内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

腹部超音波検査(腹部エコー)でわかる病気とは?

腹部超音波検査(腹部エコー)とは、高い周波数の超音波を腹部に当てて、臓器から反射された音波を画像化することで疾患の有無を調べる検査のことです。

腹部超音波検査では体内のさまざまな臓器を調べることができること、また人体への負担が少なく安全に検査が行える点が特徴ですが、実際にはどのような病気を見つけることができるのでしょうか?

今回は、腹部超音波検査でわかる病気について、また腹部超音波検査のメリット・デメリット、最新の腹部超音波検査の特徴についても詳しく説明していきます。

1. 腹部超音波検査とは?

腹部エコー
腹部超音波検査では、検査する部分の体表に透明のゼリーを塗り、塗った箇所にプローブ(探触子)といった機器を当てて検査を行います。プローブから超音波が発信され、反射されて返ってきたエコーを受信して画像処理を行うことで、臓器の状態を把握することができるものです。腫瘍や結石があるとその箇所が白い映像として現れるため、病気の早期発見に非常に有効的です。

検査は基本的には仰向けにて行いますが、横を向いたり座ったりする場合もあります。検査に要する時間は、対象となる臓器や検査内容にもよりますが概ね10~15分程度で終了します。超音波は空気中では伝わりにくく、消化管に溜まった食物やガスなどがあると検査の妨げになってしまうことから、肺や胃、腸といった臓器の腹部超音波検査では食事を抜いた上での検査が必要となります。

1-1. 腹部超音波検査でわかる病気について

腹部超音波検査では、肝臓や胆のう・胆管、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮・卵巣などにおける病巣を見つけることができます。

1-1-1. 肝臓

肝臓に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
肝臓に関する病気

1-1-2. 胆のう・胆管

胆のう・胆管に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
胆のう・胆管に関する病気

1-1-3. 膵臓

膵臓に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
膵臓に関する病気

1-1-4. 腎臓

腎臓に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
腎臓に関する病気

1-1-5. 膀胱

膀胱に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
膀胱に関する病気

1-1-6. 前立腺

前立腺に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
前立腺に関する病気

1-1-7. 子宮・卵巣

子宮・卵巣に関する病気としては、以下のようなものがわかります。
子宮・卵巣に関する病気
腹部超音波検査を受けるタイミングですが、健康診断などで肝臓の数値が気になった場合やお腹に違和感があるといった場合に、がんがないかを確認するために受けてみるのがよいでしょう。

1-2. 腹部超音波検査をするメリット・デメリットについて

腹部超音波検査を行うメリットとしては、胃カメラや大腸カメラと違って、検査時の痛みや放射線を浴びることがなく、体への負担が少なく安全に受けることができる点にあります。鎮静剤のような眠り薬を使用する必要も全くありませんし、検査時間も短く比較的リーズナブルです。費用としては健康診断としての利用で5,500円(税込)ほど、保険適用(3割負担)だと1,650円程度であり、それで胃と腸以外のがんがわかるのはかなりメリットがあると言えるでしょう。

ただし、女性の婦人科系の疾患を判断するには体表からでは見にくいため、経腟超音波(経腟エコー)検査という、子宮や卵巣などが観察できる検査を受けるのが良いでしょう。これに関しては婦人科で診てもらうのが良いです。

2. 腹部超音波検査の得意・不得意について

CT検査
腹部超音波検査は、表面に強いといった特徴があります。たとえば、肝臓や胆のうにポリープがあるかどうかといったことについては判断しやすく得意としています。一方で、超音波が届きにくいところは不得意としており、その代表格が脂肪や空気がある場所の検査です。お腹に溜まったガスや皮下脂肪が多い人の場合には、超音波が通りにくくCT等の検査が適用となる場合があります。皮下脂肪が多いことで、胃の裏にある膵臓の一部が見えないといったことは実際の検査で普通にあることです。よって、検査方法は、その人の身体的特徴に合わせたものを選択するのがベストです。

ちなみに腹部超音波検査では胃腸について検査することができません。胃腸に関しては胃または大腸内視鏡検査を、それ以外の臓器は腹部超音波検査と分けて検査すると安心です。

3. 最新の腹部超音波検査について

肝臓のイラスト
腹部超音波検査の装置も従来に比べて新しいものが登場しつつあります。最新の腹部超音波検査の特徴として、肝臓についた脂肪(脂肪肝)の判定を数値化し、客観的に評価できるようなものも出てきています。

これまでは医師の主観で検査を行っていた部分もありました。たとえば、肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝の場合だと、肝臓だけでは評価しにくいので、医師が腎臓と比較して診断結果を行っていました。実際、その場合肝臓の方が腎臓よりも白く映るといった現象が起きるため、「このケースだと脂肪肝ではないだろうか?」といった具合に医師の主観で診断していたわけです。それが現在は、エコー検査を用いて脂肪肝を数値化して評価できるため、軽症、中等症、重症と3つに分けることもできます。また、数値化することにより、脂肪肝がどの程度良くなったのか、悪くなったのかを具体的に評価することができます。

4. まとめ

人体模型
以上、腹部超音波検査でわかる病気について、また腹部超音波検査のメリット・デメリット、最新の腹部超音波検査の特徴などについて紹介してきました。

腹部超音波検査は、X線検査と違って被ばくする恐れもありませんし、痛くもない安全な検査です。にもかかわらず、肝臓や胆のう・胆管、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮・卵巣などのさまざまな臓器の病巣を確認することができます。自分の体の現状を把握するのにとても役に立つ検査となりますので、できれば腹部超音波検査は定期的に受けておくのがおすすめです。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。