つらい便秘の原因と解消法|腸内環境が整うと幸せになるって本当?
ここ数年、SNSや雑誌・テレビなどで注目を集める腸活。
頑固な便秘に悩む方の中には、すでに腸活を行っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
腸活とは腸内環境を整えて腸が持つ本来の力を取り戻すことをいいます。
便秘になる原因はさまざまですが、便秘を解消するためにはその原因を知ることが大切です。
また便秘が解消されることで、幸せホルモンが分泌され心の健康にもつながることがわかっています。
今回は便秘になる原因とその解消法、便秘と腸内環境の関係性についてご紹介します。
2017年に「慢性便秘症診療ガイドライン」が発表されました。
ガイドラインによる便秘の定義ですが、
「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」
となっています。
上記のような「便秘」が原因で、様々な症状が出現し、精密検査や治療が必要となった状態を「便秘症」と言います。
「便秘症」には次のような症状が現れます。
・排便が困難
・排便前に腹痛を伴う
・便の量が少ない
・便が固い
・残便感があり腹部が張る
便秘の状態が続くと腹部の症状だけではなく、食欲不振や吐き気・むくみ・冷え・免疫力の低下などさまざまな不調を引き起こしてしまいます。
便秘を解消するためには以下の5つのポイントを心がけてみましょう。
便秘解消のためには水分をしっかりと摂りましょう。1日1.5L〜2Lの水分を摂るのが理想と言われています。
起床後にコップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。
ただ、一度に飲む量は200mlまでにしてください。それ以上飲むと、胃腸で水分が吸収されてしまいます。
水以外にも便秘解消に役立つ飲み物を紹介します。
・青汁
・ハトムギ茶
・ほうじ茶
カフェインが含まれるコーヒーや緑茶は逆効果ですので気をつけましょう。
食物繊維は、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があります。それぞれの主な効果は以下の通りです。
水溶性食物繊維:腸内の水分に溶けて、便を柔らかくする。
不溶性食物繊維:水分を含んでふっくらと膨らみ、便のかさが増す。
便量が増えると大腸が刺激され排便がスムーズになるため便通がよくなります。
また、食物繊維はビフィズス菌などの善玉腸内細菌のエサとなり善玉菌が増えることで、腸内環境も整えます。
どちらもバランスよく取ることが大切です。
理想は、不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1 と言われています。
毎食自炊をするのが難しい方はコンビニを上手に活用しましょう。
コンビニのお惣菜にも食物繊維を豊富に含んだものがあります。
いくつかのお惣菜を組み合わせることで、食物繊維を取ることができ、また栄養バランスのよい食事を楽しむことができます。
ただ、あまり不溶性食物繊維を摂りすぎると、便の水分が吸い取られてカチカチに硬くなり、さらに便のカサが増してお腹が張って苦しくなります。
不溶性食物繊維の摂りすぎには注意しましょう。
2-3. 乳酸菌をとって小腸の免疫系にスイッチを入れる
腸内には約1,000種類、100兆個の腸内細菌が生息しています。
この腸内細菌は「腸内フローラ」とも呼ばれています。
これらの腸内細菌は善玉菌と悪玉菌・日和見菌の3つにわけることができ、理想のバランスは善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7といわれています。
日和見菌は腸内において優勢な菌に加勢するため、善玉菌が優勢であることが大切です。
乳酸菌は、ヨーグルト・漬物・チーズ・味噌などの発酵食品に多く含まれています。
このように、乳酸菌を食品から摂ることを「プロバイオティクス」と言います。
善玉菌を含む乳酸菌と善玉菌のエサになる食物繊維を一緒に摂取することで、より腸内環境を整え善玉菌が優勢になる環境がサポートされます。
乳酸菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂ることを「プレバイオティクス」と言います。
この「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を一緒に摂取することを
「シンバイオティクス」と言います。
「シンバイオティクス」を行うことにより、腸内環境が整い、善玉菌が優位に増加します。
腸内環境が整うと、小腸に存在する免疫細胞が、乳酸菌により活性化するため、免疫力を高めることができます。
便秘を解消するには食事のリズムを整えることが大切です。
朝昼晩3食しっかりと摂り、とくに朝食を抜かさないようにしましょう。
理想的な食事量の割合は、朝食:昼食:夕食=4:3:3です。
朝食こそしっかりと食べるようにしてください。
また、水分が不足していると便が硬くなり移動しづらくなります。水分は十分にとり、とくに朝起きたらすぐコップ一杯の水を飲むよう習慣づけましょう。
また、便秘のときにダイエットは厳禁です。極端に食事量を減らすと水分も食物繊維も不足がちになります。
さらにダイエット中に避けがちな脂肪分も、減らしすぎると便の滑りが悪くなってしまいます。バランスのとれた食生活を心がけましょう。
質のよい睡眠は副交感神経を活発にし、腸の働きをスムーズにします。
夜中0時以降は「腸のゴールデンタイム」ともいわれているため、この時間までには眠っていることが理想です。
質のよい睡眠をとるためには、寝る直前のスマートフォンやパソコンの使用は控えましょう。
適度な運動は腸を刺激して蠕動運動を促します。
習慣的に体を動かすことは便秘解消に効果的です。
筋トレなどの負荷がかかる運動よりもウォーキングやヨガなどの有酸素運動がおすすめです。運動をする時間がない方は階段を使用したり早歩きで歩くようにしましょう。
便秘を解消するには、腹筋を鍛える必要があります。腹筋が弱いと押し出す力が足らず、排便力が弱くなります。
便秘を解消する体操をご紹介いたします。
① 仰向けになり両ひざを抱えます。このときお腹と太ももはしっかりと近づけてください。
お腹をしっかり意識して呼吸をしましょう。
この体勢のまま吸って吐くを1呼吸として10回行います。
吐く息を長めにしてお腹に力を入れ、腸を刺激しましょう。
② 仰向けのままひざを立てます。
息を吸って吐きながらゆっくり手に膝が付くくらい腰をひねりましょう。
この動作を左右1セットとして3回繰り返しましょう。
お腹の「の」の字マッサージ
大腸はお腹をぐるりと四角く囲んでいるので、腸をなぞるように、両手でお腹が少し凹む程度の力で時計回りになぞってマッサージしましょう。
5秒で一回りを6回繰り返します。わずか30秒でマッサージが完了します。
機能性便秘に悩む方の多くは腸内環境が悪いと考えられます。
「便は健康のバロメーター」といわれるように便の臭いや形・量などから腸内環境がどのような状態になっているか予測することができます。
腸内環境を整えることで理想的な便を作り、排泄もスムーズになります。
また腸は脳に次いで二番目に神経が多いといわれています。腸内環境が乱れると神経の乱れにつながり、その結果ストレスやうつにも影響を与えます。
一方、腸内環境がよくなると幸せホルモンであるセロトニンが分泌されストレスが軽減しうつ傾向がよくなると考えられています。
また免疫系が活性すること神経系も活性化して自律神経が整って心も安定するのです。
トイレに行ってもなかなか便が出てこないといった悩みを抱えている方も多くいます。
そもそもトイレに行っても便が出てこないのは、直腸まで便がきていないことが原因です。
直腸まで便が来るようにするためには、大腸の蠕動運動をよくする必要があります。
便が固い・腸の中でへばりついている・繊維類が少なく便がふっくらしていないと便がまだ残っているような感じがして、トイレに長時間こもりいきむことにつながってしまうのです。
健康的な便は約70%が水分、残り約30%が食べかすや腸内細菌・剥がれた腸粘膜といわれています。
また表面はなめらかで柔らかく、食物繊維を多く含んで水に浮くのが理想的です。
便秘になる原因は便秘の種類によって異なります。
4-1. 生活習慣・ストレス・加齢による大腸や直腸の働きの異常
便秘の中でもっとも多いタイプが機能性便秘です。生活習慣やストレス・加齢などが原因となり大腸や直腸の働きが乱れることで便秘を引き起こします。機能性便秘は3つのタイプに分けることができます。
便秘は「国民病」といわれるほど多くの方が悩んでいます。ただ単に便が出ない・出にくいというだけではなく、便秘が続くことで体にさまざまな不調を招いてしまいます。
腸は「第二の脳」といわれるほど、体にとって大切な臓器の一つでもあります。腸内環境を整えることで幸せな気持ちになったり、心の安定にもつながります。
便秘解消法を試してみても便秘がよくならない場合は、一度医療機関を受診するようにしましょう。
痙攣性便秘は過度なストレスが原因です。ストレスによって大腸の蠕動運動に連続性がなくなり、便の通過に時間がかかり過ぎてしまうことで起こります。
便意を催しても我慢する習慣がある方に多く見られる便秘です。
習慣的に便意を我慢していると神経の感度が鈍り、直腸に便が来ても便意を感じなくなってしまいます。女性に多く見られるタイプです。
器質性便秘は、大腸がんや手術後の癒着・炎症性疾患などの影響による起こる便秘です。大腸の中を便がスムーズに通ることができなくなることが原因です。
4-3. ほかの病気の症状としておこる大腸の蠕動運動低下
甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症を罹患していると大腸の蠕動運動が弱くなり、便秘になります。
その他にも糖尿病の合併症や神経損傷でも起こります。また病気ではありませんが、妊娠や生理中にホルモンの影響で便秘になるのも症状性便秘の一つです。
薬剤性便秘とは薬の副作用によって起こる便秘です。主に抗うつ剤や抗コリン剤・咳止めなどの副作用によって起こることがあります。
病気や薬剤の影響によって便秘になる場合は、病気の治療を行ったり主治医に相談してみましょう。
便秘によって様々な不快な症状が体に現れます。
どのような症状が現れるかをまとめました。
便秘で一番不快な症状が、お腹の痛み、張りではないでしょうか?
便が溜まっていて、明らかにお腹がパンパンに張っているのに、出すことができないのはとても苦しいですね。
苦しさの原因は溜まっている便から発生するガスの影響も大きいです。
便が腸内に溜まっていると、腸内細菌が分裂を繰り返すことでガスが大量に発生します。
腸内に溜まったガスが出ないように我慢することも不快ですし、我慢することによって、余計に便秘がすすみ、腹痛の原因になります。
便秘になると吹き出物が増えたり化粧のりが悪くなったりして肌が荒れる、という経験をした方もいると思います。
便秘になると腸内で悪玉菌が増え、有害物質が発生しやすくなります。
その有害物質が、血液に混ざり体内を循環し、肌へと運ばれてしまうのです。
また、便秘になると自律神経が乱れ、新陳代謝がうまく機能しなくなるということにもつながります。
便秘がニキビや肌荒れ、お肌のくすみの原因になります。
実はおならはほとんどが無臭のガスで構成されています。
おならの約70%が、食事の時などに飲み込んだ窒素ガスです。残りの30%が、腸内細菌が食べ物を分解する時に発生したガスになります。
おならの匂いの元となるのは、悪玉菌が食べ物を分解する時に発生する硫化水素やアンモニアなどです。
便秘で腸内環境が乱れ、悪玉菌が増えることで、多くの有害物質が発生することになり、匂いがきつくなり量も増えます。
匂いが気になっておならを我慢してしまうと、また便秘が解消できない、という悪循環になります。
便秘で食欲がない、という経験をした方は多いのではないでしょうか?
腸内にたくさん便が詰まっていると、新しく食べ物を体内に取り込む意欲が湧いてきません。便秘が続くとお腹が空かないし、食べられないという状態が続きます。
便秘でお腹が張っていると、不安感、不快感が湧いてイライラしてしまいます。
最近の研究では、腸が不健康だと、メンタルに影響が出ることが分かっています。
便秘を解消する方法を実践してすっきりとし、腸内環境を正常に保つことが心と体の健康の秘訣といえます。
便秘の時の便は、水分が少なく、硬くなってしまっていることが多いです。
硬い便を無理にいきんで排出すると、肛門を傷つけてしまうこともあります。
排便時に肛門の粘膜が擦れて切れてしまうきれ痔(裂肛)が多いですが、肛門に負荷がかかることによってうっ血していぼ状の腫れができるいぼ痔(外痔核)もできます。
どちらも激しい痛みを伴いますので、痔を予防するためには排便時にいきまないことと、便秘にならないような生活習慣を心がけることが大切です。
食べ物が便となって体外へ排泄されるまでの流れをみていきましょう。
まず私たちが食べた食べ物は口から食道・胃・小腸・大腸・直腸・肛門の順に通り体外へ排泄されます。食べ物は胃に入ると胃酸や消化酵素によって栄養素に分解されます。
このとき胃では「胃・結腸反射」が起こり大腸に信号が発信され、信号をキャッチした大腸は蠕動運動(ぜんどううんどう)を開始します。
胃で分解された栄養素は小腸で吸収され、大腸で水分が吸収され便となります。
大腸で作られた便は直腸に送られ、直腸内に便が溜まると脳に「便が溜まった」という信号が送られ便意を催し、肛門から排泄されるのです。
排便をするには、胃で消化された食べ物が小腸、大腸を通って栄養素が吸収され、
便に形成されることによって肛門へとすすみます。
小腸、大腸、それぞれの役割をまとめました。
小腸の役割は主に3つあります。
・食べ物を消化・吸収する
・免疫細胞を活性化
・セロトニンの生成・分泌
小腸は全長6~7mあり、胃から運ばれてきた栄養素を吸収します。また免疫細胞の約7割が小腸に存在しており、乳酸菌によって免疫細胞が活性化され、免疫力が増強されます。幸せホルモンといわれる「セロトニン」の約9割が生成されています。
大腸の役割は主に2つあります。
・水分の吸収
・便の形成
小腸から流れてきた食べかすから水分を吸収し、蠕動運動を行うことによって便を形成し肛門へと運ぶ役割を担っています。
大腸を動かす筋肉が緩むことで蠕動運動が弱まり、便を直腸まで運ぶことができず便秘
を引き起こします。
高齢者によく見られる便秘のタイプで、運動不足や乱れた生活習慣
原因と考えられています。