一般診療
GENERAL PRACTICE

潰瘍性大腸炎について

大腸に関する項目
最近、だらだらと腹痛や血便、粘血便が続く方いらっしゃいませんか?もしかしたらその症状は潰瘍性大腸炎かもしれません。

それでは、潰瘍性大腸炎について解説します。

潰瘍性大腸炎はどういうものですか?

潰瘍性大腸炎は、文字通り、大腸にびらんや潰瘍ができる、慢性の炎症性疾患です。指定難病の1つとなっています。
写真のように、大腸の粘膜層(最も内側の層)にのみ炎症が起こりますので、炎症によって大腸が狭窄することはありません。病変部は直腸から連続性に口側に広がります。
具体的に以下のように分類されます。

炎症の範囲により、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型に分類
臨床症状により、軽症、中等症、重症に分類
臨床経過により、初回発作型、再燃寛解型、慢性持続型、急性劇症型

20代〜30代に多いと言われていますが、最近では、どの年代でも発症します。
1,000人に1人の罹患率であり、男女差はありません。

潰瘍性大腸炎の原因

我々の免疫力は7割が腸から作られているのですが、この病気は、なぜか自分の大腸を敵だと誤って認識していまい、自分の大腸をチクチクと攻撃することで発症すると言われています。
ただ、煙草を吸っている人は発症しにくい、虫垂を切除している人は発症しにくい、といった報告もあり、原因が未だに完全に解明されていません。

潰瘍性大腸炎の症状

主症状は腹痛、下痢、血便です。このような症状を繰り返したり、改善したりが続きます。若年者に多いため、重篤な病気ではないだろうと自己判断して、精密検査を受けずに放置している方が多いです。重症化すると、命に関わることもあるので注意が必要です。

その他、症状がなく、便潜血陽性で大腸カメラ検査をして発見される方もいます。

潰瘍性大腸炎の診断法

繰り返す腹痛、下痢、血便より、潰瘍性大腸炎を疑います。
一番重要なのは、ウイルスや細菌などによる感染性腸炎を鑑別することです。
具体的には以下のように検査を進めます。

血液検査:白血球の上昇や、炎症反応(CRPや血沈)の上昇がないかどうかを確認します。
便培養:感染症の有無を確認します。
大腸内視鏡検査:大腸粘膜の炎症の状態(びらん、潰瘍など)を確認し、その炎症がどこまで広がっているかを把握します。さらに、炎症部位から生検を採取し、病理組織診断を行います。
潰瘍性大腸炎の特徴的な病理組織診断は以下です。

“活動期では、粘膜全層にびまん性炎症性細胞浸潤、陰窩膿瘍、高度な胚細胞減少が認められる。いずれも非特異的所見であるので、総合的に判断する。
寛解期では、腺の配列異常(蛇行、分岐)、萎縮が残存する。
上記変化は通常直腸から連続性に口側にみられる。“

潰瘍性大腸炎の治療

治療は内科的治療、外科的治療の2つに分けられます。

内科的治療

5-アミノサリチル酸製剤の内服が第一選択です。これでコントロール不良の場合、ステロイドホルモン治療を追加したり、生物学的製剤や免疫抑制剤の追加を行います。
その他、大腸の炎症の原因となっている白血球を取り除く白血球除去療法を追加することもあります。

外科的治療

上記のような内科的治療の効果がない場合、外科的治療として全大腸切除を行います。
基本的に、大腸を全て切除すると潰瘍性大腸炎は改善します。

当院の大腸内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、診断の為には、内視鏡検査での原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様から検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。
当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることが無いよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

今、繰り返す腹痛、下痢、血便があり、心配で悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために消化器内科を受診し、診察の上、必要な検査を受けましょう。腹痛、下痢、血便がみられる病気は非常にたくさんあります。
基礎疾患がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて胃や腸などのおなかの検査も行いましょう。
腹痛、下痢、血便があるのに放置していると、重大な病気が潜んでいた場合、取り返しのつかないことになってしまいます。自己判断や放置はせず、上記のような症状が出ている方はぜひお早目に消化器内科を受診して、消化器病専門医の診察を受けてください。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。