一般診療
GENERAL PRACTICE

食中毒

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突然の嘔気、嘔吐、発熱、頻回の水様下痢便が出現したら、それは食中毒かもしれません。場合によっては重症化し、命に関わることもある病気です。ここでは食中毒について解説します。

食中毒とは?

食中毒とは、細菌やウイルス、ふぐ毒などの有害物質がついた食べ物を食べることにより、腹痛、下痢、嘔気などの症状が出る病気のことです。
細菌による食中毒は、気温が高い夏に多く、ウイルスによる食中毒は、乾燥しがちな冬に多いです。
刺身を食べた後に発症することがあるアニサキスは寄生虫の仲間ですが、これも食中毒に含まれます。
日本では毎年15,000人ほどの食中毒患者がいますが、届けられていないものを含めると、その数倍もの患者がいるものと思われます。

食中毒の原因

細菌性

サルモネラ菌:加熱が不十分な卵、肉、魚が原因です。食後6時間〜3日で発症します。

黄色ブドウ球菌:ヒトの皮膚にいる常在菌で、手作業で作ったおにぎりなどが原因です。この菌が作る毒素が原因で、食後1時間から3時間で発症します。

カンピロバクター:加熱不十分な鶏肉、野菜、井戸水が原因です。食後1日~7日で発症します。

腸炎ビブリオ:刺身や寿司などの生の魚介類が原因です。食後8時間~1日で発症します。

腸管出血性大腸菌:加熱が不十分な牛肉や野菜が原因です。食後1日~10日で発症します。

ウェルシュ菌:時間が経過したカレーなどの煮込み料理が原因です。6~18時間で発症します。

ウイルス性

ノロウイルス:生ガキやウイルスに汚染された水が原因です。食後1日~2日で発症します。

ロタウイルス:二枚貝やウイルスに汚染された水が原因です。食後1日〜3日で発症します。

E型肝炎ウイルス:加熱不十分な豚肉やジビエ系肉が原因です。食後15日〜50日で発症します。

その他

アニサキス:アニサキスが付着した生魚の摂取が原因です。食後2時間〜8時間で発症します。
胃カメラ検査で発見されたアニサキスです。アニサキスを生検鉗子でつまんで除去します。

ふぐ毒:不完全に調理されたふぐの摂取が原因です。テトロドトキシンという猛毒で、有効な治療や解毒剤はありません。食後30分から3時間で発症します。

食中毒の症状

腹痛、下痢、嘔気、嘔吐が主な症状ですが、胃痛や発熱、血便などが出現することもあります。毒素による食中毒の場合、しびれや脱力感、めまい、呼吸障害などが出現することも多いです。
重症化したり、命に関わるような場合もあります。

食中毒の診断

食中毒を疑った時は、以下のような検査を行います。

血液検査、尿検査

食中毒の炎症の度合いや、肝機能、腎機能異常の有無、脱水症状の程度などを調べるために行います。

画像検査

発熱、腹痛、水様下痢便は、食中毒以外にも引き起こされます。このため、レントゲン検査やCT検査などで鑑別診断を行います。また、腸の炎症の度合いをある程度把握することができますので、重症度判定を行うことができます。

便培養検査

便の中に含まれているウイルスや細菌を調べ、病原菌を特定する検査です。食中毒の原因を調べるために非常に有用な検査となります。

食中毒の治療

一般的には、症状に対する対処療法が中心となります。主に水様下痢便のコントロールと、それに伴う脱水を改善させることが目的です。

ウイルス性腸炎については上記対処療法を行いますが、細菌性腸炎の場合、抗生物質を使用することがあります。
その他、整腸剤を内服したり、嘔気や嘔吐が強く、水分が摂れない場合は点滴を行うこともあります。

また、食中毒の時は、食物繊維が少なく、低脂肪の食べ物を柔らかくして食べることが重要です。刺激物や生物の摂取は控え、なるべく腸に負担をかけないような食事を心がけます。

当院の内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、診断の為には、内視鏡検査での原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様からら検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることが無いよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

「食中毒」を疑う腹痛、嘔吐、下痢があり、悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために消化器内科を受診し、診察の上、必要な検査を受けましょう。
腹痛、嘔吐、下痢がみられる病気は非常にたくさんあります。

基礎疾患がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて胃や腸などのおなかの検査も行いましょう。
自己判断や放置はせず、特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や痛みや発熱などの他の症状を伴う場合は、早急に病院を受診しましょう。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。