一般診療
GENERAL PRACTICE

虚血性腸炎、虚血性大腸炎

大腸に関する項目
突然の腹痛、下痢、血便で血の気が引くような思いをされたことありませんか?
それはもしかしたら虚血性腸炎かもしれません。症状だけで判断すると、大腸がんとよく似ています。
ここでは虚血性腸炎を解説します。

虚血性腸炎とは?

「虚血」とは、「血液が行き届いていないこと」を意味します。
つまり、虚血性腸炎(大腸炎)とは、なんらかの原因により、大腸に血液が行き届いていないことで大腸内に炎症やびらん、ひどい場合は潰瘍を起こす病気のことです。
左側の大腸に起こりやすいのが特徴です。

虚血性腸炎の原因

次の2つが同時に起こることにより発症すると言われています。

A. なんらかの原因で大腸を栄養している血液の流れが悪くなり、大腸に血液が行き届かなくなる。
B. 便秘などにより大腸内の腸管内圧が上昇する。

特に、左側大腸(下行結腸、S状結腸)に発症しやすいと言われています。これは、左側大腸を栄養している血管(下腸間膜動脈)が、枝分かれが少なく血管同士の交通が非常に少ないため、血流障害をきたしやすいためです。

虚血性腸炎の症状

虚血性腸炎の3大症状は、突然発症する
「腹痛」、「下痢」、「血便」です。

典型的な症状の例としては、「突然の左下腹部痛が出現し、トイレに駆け込むと下痢をする、何回も下痢をするうちに真っ赤な血便が出るようになる」です。

虚血性腸炎の診断、検査

詳細な問診により3大症状を聞き取ることで、虚血性大腸炎を強く疑います。
その後、腹部CT検査や大腸カメラ検査で診断することが可能です。

腹部CT検査では、下行結腸からS状結腸にかけての浮腫状変化や腸管周囲への炎症波及変化を認めます。
大腸カメラ検査では、下行結腸からS状結腸にかけて線状のびらん、潰瘍、出血などを認めます。
症状が出現してすぐ(急性期)は、腹痛が強いため、症状が落ち着いてから大腸カメラ検査を行うことが多いです。
虚血性腸炎の内視鏡写真です。S状結腸に線状の発赤、びらんを認めます。

虚血性腸炎の鑑別診断

大腸がん

大腸がんとは、大腸にできた「悪性のできもの」のことです。「大腸がん」がどこまで深く到達しているかによって、「早期がん」と「進行がん」に分けられます。具体的に説明すると、大腸の筋肉(筋層と言います)まで到達すると「進行がん」となります。「進行がん」になると、周囲の臓器やリンパ節に転移する確率が非常に高くなり、生命予後に大きく関係してきます。

炎症性腸疾患

人間の免疫機構が何らかの原因で異常となり、自分の免疫力で自分の大腸を攻撃することにより、大腸に炎症を起こしてしまう病気のことです。潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類が存在します。症状としては、腹痛、下痢、血便などです。どちらも若い方に発症することが多いです。
主に内服薬で治療を行います。自覚症状が改善しても治療は続ける必要があり、長期的に治療を行なっていく必要があります。

感染性腸炎

主に食べ物から細菌やウイルスが感染します。発熱、腹痛や下痢が主症状です。腸管出血性大腸菌、カンピロバクターなどの食中毒による腸炎では血便が生じることがあります。

虚血性腸炎の治療

基本的には水分補給や腸管の安静などの保存療法で改善します。腹痛が軽減し、血便の色が薄くなってきたら改善しているサインです。また、整腸剤などの内服薬を飲むこともあります。

症状が強い場合は入院の上、点滴にて治療を行う場合もあります。

当クリニックの内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、診断の為には、内視鏡検査での原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様からら検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることが無いよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

今、腹痛、下痢、血便があり、心配で悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために消化器内科を受診し、診察の上、必要な検査を受けましょう。
腹痛、下痢、血便がみられる病気は非常にたくさんあります。
基礎疾患がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて胃や腸などのおなかの検査も行いましょう。
腹痛、下痢、血便があるのに放置していると、重大な病気が潜んでいた場合、取り返しのつかないことになってしまいます。自己判断や放置はせず、上記のような症状が出ている方はぜひお早目に消化器内科を受診して、消化器病専門医の診察を受けてください。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。