24.05.08
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サウナの効能
おはようございます、医師の中島です。 楽しいGWも終わり、仕事や学校モードに気持ちを切り替えるのが大変だという方も少なくないのではないでしょうか? 前回、サウナの効能として脳疲労が取れることで睡眠の質が良くなることをお話しましたが、今回はサウナと睡眠、精神疾患、自律神経(交感神経、副交感神経)との関わりをお話していきます。 サウナに入った後の睡眠は深い睡眠であるノンレム睡眠の4段階の中でも、特に深いとされる段階の時間が1.5~2倍に延びるとされています。 これが認知症にも関わってきます。 高齢者ほどノンレム睡眠が減ることが報告されていますが、認知症の原因物質となる老廃物は、深い睡眠によって除去され、浅いと除去されにくくなり蓄積し認知症の発症を助長してしまいます。 さらにサウナは、うつ病のリスクを軽減するというデータや軽度の抑うつ症状を改善させたという報告もあります(Cardiovascular and other Health Benefits of Sauna Bathing: A Review of the Evidence, Mayo Clinic Proceedings, 2018)。 また、サウナは交感神経(体が活発に活動する時に働く神経)を刺激するように思いがちですが、実は副交感神経(体を休める時に働く神経)も活性化させます。その働きで胃腸の動きを促進し、消化液の分泌も増加させるので、食欲や便通を向上させる効果があります。 日々の診療の中で、胃カメラ、大腸カメラをしても症状の原因が見つからない方の中には、自律神経の乱れに伴う機能的な障害による症状で困っていらっしゃる方が多いように感じます。 このようにサウナには医学的に健康維持・増進に非常に効能がありますが、その効能を享受するためには、自分の体調に合わせて無理をせず、マイペースで正しい入浴法を心がけ、リスクを回避しながら楽しむことが大切です。 五月病とは聞き慣れた言葉ですが、仕事や学校もサウナ同様に決して無理はせず、自分のペースを守りながら過ごしていけたらいいですね。