一般診療
GENERAL PRACTICE

お腹の症状に対する漢方薬の効果

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私達が病院で診察を受け、検査を行って原因を突き止め、それに合った薬を処方してもらうという一連の流れは、いわゆる「西洋医学」の立場から成り立っています。
それに対し、漢方薬などのいわゆる「東洋医学」は、はっきりした原因が分からない慢性的な不調や症状に対して力を発揮します。
当院ではこの「西洋医学」と漢方薬を用いて患者様にベストが治療を行なっています。

漢方薬とはどんな薬ですか?

漢方薬は、植物などで作られた生薬を、種類組み合わせて作られたお薬です。
先人達が長い年月をかけて経験した治療を元に、どの生薬を組み合わせるとどんな症状に効果があるのか、ということが研究され、漢方薬は作られました。
現在、病院で処方可能な漢方薬は、148種類あります。これらの漢方薬は、「医療用漢方製剤」と呼ばれ、厚生労働省から認可を受けた医療用医薬品です。もちろん、保険適用となります。

診察から漢方薬処方までの流れ

A.まずは詳細な問診を行います。
B.触診、聴診といった診察を丁寧に行います。
C.患者様の症状に合った漢方薬を処方します。
A→Cの流れで初診料、処方料合わせて3割負担で1200円程度になります。

その後薬局でお薬代を払うのですが、保険適用されている漢方薬はどれも安価であり、高くても1包30円程度です。1日3包内服しても1日90円ですので、3割負担だと1日30円程度となります。以上より、漢方薬は経済的な薬だと言えますね。

お腹の症状に効く漢方薬は?

症状別に効果のある代表的な漢方薬をまとめました。それぞれの漢方薬に一言コメントを入れていますのでご参考にされてください。

症例 喉や食道に痛みや異物感がある

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

喉や食道に異物感がある、喉が塞がる感じ、せきがでる、しわがれた声が出る
「喉の症状といえばまずこの漢方薬を使用することが多いです。」

茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)

喉や食道に異物感がある、悪心、嘔気、胸焼け、胃部膨満感
「喉の症状に胃の症状が合併している時に使用します。」

柴朴湯(さいぼくとう)

喉や食道に異物感がある、咳嗽、喘鳴、悪心、嘔気
「喉の症状に咳嗽などの呼吸器症状を合併している時に有効です。」

症例 食欲がない、全身倦怠感

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

食欲不振、全身倦怠感、消化機能が衰えた虚弱体質、術前術後の衰弱
「胃腸の働きを整え、元気を補う薬です。読んで字のごとくです。」

六君子湯(りっくんしとう)

食欲不振、胃腸機能の低下、みぞおちのつかえ、疲れやすい、手足や冷えやすい
「食欲増進作用があることで有名です。消化器内科医が好んでよく処方します。」

清暑益気湯(せいしょえっきとう)

暑さなどによる食欲不振、全身倦怠感、夏痩せ、下痢
「いわゆる夏バテに効果のある薬です。」

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

疲れやすい、全身倦怠感、食欲不振、体力がない、寝汗
「気力と体力を補う薬です。特に術後の体力低下、産後の体力低下に効果があります。」

症例 胃の痛み、胃の不調

六君子湯(りっくんしとう)

胃腸が弱い、胃痛、みぞおちがつかえる、疲れやすい
「食欲増進作用があることで有名です。好んでよく処方されます。」

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

胸焼け、みぞおちがつかえる、消化不良、悪心、嘔吐、腹鳴、下痢
「ストレス性の胃腸症状に使う薬です。これも好んでよく処方されます。」

安中散(あんちゅうさん)

胸焼け、胃酸過多、胃痛、慢性的な胃の不調、悪心、嘔吐、食欲不振
「ストレス性の胃炎で用いられる薬です。市販の漢方胃腸薬はこれがベースです。」

人参湯(にんじんとう)

胃腸全般に効果あり。悪心、嘔吐、胃痛、胃の不調、下腹部痛
「食欲がない高齢者、術後で体力が低下した人に有効です。」

平胃散(へいいさん)

消化不良をともなう胃もたれ、悪心、嘔吐、食欲不振
「食べ過ぎて胃もたれする時に非常に有効な薬です。」

症例 お腹の張り、しぶり腹、腹痛

大建中湯(だいけんちゅうとう)

お腹が冷えて痛みがある、腹痛、お腹が張る
「血流を良くしてお腹を温め、胃腸の働きを活発にします。服用量が多いです。」

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

腹痛、しぶり腹、お腹が張る、軽い便秘や下痢
「過敏性腸症候群の症状に有効と言われています。」

桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)

お腹の張り、しぶり腹、腹痛、急性腸炎、下痢、便秘
「普段から便秘がちで、それに伴うお腹の張り、腹痛に効果があります。」

症例 便秘

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)

常習便秘、お腹の張り
「代表的な便秘薬です。幅広い年代で使われていますが常習性があるため注意が必要。」

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

便秘、下腹部痛、腰痛
「体力のある若者向けの薬です。大黄、甘草共に含まれており、常習性があります。」

麻子仁丸(ましにんがん)

便秘、腹痛、お腹の張り
「体力のない高齢者向けの薬です。ウサギの糞のようなコロコロ便に有効です。」

潤腸湯(じゅんちょうとう)

便秘、お腹の張り
「これも高齢者向けで、コロコロ便に効果があります。即効性はありません。」

症例 下痢

五苓散(ごれいさん)

下痢、悪心、嘔吐、急性胃腸炎
「下痢だけでなく、熱中症などの脱水にも効果がある優れものです。二日酔いにも効果があります。」

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

下痢、消化不良、腹鳴
「ストレス性の下痢に効果的です。」

啓脾湯(けいひとう)

下痢、消化不良、食欲不振
「痩せ型で体力が低下した方の下痢に効果的です。」

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

下痢、お腹が張る、しぶり腹
「過敏性腸症候群の症状に有効と言われています。」

お腹の症状で困っている方へ

当院ではまずお腹の症状に対して詳細な問診を行い、症状の原因を探っていきます。必要に応じて適切な検査を行い、治療まで行っていきますので一度当院にご相談ください。

平島 徹朗医師

国立佐賀大学医学部 卒業。
大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。