福岡天神内視鏡クリニックが提唱する
「腸活」の3つの定義
昨今、「腸活」がブームとなっており、沢山の種類の「腸活」に関連する書籍が本屋に陳列されています。
これは、新型コロナウイルス感染の流行や、がん患者数の増加などにより、「健康」に過ごすことの重要性を再認識したからではないかと思います。
「腸活」とは一体どのようなことをすれば良いのでしょうか?
福岡天神内視鏡クリニックでは以下の3項目を「腸活」として定義しています。
- 腸内フローラを育てる
- エクササイズをする
- 大腸カメラをする
この3つを定期的に行えば、お腹の中から「健康」になることができます。
「健康で長生きしたい」
「死ぬまで美味しいものを食べていたい」
そう思っている方、ぜひこの「腸活」を始めてみましょう。
それでは1つずつ解説をしていきたいと思います。
これが「腸活」の肝となる部分ですので、詳しく解説したいと思います。
私たちの腸内には1000種類、100兆個以上もの腸内細菌がバランスをとりながら共存しています。その群れが、お花畑(フローラ)に見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。
腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類が共存しており、理想的な比率は、
善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7 です。
ところが、我々が普段生活をしていると、どうしても悪玉菌の比率が増えてしまいます。
悪玉菌が増えると体に様々な悪影響を及ぼしますので、腸内環境を良くするためには、善玉菌を増やすことが必要です。
ここで、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のそれぞれの役割について説明します。
善玉菌:代表的な菌は、乳酸菌、ビフィズス菌です。
善玉菌は、食物繊維などを分解し、「乳酸」「酢酸」などの「短鎖脂肪酸」を産生し、以下のような役割を果たします。
- 腸内環境を酸性に傾ける→腸管の栄養吸収を促したり、悪玉菌の増殖を抑制する
- 大腸を刺激し、腸管の蠕動運動を亢進させる→便通が良くなる
- 抗炎症効果を増強させる→老化を防ぐ
- 筋肉の代謝を活性化させる→筋力低下を防ぐ
- 脂肪細胞の栄養吸収を防ぐ→肥満を防ぐ
- 小腸に存在する免疫細胞を活性化する→免疫力がアップする
悪玉菌:代表的な菌は、大腸菌、ウェルシュ菌、腸球菌などです。
悪玉菌は、主に蛋白質を分解し、インドール、フェノール、アンモニアなどの有害物質を産生します。これら有害物質が蓄積すると、腸から有害物質が吸収され、全身を巡り以下のような症状が出てきます。
- 下痢や便秘などの便通異常が出現する
- 免疫力が低下する
- 肌荒れがひどくなる
- 老化が早まる
- 高血圧、糖尿病、がんなどの病気を引き起こす
- うつな気分になる
日和見菌:代表的な菌は、バクテロイデーテス、ファーミキューテスなどです。
日和見菌は、腸内環境で善玉菌の数が増えて善玉菌優位になると、善玉菌のように働きます。逆に悪玉菌の数が増えて悪玉菌優位になると悪玉菌のように働くのです。
腸内細菌の中では日和見菌が70%を占めておりますので、腸内環境をよくするためのキャスティングボードを握っているのがこの日和見菌ということになります。
善玉菌、悪玉菌、日和見菌のそれぞれの役割を理解すると、善玉菌を増やすことが大切だということがわかります。
つまり
腸内フローラを育てる=善玉菌を増やすことです。
善玉菌を増やすには、「善玉菌を摂る」「善玉菌を育てる」の2つが必要となります。
「善玉菌を摂る」=プロバイオティクスと言います。
これは、ヨーグルトや漬物などの発酵食品や、整腸剤などのサプリメントから直接乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を摂取することです。
「善玉菌を育てる」=プレバイオティクスと言います。
これは、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などを摂取し、善玉菌を育てることです。
プロバイオティクス+プレバイオティクス=シンバイオティクスとなります。
つまり、腸内フローラを育てるということは、シンバイオティクスを意識して行うことなのです。
さて、みなさん
摂りすぎていませんか?
- コンビニのお惣菜、お弁当
- インスタント食品
- ファーストフード
- ジュース類
- ハム、ソーセージなどの加工食品
これらは全て、悪玉菌の大好物なんです!これらを頻繁に食べていると、悪玉菌が増え続け、腸内環境が悪くなってしまいます。
それでは、シンバイオティクスを意識して行うために、どのような食品を摂ると良いのでしょうか?
それは以下の2大食品です。
まずは、プロバイオティクスの代表としての「発酵食品」です。
味噌、納豆、漬物、キムチ、ヨーグルトなどがこれにあたります。
次に、プレバイオティクスの代表としての「食物繊維」です。
「食物繊維」は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分かれます。
理想としては、不溶性食物繊維2:水溶性食物繊維1 の割合で摂取することです。
不溶性食物繊維
穀物類、ごぼう、タケノコ、バナナ、豆類など
水溶性食物繊維
海藻類、キノコ類、納豆、山芋、里芋など
「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」
この2つの食品を組み合わせることでシンバイオティクスになるのです。
例えば野菜やきのこ類を入れた味噌汁、果物をヨーグルトで和えたもの、など、普段我々が知らないうちにシンバイオティクスを口にしています。
重要なのは、シンバイオティクスをしていると意識して食事を食べることです。
また、この2大食品の他に、整腸剤を飲むことも重要です。
昨今、沢山の種類の整腸剤が販売されており、手軽に乳酸菌やビフィズス菌を摂ることが可能です。
中でもお勧めは、当医療法人オリジナルの整腸剤である「ラクエイド」を毎日飲むことです。実はこれ1つで「シンバイオティクス」が完成します。
市販されている整腸剤にはない「ラクエイド」の特徴ですが、
特徴 1
1日6カプセルで、乳酸菌が1兆個摂れます!
市販されている整腸剤が、1日あたり多くて100億個くらいですので、いかに乳酸菌が多く含まれているかが分かります。
特徴 2
1日6カプセルで、ビフィズス菌が200億個摂れます!
ビフィズス菌は年齢とともに減っていきますので定期的に摂った方が良いです。ビフィズス菌が200億個も入った整腸剤はまずありません。
特徴 3
善玉菌のエサになるキシロオリゴ糖、難消化性デキストリンが含まれてます!
これにより、腸内の善玉菌が増えてきます。プレバイオティクスの役割を果たします。
特徴 4
厳選された乳酸菌・ビフィズス菌16種35株の培養から得られた産生物質が含まれています!
この産生物質は、ダイレクトに体内に吸収され、免疫力を増強します。
このように、毎日飲むことで、手軽に「シンバイオティクス」が完成するのが「ラクエイド」です。
ぜひこの「ラクエイド」を飲んで、腸内フローラを育てましょう!
定期的なエクササイズをしていますか?運動をしないと、腸内フローラのバランスが崩れ、腸の動きが悪くなり、免疫が乱れて色んな症状が出てきます。
それでは、なぜエクササイズをすると腸に良いのでしょうか?
それは、全身や腸の血液の循環が良くなることで、腸内細菌のバランスが保たれ、免疫力が上がります。
さらに、腸の蠕動運動も良くなり、腸に溜まっている有害物質を外に出してくれるんです。
なるほど、エクササイズが腸に良いことは分かりました。でも、どんな運動をしたら良いのでしょうか?
基本的にはどのような運動でも良いとされていますが、
腸を保護している骨盤周りの筋肉(骨盤底筋群)や腸腰筋を意識して使うように運動をすればより良いです。
腸は、もともとお腹の中でほぼ固定されずにふわふわと浮いている臓器です。
ところが、便秘になって腸の中に便が溜まったり、腸の動きが悪くなると、腸が下がったり、ねじれたり、むくんだりして腸の位置が偏ってしまいます。これにより、さらに腸内環境が悪くなってしまうのです。
そこで、腸の周りにある骨盤底筋群を動かすことで、腸の位置が元に戻り、腸の蠕動運動も正しく動き出します。
具体的には、20分以上の早歩き、階段昇降、スクワットなどが効果的です。
また、肛門を締めたり緩めたりといった、肛門周囲の筋肉を動かすことも良いとされています。
これらは毎日行う必要はありません。週3回程度で良いので、継続してエクササイズしましょう。
しかしながら、なかなかエクササイズをする時間がない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時はちょっと空いた時間に、室内で短時間で効果的な運動ができると良いですよね。
そんな方のために、当医療法人では、オリジナル体操である「ノンキャンササイズ」を作成しました。
プロのジムトレーナーにお願いし、短時間で効果的な体操を考案していただきました。
1日5分程度、このオリジナル体操をすれば、効果的に腸活を行うことができます。
詳しい体操のやり方は、下記URLの動画をご参照ください。
https://www.youtube.com/watch?v=11tc1Ek3gBM
みなさん、ぜひ継続してエクササイズを行いましょう。
これは「定期的に大腸カメラをする」という意味です。一度大腸カメラをして終わり、では意味がありません。
みなさんご存知ですか?
大腸がんと診断される方は、1日に433人います。
大腸がんで死亡される方は、1日に139人います。
(国立がん研究センター資料より)
1日にこれだけの方が大腸がんと診断され、大腸がんで亡くなっているんですね。
また、
2017年の1年間で、大腸がんで亡くなった人数
日本・・・5万681人(国立がん研究センター統計より)
米国・・・5万260人(アメリカ国立がん研究所統計より)
あれ、米国の方が日本の約3倍も人口が多いのに、大腸がんで亡くなった人数は日本の方が多いです。これはなぜでしょうか?
それは、大腸カメラの受診率の差です!
米国では、50歳以上の63%が大腸カメラを受けています。
対して日本では、なんと15%しか大腸カメラを受けていないんです!
それではなぜ大腸カメラをすると大腸がんを予防できるのでしょうか?
大腸がんは、その約8割が大腸ポリープから成長したものです。長径5mm程度の小さなポリープから、だいたい約10年かけて、大腸がんへと成長していきます。
つまり、大腸カメラを定期的に行い、大腸ポリープを切除していけば、それが究極の大腸がんの予防になります。
大腸カメラを行う目的は、それだけではありません。
大腸カメラをすることで、大腸の中に溜まっていた宿便や悪玉菌を外に排出することができます。さらに、骨盤まで下がり、ねじれていた大腸を元に戻すことも可能です。
つまり、大腸カメラが終わった後は、綺麗にメンテナンスされた大腸になっているのです!
定期的に大腸カメラをすることで大腸の中を綺麗にする。これも立派な「腸活」ですね。
ただ、大腸カメラは、昔から「苦しい」「痛い」「辛い」というイメージがある検査です。できるなら受けたくないと思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、福岡天神内視鏡クリニックの大腸カメラの特徴を簡単に説明します。
特徴 1
大腸カメラ検査前の下剤、洗腸剤は、飲みやすい味を使用しています。また、通常は2L以上飲まなければいけない洗腸剤を、一人一人に最適な量に調整しており、無理なく船長剤を飲むことが可能です。
特徴 2
軽い鎮静剤を用い、ウトウトと眠った状態で大腸カメラを行います。時間は約15分〜20分程度で終了します。目が覚めたらすでに検査が終了しています。
特徴 3
大腸内にポリープを発見したら、かなりの大きさのものまでその場で切除します。治療終了後は入院する必要がなく、そのまま自宅に帰ることができますので、日帰りで治療を受けることができます。
特徴 4
検査終了後、しばらくリカバリー室で休んでいただき、目が覚めた後はお茶菓子と飲み物のサービスを提供しています。その後、診察室で検査を担当した医師より、詳細な説明があります。
大腸カメラは「人生の一大イベント」と言っても過言ではない検査ですが、過度に不安になる必要はありません。福岡天神内視鏡クリニックでは、上記のような特徴で大腸カメラを行なっておりますので、安心して、リラックスして検査を受けることが可能です。
以上が、福岡天神内視鏡クリニックが提唱している「腸活」の3つの定義です。今回説明したこの定義を意識して定期的に行っていけば、腸から健康になることができます。
皆さん、この3つの定義を頭に入れて、早速今日から「腸活」を始めましょう!
この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。