内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

脂肪肝の原因はアルコールだけじゃない?注意すべき数値と改善策とは

脂肪肝というと、アルコールをたくさん飲む人がかかる病気とイメージされるかもしれませんが、原因はアルコールだけではありません。脂肪肝がどんな状態なのか、脂肪肝を放置するとどのような状態になるのかを知ることで、肝機能の改善や肝疾患から回避できる可能性も高いです。

そこで今回は、脂肪肝とは何か?脂肪肝の原因や改善策について説明します。

1. 脂肪肝とは?

脂肪肝
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積された状態です。脂肪肝には、アルコールが原因の脂肪肝である「アルコール性脂肪肝」と、それ以外の脂肪肝である「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」があります。

肝硬変や肝がん、脂肪肝の原因をアルコールの飲みすぎだとイメージする方も多いかと思いますが、近年は飲酒の習慣がない方の脂肪肝が増えています。
健康な肝臓内に占める脂肪の割合は、5%未満です。肝臓内に脂肪が5%以上を占める場合には脂肪肝となります。

ただし、エコーやCTなどの画像診断では、20%以上の中性脂肪が肝臓に蓄積した状態でないと、脂肪の蓄積を確認できないといわれています。中性脂肪がここまで蓄積する前に脂肪肝になっている可能性を確認するには、肝機能の数値に注目することが一つの方法になります。

2. 肝機能検査でわかる3つの数値とは?

肝機能の数値
初期段階の脂肪肝は自覚症状がないことが多く、健康診断などで肝機能の数値が高いことから発見されることがあります。肝機能検査では、AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPの3つの数値が基準値よりも高くなっている場合に、脂肪肝やそれ以外の疾患の可能性を専門医が診断していくことになるのです。

この3つの数値が表すものを知っておくことで、脂肪肝になっているのか、それともそれ以外の疾患なのかの自己診断の目安になります。

2-1. AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)

ASTは、別名GOTとも呼ばれます。ASTは、肝臓や筋細胞などに含まれる酵素のことです。
心臓や腎臓などの臓器にも多く存在する酵素で、体内のエネルギー代謝の過程で大きな役割を果たします。

肝臓に何かしらの障害が起きて肝細胞が壊れると血液中に流れ出て数値が上昇します。

2-2. ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)

ALTの別名はGPTで、ASTよりも肝臓に多く含まれる酵素になります。ALTも肝細胞が壊れることで、血液中に放出され数値が高くなります。

ASTよりもALTの方が、肝細胞に多く含まれているため肝臓の状況をより反映している値です。そのため多くの専門医は、ASTよりもALTの値に注目しています。この2つの数値のバランスや高値によって、あらゆる肝疾患の有無や可能性を診断することも多いです。

例えば、ASTとALTの数値がどちらも高値の場合やALTよりもASTの数値が高い場合には、脂肪肝または、アルコール性肝障害が疑われます。また、ASTが高い場合には心臓・筋肉・血液の疾患の疑いもあると考えます。

2-3. γ-GTP

γ-GTPは、タンパク質を分解する酵素でアミノ酸の生成に欠かせない酵素です。胆道から分泌され肝臓の解毒作用に関与しています。

アルコールなどによって肝細胞が破壊されると血中に放出され血中濃度が上がります。また、胆石や胆がんなどによって胆道が詰まることでγ-GTPの血中濃度が上がります。飲酒量が多い場合にも数値が高くなります。
 
γ-GTPの数値が高い場合には、脂肪肝以外にもアルコール性肝障害の疾患が疑われることがあり毎日の飲酒などが原因です。

それ以外にも運動不足によって肥満になったり、B型肝炎やC型肝炎などのウィルス性肝炎が原因で数値が高くなることもあります。遺伝的にγ-GTPの数値が高い場合もありますが、これについては稀です。

3. 脂肪肝の原因とは?

脂肪肝を含め、肝臓疾患の原因を毎日の飲酒と思っている方が多いです。しかし、近年ではアルコールが原因ではない脂肪肝が増加しています。脂肪肝になるのは、男性の4割といわれ、痩せている場合でも脂肪肝になっている可能性もあるのです。

3-1. アルコール性脂肪肝

脂肪肝
適度なアルコール量は、一般的に男性が一日当たり30gで女性は20g未満です。アルコール20gを主なお酒の量で表すと下記の通りになります。

ビール:500ml以上
日本酒:1合以上
ワイン:200ml以上

長年の飲酒が原因で1日あたり60g以上のアルコールを摂取する場合は、アルコール性の脂肪肝の原因になりうることがあります。アルコール60gというと、ビール500ml缶を1日に3本以上、日本酒を3合以上飲む方はご注意ください。

少量の飲酒で顔が真っ赤になる方がいますが、その場合はアルコール代謝能力が低い場合が多く適量でも肝臓に負担をかけるため適量よりも少ない量が目安です。

アルコールが習慣化している場合は、いきなり止めることが難しいです。まずは、飲む量を減らすことから始めてみましょう。晩酌が習慣化している方は、食事をとらずにつまみだけで済ませてしまうこともあり、食生活のバランスが悪くなります。また、つまみが高カロリーの場合は肥満の原因にもなるので注意が必要です。

3-2. 非アルコール性脂肪肝

とんかつ
近年、増加傾向になるのが非アルコール性脂肪肝です。1日あたり、男性ならば30g、女性なら20g程度のアルコールの摂取量にもかかわらず脂肪肝になった場合は非アルコール性脂肪肝と診断されます。

非アルコール性脂肪肝の原因は、主に4つです。

・食べ過ぎによる肥満
・運動不足
・急激なダイエット
・女性の閉経

脂肪肝になる最大の原因は、肥満です。エネルギー消費量よりも摂取したエネルギーが多くなると、余ったエネルギーは肝臓に運ばれて中性脂肪として蓄積されます。

ある程度の蓄積であれば、エネルギーが足らなくなったときに役立つのですが、それ以上の中性脂肪がある場合は、脂肪肝となってしまうのです。

痩せている場合の脂肪肝は、急激なダイエットが主な原因でしょう。断食など無理なダイエットをすることで、身体が飢餓状態だと勘違いをします。全身の脂肪細胞だけではなく、筋肉がエネルギー源を放出して筋肉量が減少すると、基礎代謝が落ち消費エネルギー量が下がり中性脂肪が付きやすくなるのです。これを低栄養性脂肪肝といいます。

非アルコール性脂肪肝を放置すると危険って本当?

非アルコール性脂肪肝にも、症状が軽く改善しやすい単純性脂肪肝(NAFL)と、NAFLが進行して肝硬変や肝臓がんを発症する可能性がある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の2種類があります。

非アルコール性脂肪肝の約10~20%が、肝硬変や肝臓がんにつながるNASHに進行するといわれています。NASHは過食や運動不足、内蔵型脂肪型による肥満以外にも、糖尿病や脂質異常症、高血圧を合併症として発症します。NASHがメタボリックシンドロームの肝臓版と言われる所以はここにあります。

NAFLになったからといって、すべての人がNASHになるわけでありません。大切なのは、早期に脂肪肝を発見し適切な改善策を取ることです。

4. 脂肪肝の改善には、食生活と生活習慣の見直しが重要

海辺で体操をする女性
脂肪肝と診断されたらダイエットが必要です。
一般的に今の体重の5%前後、例えば、50kgの方だったら、2.5kg、60kgの方だったら、3kg減らすと、肝臓についた脂肪が落ちてきます。

痩せている場合でも運動不足や不規則な食事で2~3kgの体重増加があった場合には、中性脂肪が肝臓に溜まっている可能性があります。

また女性の場合、閉経前は女性ホルモンの影響で内臓脂肪が溜まりにくいのですが、閉経後は女性ホルモンの恩恵がなくなるため内臓脂肪が溜まりやすくなります。つまり、閉経後は脂肪肝のリスクが高くなるのです。

脂肪肝を改善する特効薬はなく、専門医からは食生活や生活習慣の見直しを指導されます。

4-1. 毎日の食事に糖質をとり過ぎていないか確認する

糖質は体内で余ると脂質になります。どのようなものが糖質なのか一例を挙げます。

白米
パン
麺類
くだもの
ジュース類
菓子類

とくにくだものやジュース類、菓子類の糖は吸収されやすく脂肪になりやすいため摂取することを控えましょう。

血糖値が急上昇することで、血糖値を下げるインスリンが大量に分泌されますが、インスリンは余った糖を中性脂肪として蓄えます。脂肪肝を軽減するには、血糖値を急激に上げないことが大切です。

4-2. インナーマッスルを鍛え筋肉を付ける運動をする

スクワットをする女性
脂肪肝の改善には、筋肉をつけることも大切です。脂肪は筋肉で消費されるため、軽い筋トレは肝機能の改善につながります。また、筋肉が増えることで基礎代謝も上がり太りにくくなるのです。ここからはインナーマッスルを鍛える運動を紹介します。

・スクワットで尻と脚の筋肉を鍛える
尻と脚には大きな筋肉があり、ここを鍛えることで筋肉量も増えます。

両手は交差し胸の前におく
背中を伸ばし垂直に体を下す(尻を突き出し膝を曲げるイメージ)

・つま先立ちでふくらはぎの筋肉を鍛える
バランスを崩す不安がある場合は、壁か椅子に手を添えて行うのがポイントです。

脚は肩幅に広げる
両脚のかかとを垂直に上げ下げする

上記の運動の目安は、それぞれ1日10回程度です。数回に分け1日のトータルが10回になれば問題ありません。

5. まとめ

脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の2つがあります。肥満や運動不足による非アルコール性脂肪肝は、その後肝硬変や肝臓がんになるNASHに進行してしまうこともあり、放置しておくのは危険です。

女性の場合は、閉経後にホルモンバランスが崩れ太りやすくなるため脂肪肝のリスクも高くなります。

カロリー制限や運動による減量は、脂肪肝の改善に効果的です。自覚症状がなくても肝機能の異常を指摘された場合は、専門医を受診し食事や食生活の見直しをするようにしましょう。 

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この記事を書いた人

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。