一般診療
GENERAL PRACTICE

シクシクしたお腹の痛み

その他部位に関する項目
シクシクとした腹部のお腹の痛み、なんとなく腹部全体がに鈍い痛みがある、というようなご経験はありませんか?
薬局で売っている整腸剤やお腹の痛み止めの薬の服用などで症状が改善するからといって安心したり、様子を見たりしていませんか?
これらの症状は、お腹の中に入っている臓器のそれぞれが原因で起こることがあります。
自己判断で様子を見ずに消化器内科を受診して、その原因を調べてもらいましょう。
どういった疾患が疑われるかについて解説します。

シクシクとしたお腹の痛みはどうして起こるの?

一般的にお腹の痛みは、内臓痛と体性痛に分けられます。
内臓痛とは内臓自身の痛みであり、消化管が縮んだり、拡張したり、痙攣したりして痛みが出たり、肝臓や膵臓、子宮などの実質臓器になんらかの病気があり、痛みが出ます。痛みの場所があまり明確ではなく、なんとなく鈍痛がする、と表現されることがあります。
体性痛とはお腹を覆っている腹膜や腸間膜に炎症が起こったり、刺激により起こる痛みのことです。痛みの場所は明確であり、鋭い痛みが特徴と言われています。
シクシクとしたお腹の痛みは、この内臓痛に分類されます。

シクシクとしたお腹の痛みの具体例について

・なんとなく胃のあたりがシクシクと痛む
・下腹部が針で刺されたような痛みがある
・右の肋骨の下あたりがシクシクと痛む
・左の肋骨の下あたりがシクシクと痛む
・食後に腹部の鈍痛がある など

症状の感じ方は、人により個人差がかなりあります。この病気の症状はこうでないといけないというものはありません。あくまでも上記の具体例は、症状の一例です。
診察時にご自身がつらいと感じている症状をそのままご自身の言葉で伝えて頂くのが最も大切です。
また、診察時には
「どういう時に症状が出現しやすいか」
「症状を軽くしたり、悪化させるものがあるか」
「嘔気や嘔吐は伴っていないか」
「冷や汗は伴っていないか」
「食事の影響はないか」
などもお伝えください。

シクシクとしたお腹の痛みから考えられる病気について

お腹の痛みの場所別に原因をあげます。

A. 上腹部の右側

胸膜炎:肺を覆っている胸膜が炎症を起こす病気です。
肝膿瘍:肝臓に細菌が感染し、肝臓に膿が溜まります。
胆石症、胆嚢炎、胆管炎:主に胆石が原因で、胆嚢や、肝臓を十二指腸を繋いでいる胆管に炎症を起こします。耐えられないほどの強い痛みが特徴です。
腎盂腎炎、腎結石、腎梗塞:腎臓の病気であり、発熱を伴うことが多いです。

B. 上腹部の中央

狭心症、心筋梗塞:心臓の病気ですが、強い前胸部痛だけでなく、上腹部の痛みも出現することがあります。
食道炎:強い食道炎があると、上腹部に焼けるような痛みが出現します。
胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍:主に空腹時や夜間に強い痛みが出現します。

C. 上腹部の左側

胸膜炎:肺を覆っている胸膜が炎症を起こす病気です。
脾梗塞:脾臓を栄養している血液の流れが途絶することで起こります。走っている時に左脇腹が痛くなることがありますが、これも脾梗塞が原因と言われています。
腎盂腎炎、腎結石、腎梗塞:腎臓の病気であり、発熱を伴うことが多いです。

D. 臍の周囲

胃腸炎:主に空腹時や夜間に強い痛みが出現します。
腸閉塞:腸の内腔が閉塞することで起こります。腹痛以外にも嘔気や嘔吐が出現します。
大腸脈瘤破裂:腹部の大きな動脈が破裂する病気です。突然の激しい腹痛で出現します。命に関わる病気です。

E. 下腹部の右側

虫垂炎:盲腸に付属する小さな臓器です。虫垂の入り口に糞石がはまることで炎症を起こします。
大腸憩室炎:加齢とともに起こる大腸の凹み(憩室)に便がはまることで炎症を起こす病気です。虫垂炎との鑑別が難しいです。
尿管結石:尿管に石がはまることで痛みが出現します。激しい痛みが特徴です。
卵巣出血:卵巣内で出血する病気です。激しい痛みが特徴です。

F. 下腹部の中央

大腸憩室炎:加齢とともに起こる大腸の凹み(憩室)に便がはまることで炎症を起こす病気です。
子宮内膜症:子宮内膜が、本来あるべき場所以外に存在し、増殖する病気です。
月経痛:女性特有の痛みです。個人差があります。

G. 下腹部の左側

急性腸炎:細菌やウイルス感染による病気です。
大腸憩室炎:加齢とともに起こる大腸の凹み(憩室)に便がはまることで炎症を起こす病気です。
虚血性腸炎:大腸を栄養している血液の流れが一時的に悪くなることで起こります。腹痛、下痢、下血が特徴です。
尿管結石:尿管に石がはまることで痛みが出現します。激しい痛みが特徴です。
卵巣出血:卵巣内で出血する病気です。激しい痛みが特徴です。

シクシクとしたお腹の痛みが出たらどうすれば良いの?

症状がある場合は、絶対に放置せず必ず消化器内科を受診しましょう。自分で判断し、様子をみるのは大変危険です!!
これらの症状は、胃や腸などのおなかに問題があるときに出現しやすい症状ですが、それ以外にも様々な全身の病気で出現する症状です。このため、必ずしも胃や腸などのお腹が原因とは限りません。基礎疾患の悪化や内服中のお薬の副作用による症状の可能性もあります。基礎疾患に関しては、まずはかかりつけ医に相談しましょう。
基礎疾患の悪化や薬の副作用でない場合は、大腸がんや炎症性腸疾患などの消化器疾患が隠れている場合もあります。その場合は、まずはおなかに病気が隠れていないかを消化器内科を受診して調べてもらいましょう。
おなかに原因がない場合は、他の疾患の可能性も考えましょう。特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や痛みや発熱などの他の症状を伴う場合は、早急に病院を受診しましょう。

当クリニックの内視鏡検査の特徴

症状の原因が特定できれば、治療が可能ですが、胃や腸に症状の原因がないかを診断する為には、内視鏡検査などでの原因検索が必要です。
当院では、「苦しさと痛みに配慮した胃大腸内視鏡検査」を患者様に提供することを第一に考え、皆様からら検査後に「思った以上に楽だった」と思っていただける内視鏡検査を実践しています。当院の内視鏡専門医は、臓器のポイント毎にどのような内視鏡操作を行えば苦しさと痛みに配慮した検査になるのかを熟知しております。これまで培ってきた内視鏡技術の経験を十分に活かし、検査を行っています。安心してお任せください。
また、最新の機器を使用し、その知識と技術を駆使して正確な内視鏡診断を行っています。皆様が消化管がんにかかり健康を損ねることがないよう最大限のサポートが出来るよう日々努力しております。まずはお気軽にご相談ください。

今、シクシクとしたお腹の痛みがあり、悩んでいる方へ

自己判断や放置は禁物です! まずは原因特定のために消化器内科を受診し、診察の上、必要な検査を受けましょう。
シクシクとしたお腹の痛みがみられる病気は非常にたくさんあります。
基礎疾患がある方は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて胃や腸などのおなかの検査も行いましょう。
自己判断や放置はせず、特に食事が食べられないぐらい症状がひどい場合や痛みや発熱などの他の症状を伴う場合は、早急に病院を受診しましょう。

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。