一般診療
GENERAL PRACTICE

お腹の張り・ガス貯留

大腸に関する項目
お腹の張りや、お腹にガスが溜まっているような症状は、身近な症状の一つです。お腹の張りで悩んでいる方の7割が、深刻な症状であると感じているようです。
これらの症状は、お腹にガスが過剰に溜まることで出現しやすいですが、お腹にガスが溜まるには何か原因があります。
自己判断で様子を見ずに消化器内科を受診して、その原因を調べてもらいましょう。
どういった疾患が疑われるかについて解説します。

お腹のガスって何ですか?

「お腹のガス」のもとですが、主に2つからなります。

口から飲み込んだ空気

食事の時に飲み込むことが多いですが、緊張している時、ストレスを感じている時に多量に空気を飲み込んでしまう場合があります。これを呑気症と言います。

腸内細菌から出るガス

腸内細菌が、食べ物を分解するときに産生します。腸内細菌のバランスが悪く、悪玉菌優位となっている場合、多量のガスが産生されます。
これらが多量に腸管内に溜まると「お腹の張り」を感じてしまいます。

お腹の張り・ガス貯留の具体例について

  • お腹が張って苦しい
  • お腹が張って痛みがある
  • ぐるぐるとお腹が鳴り、おならが出そうで出ない
  • 食べたらお腹が張るため、食欲がなくなっている …など
症状の感じ方は、人により個人差がかなりあります。この病気の症状はこうでないといけないというものはありません。あくまでも上記の具体例は、症状の一例です。
診察時にご自身がつらいと感じている症状をそのままご自身の言葉で伝えて頂くのが最も大切です。また、診察時には、
  • 「どういう時に症状が出現しやすいか」
  • 「症状を軽くしたり、悪化させるものがあるか」
  • 「お腹の張り以外に、体のどこかに痛みを伴うか」
  • 「女性の場合は妊娠の可能性はないか」
  • 「内服中の薬剤」
などもお伝えください。

「お腹の張り・ガス貯留」から考えられる病気について

「お腹の張り」から考えられる病気は、お腹が大きく膨らんでいるかどうかで変わります。それぞれの病気は以下のようになります。

お腹が膨らんでいない場合

疾患 過敏性腸症候群

ストレスなどが原因で、腸の蠕動運動に異常が起こり、お腹の痛みを伴う慢性的な下痢や便秘などの便通異常を引き起こす病気です。特に便秘を引き起こすタイプが「お腹の張り」を感じることが多いです。

疾患 機能性ディスペプシア

胃の痛み、胃もたれ、胃のむかつきなど自覚症状はあるのですが、原因となる異常が見つからない疾患です。お腹の張りの他に腹痛、胸焼けなどの症状が出現することがあります。

疾患 炎症性腸疾患

人間の免疫機構が何らかの原因で異常となり、自分の免疫力で自分の大腸を攻撃することにより、大腸に炎症を起こしてしまう病気のことです。潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類が存在します。症状としては、腹痛、下痢、血便などです。どちらも若い方に発症することが多いです。
主に内服薬で治療を行います。自覚症状が改善しても治療は続ける必要があり、長期的に治療を行なっていく必要があります。

症例 薬物

何かの疾患にかかっている人の場合は、治療のために服用している薬の副作用として、「お腹の張り」を感じることがあります。「お腹の張り」を感じる代表的な薬としては、精神科の薬や糖尿病の薬などです。

お腹が大きく膨らんでいる場合

疾患 大腸がん

大腸がんとは、大腸にできた「悪性のできもの」のことです。「大腸がん」がどこまで深く到達しているかによって、「早期がん」と「進行がん」に分けられます。具体的に説明すると、大腸の筋肉(筋層と言います)まで到達すると「進行がん」となります。「進行がん」になると、周囲の臓器やリンパ節に転移する確率が非常に高くなり、生命予後に大きく関係してきます。

疾患 腸閉塞

腸がねじれたり、腸管内に便やできものなどがあり、通過障害を認めることにより、便にガスが溜まり、腹痛やお腹の張り、ひどくなると吐き気や嘔吐などを引き起こします。

疾患 巨大結腸症

大腸の蠕動運動をコントロールする神経が機能しなくなり、これが原因で便通が滞り、大腸が異常に大きく広がってしまう疾患のことです。

疾患 心不全

心臓の機能が悪くなり、全身に血液が送り出せなくなります。これにより水分が体内に溜まると、足がむくんだり、腹水が溜まり、大腸の動きが悪くなり、「お腹の張り」を感じてしまいます。

「お腹の張り」を予防するにはどうしたらいいですか?

  • 規則正しい生活をすることです。1日3食をしっかりと食べ、早寝早起きを心がけます。規則正しい生活をすることで、自律神経の活動を整えることができ、大腸の蠕動運動が活発になり、便秘や過敏性腸症候群の改善を促します。
  • 適度な運動をすることです。目安としては、1日30分以上の早歩きをしましょう。適度な運動は大腸に刺激を与え、ストレスの解消にもなります。
  • 腸内細菌のバランスを整えるために、乳酸菌やビフィズス菌が入った食品を摂取したり、整腸剤の内服を行います。これにより腸内細菌が善玉菌優位になり、腹部膨満感の改善につなげることができます。

当クリニックの内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、診断の為には、内視鏡検査での原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様からら検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることが無いよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

「お腹の張り」や「ガス貯留」があり、悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために消化器内科を受診し、診察の上、必要な検査を受けましょう。
「お腹の張り」や「ガス貯留」がみられる病気は非常にたくさんあります。
基礎疾患がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて胃や腸などのおなかの検査も行いましょう。
自己判断や放置はせず、特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や痛みや発熱などの他の症状を伴う場合は、早急に病院を受診しましょう。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。