一般診療
GENERAL PRACTICE

慢性胃炎

胃に関する項目
慢性胃炎

慢性胃炎って何ですか?

胃は飲食物を消化吸収する臓器のため、食べたもので粘膜がこすれたり、消化するために分泌される胃酸で刺激されたりと常に強い外部からの刺激を受け続けています。
また、さまざまな外因性因子(塩分の多い食事をよく食べるなどの食生活や喫煙、衛生環境、ヘリコバクター・ピロリ菌感染など)や内因性因子(遺伝的要素、宿主の免疫応答、人種差、加齢など)などの影響も受けて、胃粘膜は炎症や萎縮(胃の老化現象)を起こします。
このように胃は常に様々な刺激を受けるという特殊な環境下にあります。このため、胃粘膜は自身をこの刺激から守るために粘液を産生する機能や傷ついた上皮を再生修復する機能を持っています。
胃粘膜が受けた刺激による炎症が限局的で一時的な場合は、この保護機能により傷ついた胃粘膜はすぐに再生修復されます。しかし、さまざまな刺激が影響した結果、炎症が胃粘膜の持つ保護機能を上回り長期間持続することになったものが慢性胃炎です。

慢性胃炎の原因って何ですか?

慢性胃炎の原因として最も多いものは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染です。慢性胃炎の80%以上がヘリコバクター・ピロリ菌感染によるものと言われています
また、胃酸分泌を司るプロトンポンプ(H/K-ATPase)に対して自己免疫反応を起こすことが原因で起こる慢性胃炎もあります。この慢性胃炎は自己免疫性胃炎(A型胃炎)とも呼ばれます。

慢性胃炎にはどんな症状があるの?

慢性胃炎にだけみられる特別な症状はありません
慢性胃炎でみられる主な症状は、胃もたれ、胃痛、吐き気、胸やけなどの症状で逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍などでもみられるのと同じような症状です。

慢性胃炎はどうやって診断するの?

慢性胃炎の診断には、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)での胃粘膜の炎症の有無の評価と病理組織学的な評価が必要です。病理組織学的評価をするためには、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)時に胃粘膜の組織を一部採取する必要があります。
慢性胃炎と診断するために最も必要な検査は、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)です
胃もたれ、胃痛、吐き気、胸やけなどの症状がある場合は、薬の内服で様子を見るのでは無く、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を受けて逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍など症状の原因となる病気が無いかを調べるだけで無く、慢性胃炎が無いかも調べることをお勧め致します。

胃カメラ検査(胃内視鏡検査)で慢性胃炎を診断する際に私たち内視鏡専門医が参考にしている内視鏡所見(基準)が「胃炎の京都分類」です。
胃炎の京都分類」はヘリコバクター・ピロリ菌感染により胃粘膜に出てくる変化(内視鏡所見)をもとに診断する基準です。
胃粘膜は、ヘリコバクター・ピロリ菌感染を起こしたことの無い状態(未感染)、現在ヘリコバクター・ピロリ菌感染を起こしている状態(現感染)、過去にヘリコバクター・ピロリ菌感染を起こしていた状態(既感染)でそれぞれ異なる内視鏡所見を認めます。
「胃炎の京都分類」では、このピロリ菌感染の状況に応じて認められる胃粘膜の特徴的な変化を内視鏡的に捉えて慢性胃炎を診断します。

)ヘリコバクター・ピロリ菌未感染の胃粘膜で認める内視鏡所見

前庭部および胃体部の稜線状発赤、隆起型びらん、ヘマチン付着、胃底腺ポリープなど
ヘリコバクター・ピロリ未感染の胃前庭部および体部の稜線状発赤
ヘリコバクター・ピロリ未感染の胃前庭部の隆起型びらん
ヘリコバクター・ピロリ未感染の胃前庭部のヘマチン付着

ヘリコバクター・ピロリ菌現感染の胃粘膜で認められる内視鏡所見

萎縮性胃炎、鳥肌胃炎、腸上皮化生、皺襞肥大・蛇行など
ヘリコバクター・ピロリ現感染の萎縮性胃炎
ヘリコバクター・ピロリ現感染の萎縮性胃炎
ヘリコバクター・ピロリ現感染の鳥肌胃炎
ヘリコバクター・ピロリ現感染の腸上皮化生
ヘリコバクター・ピロリ現感染の皺襞腫大・蛇行

ヘリコバクター・ピロリ菌既感染の胃粘膜で認められる内視鏡所見

地図状発赤、萎縮境界の不明瞭化など
ヘリコバクター・ピロリ除菌後の胃体部の地図状発赤

慢性胃炎はどうやって治療するの?

慢性胃炎のほとんどは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染によるものです。
内視鏡検査を行い、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が原因と診断された場合は、内服によるピロリ菌の除菌治療を行います。詳しくは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症のページを参考にしてください。
自己免疫性胃炎(A型胃炎)が原因の慢性胃炎は、残念ながら現時点では根本的な治療方法はありません。自己免疫性胃炎は、貧血の原因となるため、鉄剤投与、ビタミンB12の補充による貧血の治療を行い、定期的な胃カメラ検査(胃内視鏡検査)による経過観察を行います。

福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院の胃カメラ検査(胃内視鏡検査)の特徴

胃もたれ、胃痛、吐き気、胸やけなどの症状がある場合は、薬の内服で様子を見るのでは無く、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)を受けて逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍など症状の原因となる病気が無いかを調べるだけで無く、慢性胃炎が無いかも調べることをお勧め致します。
症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、胃や腸に症状の原因がないかを診断する為には、内視鏡検査などでの原因検索が必要です。
福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様から検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることがないよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。