひどくなると食道炎から食道潰瘍になることもあり、胸のあたりに痛みが強くでることもあります。胸やけや胸あたりの違和感、食事がのどや胸でつかえる・下がっていないなどの症状を感じることもあります。

好酸球性食道炎

食事などが原因で食道に慢性的なアレルギー性の食道炎を来す疾患です。胸やけやゲップという症状がでることは少ないですが、胸あたりのモヤモヤとした嫌な感じがでることや胸やけや胸あたりの違和感、食事がのどや胸でつかえる・下がっていないなどの症状を感じることがあります。

進行食道がん

進行食道がんは、食道の空間を狭めるため、食事摂取時のつかえ感や胸やけ症状、胸痛などの症状が出現します。習慣的に飲酒や喫煙、熱い飲み物を摂取する方は食道がんになりやすいと言われています。心窩部痛(胃痛・みぞおちの痛み)や出血の原因となることもあります。食道がんは咽頭がんとリスクファクターが同じであり食道がんがある場合は、咽頭がんも合併していることも比較的多くみられます。咽頭がんがある場合は、のどがつまる症状も出ることもあります。

バレット食道がん(食道胃接合部がん)

食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部に胃酸逆流による炎症が長年続くと、がんが出来ることがあります。胃酸の逆流が続くことにより逆流性食道炎と同様に胸やけやゲップ、胸あたりの不快感を時々感じることがあります。また、食事がのどや胸でつかえる・下がっていないなどの症状を感じることや心窩部痛(胃痛・みぞおちの痛み)や出血の原因となることもあります。

進行胃がん

進行胃がんが原因で胃の通過障害が出現したり、スキルス胃癌により胃が膨らむことが出来なくなると胃の内容物が食道に逆流しやすくなります。食事をした後に胃酸や食べ物が逆流することにより逆流性食道炎を起こすと、それにより胸やけや胸あたりのモヤモヤした嫌な感じがでることや食事がのどや胸でつかえる・下がっていないなどの症状を感じることがあります。心窩部痛(胃痛・みぞおちの痛み)や出血の原因となることもあります。

咽頭がん

早期の咽頭がんはほとんど症状がありませんが、進行すると食事中や食後に喉に何かがくっついているような違和感やつまっている感じが出現することがあります。食道がんと同じく習慣的に飲酒や喫煙、熱い飲み物を摂取する方は咽頭がんになりやすいと言われています。咽頭がんがある場合は、食道がんも合併していることも比較的多くみられます。

咽喉頭異常感症

ストレスが原因で食道やのどの粘膜が知覚過敏の状態を来すことにより、咽頭、喉頭や食道自体には炎症や腫瘍などの異常はないにもかかわらず、のどがつまる感じやのどの違和感、のどの異物感、食道のつまる感じ、食べ物がひっかかるような感覚が出現する状態です。胃内視鏡検査(胃カメラ)をうけても何も異常が無い場合に診断されます。
検査で異常が無いことが分かるとそれだけで改善することも多くあります。

虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

階段を登ったり、小走りした時など動いたときに胸が重苦しい症状やつかえる感じが出現するが、休むと数分で改善する場合は、食道や胃ではなく心臓に問題がある場合もあります。

「のどがつまる」、「食べ物が下がっていかない」の症状が出たらどうすれば良いの?

症状がある場合は、絶対に放置せず必ず消化器内科を受診しましょう。自分で判断し、様子をみるのは大変危険です!!
食道がんや胃がんが隠れている場合があるだけでなく、逆流性食道炎、好酸球性食道炎や食道アカラシアといった治療が必要な疾患が原因のこともあります。
特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や急に体重が減少している場合やどんどん症状が悪化している場合は、早急に受診しましょう。

当クリニックの内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、診断の為には、内視鏡検査での原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様からら検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることが無いよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

今、「のどがつまる」、「食べ物が下がっていかない」の症状があり、悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために検査を受けましょう。
胸やけ・呑酸・胸部不快感がみられる病気はいくつかありますが、「ただの胃酸逆流だと自分自身で思い様子を見ていたが、症状がひどくなったので、気になって検査したところ、実は食道がんや胃がんが原因だった・・・」などというケースもあります。自己判断はとても危険です。
自己判断や放置はせず、下記のような症状が出ている方は、是非、お早目に胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう。
  1. 食事中や食後に喉に何かがくっついているような違和感やつまっている感じがある
  2. 食事が大きいと飲み込みにくい、のどや胸にひっかかる感じがある
  3. 食事中や食後に胸に食べ物がつまっているような感じがある
  4. 食事を飲み込んだ後に水を飲まないとのどや胸でつかえる感じや食べ物が下がっていかない感じがある
  5. 精神的なストレスを感じているときや冷めたい水などをとった時に食事や水分が胸でつかえる感じや食べ物が下がっていかない感じが出現しやすい
  6. 胸や背中に圧迫されるような痛みがある
  7. 食事を食べると胸でつかえる感じや下がっていかない感じがあり、その後吐いてしまう
  8. みぞおちが重苦しい感じがする
  9. ゲップが良く出る …など

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。