内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

デブ菌とは?ダイエットするなら知っておきたいデブ菌とヤセ菌について

ダイエットの経験やこれからダイエットをしようと考えている方なら、デブ菌・ヤセ菌という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
その名の通り、腸内のデブ菌が多ければ太りやすくなり、ヤセ菌が多ければ痩せやすいです。

美容や健康のためにダイエットを考えているならデブ菌とヤセ菌について知る必要があります。今回は、デブ菌とヤセ菌の正体についてまとめてみました。

1. デブ菌とヤセ菌の正体は日和見菌

デブ菌とヤセ菌は、善玉菌でもなく悪玉菌でもなく日和見菌です。本来、日和見菌は善玉菌・悪玉菌のどちらか優位になった方に味方をします。太りやすい・太りにくいというのは、デブ菌とヤセ菌の割合だけではなく善玉菌や悪玉菌を含む腸内環境のバランスで変わります。

デブ菌はファーミキューテス門というグループに属し、ヤセ菌はバクテロイデーテス門というグループに属した日和見菌です。どうして、デブ菌・ヤセ菌と呼ばれているのでしょうか。

2. デブ菌とは?

デブ菌は、ファーミキューテス門というグループに属する細菌のことを指し、悪玉菌の味方になりやすい菌でもあります。

ファーミキューテス門と呼ばれる日和見菌がデブ菌と表されるのは、食べものから必要以上にエネルギーを取り込み体に脂肪として蓄えてしまう働きがあるからです。

ファーミキューテス門は、食べ物のカスとして排便されるものからも過剰に栄養を吸収するため、肥満の人はファーミキューテス門が多いとされます。

ファーミキューテス門が、大腸の中で排出されるカスに残ったわずかな栄養も吸収する働きがあるのには、人類が飢餓と戦ってきた歴史と関係しています。人間が、少ない栄養でも生存するための機能をファーミキューテス門が担っているのです。

2-1. デブ菌の好物

デブ菌の好物は高脂肪、高脂質、定食物繊維などの高カロリーな食べ物です。
さらに、わずかな食べ物からたくさんのエネルギーを作り、余ったエネルギーを脂肪として蓄えてしまう、という特徴があります。

2-2. デブ菌が活性化すると太りやすくなる

デブ菌が多く活性化すると肥満になる傾向があるといわれています。また腸内環境のバランスにおいて、善玉菌が優位な状況であれば太らないことがあります。デブ菌であるファーミキューテス門は、日和見菌の一種なので善玉菌が優位な環境では本来の働きを発揮できないのです。

つまり、善玉菌が優位になる状態をキープする食事や生活習慣を実行するのが大切になります。また、健康や美容のためにダイエットを考えているのであれば、ヤセ菌を活性化させることがポイントです。

3. ヤセ菌とは?

万歳をする女性
ヤセ菌とは、日和見菌の中に存在するバクテロイデーテス門と呼ばれるグループの菌です。バクテロイデーテス門に属する日和見菌は、善玉菌の味方になりやすいと言われています。

バクテロイデーテス門は、食べものからあまりエネルギーを吸収することはありません。また、バクテロイデーテス門とビフィズス菌は水溶性食物繊維を発酵分解するときに、短鎖脂肪酸という物質をつくり出します。

3-1. ヤセ菌の好物

ヤセ菌の大好物は食物繊維、その他低糖質、低脂質な食べ物などです。
これらの食べ物を発酵させて、短鎖脂肪酸を産生します。この短鎖脂肪酸が脂肪の吸収を抑え、体内の脂肪の燃焼を助けます。
また、短鎖脂肪酸が血流に乗って全身に運ばれると、体の中の脂肪細胞が、栄養を摂ることを止めてしまいます。

3-2. ヤセ菌が活性化すると痩せやすくなる

短鎖脂肪酸は、酢酸・酪酸・プロピオン酸などからできており、脂肪の吸収を抑え体内の脂肪燃焼を助ける働きをしているのです。また、短鎖脂肪酸が血流に乗って全身に運ばれると、脂肪細胞に脂肪が蓄積されるのを防ぐ働きをします。

バクテロイデーテス門は、短鎖脂肪酸をつくり出すことで食べ物から脂肪となる栄養の吸収を抑え、脂肪燃焼を促すため痩せやすい体になることからヤセ菌と呼ばれるのです。

4. 理想的な腸内環境とは

腸内フローラのイラスト
腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つに分けられます。理想的な腸内環境とは、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の割合が2:1:7といわれています。

大腸に存在する細菌を腸内細菌といい、菌種ごとの塊となって腸の壁に隙間なく張り付いた状態が花畑に似ていることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。

正式名称は、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)です。腸内細菌の割合や細菌の種類は、食生活や生活環境によって一人ひとり違います。また、生まれてくるときに母親の産道にある腸内細菌を受け継ぐことから、大きな影響を与えるものは母親の腸内環境です。

生まれ持った腸内環境が徐々に食生活や生活環境、年齢によってバランスが変化していくといわれています。

5. 悪玉菌と善玉菌のバランスによって太りやすくなる

善玉菌と悪玉菌
デブ菌がヤセ菌よりも多く存在しても、痩せている人がいます。これは、デブ菌が活性化されず善玉菌が優位になっている場合です。

美容や健康のためにダイエットを考えたときに大切なのが、バランスのいい腸内環境をつくりデブ菌を活性化させないことです。更にヤセ菌を活性化させれば、より太りにくい体づくりができます。

6. デブ菌が減少する悪習慣とは

ジャンクフードの写真
ヤセ菌が減少する悪習慣とは、生活習慣や食生活の乱れやストレスです。

とくにデブ菌の影響を受けやすい年代は、仕事に子育てに忙しい30代です。生活が乱れやすいため、自律神経の乱れにつながることもあり、それによって腸内環境が崩れるリスクも高いといわれています。

デブ菌に左右されず太りにくい体質を手に入れるには、善玉菌を増やしヤセ菌を優位にさせる方法を知る必要があります。また、ヤセ菌が減少するような悪習慣を避けることが大切です。食生活や日常生活で気づかないうちに行っていることはないでしょうか。いくつかあげてみたので、チェックしてみて下さい。

6-1. 食べてすぐ横になる

食べた直後に横向きに寝ると、食べ物が胃の先へ送られにくくなり消化不良の原因となる恐れがあります。食後は横にならず椅子に座る、眠気を飛ばす軽い運動をするなど工夫をして消化を助けるようにしましょう。

もし、食後に強い眠気を感じることが続いている場合は、糖質の多い食事が原因かもしれません。繊維質の多い野菜・低糖質・低脂肪の食品を選ぶと、ヤセ菌が活性化しやすく眠気も抑えられます。

6-2. 就寝前・夕食にボリュームのあるものを食べる

胃がもっとも活発に動くのは就寝時で、便をつくり出す大切な時間でもあります。

就寝前や夕食にボリュームのあるものを食べると、胃の消化活動は激しくなります。また、消化に時間がかかるので、体内に食べ物が残る時間も長くなり便秘になりやすいです。便秘は、デブ菌が増える原因となるため、ボリュームのある食事は朝・昼のどちらかにするのがいいでしょう。

6-3. パソコンやスマホを使う時間が長い

悪い姿勢でパソコンやスマホを長時間使っていると、内臓を圧迫する時間が長くなり腸の働きが悪くなります。
また、パソコンやスマホなどは膨大な情報処理を知らず知らずのうちに取り込んでしまい、脳の疲労の原因になります。脳の疲労と腸の活性化は、密接な関係があるため長時間の使用は避けたいものです。

6-4. 寝不足が続いている

睡眠が不足した状態が続くと体内時計を狂わせ、その後自律神経の働きを乱す可能性もあります。その結果、腸内環境も悪影響を受けてしまうのです。また腸は、第二の脳と呼ばれることがあり脳と腸は密接に関係しているため、寝不足が続くと脳の疲労が解消できず腸内環境が乱れやすくなります。

寝不足によって腸内環境が乱れると大腸内の悪玉菌が優位になり、ヤセ菌の力は発揮できません。そればかりか、悪玉菌優位になるとデブ菌が活性化して太りやすくなります。

腸内環境に関係ないように思えるこれら食生活や生活習慣が、善玉菌の減少に関係しています。

7. ヤセ菌を活性化する食事とは

海藻のサラダ
善玉菌が優位になりヤセ菌が活性化されるとデブ菌の活性を抑えることができます。腸内環境を少しでもよくする食品を食事に取り入れるだけで、腸内のバランスも整えられます。

7-1. ヤセ菌を活性化させるには

ヤセ菌を活性化させるポイントは、繊維質の多い野菜や低糖質、低脂肪の食品を選ぶことです。また、短鎖脂肪酸をつくり出すために必要なビフィズス菌も積極的に取り入れるとよいでしょう。

(水溶性食物繊維)
ごぼう
オクラ
キャベツ
もち麦
納豆
アボカド
きのこ類
海草類
豆類

(発酵食品)
ヨーグルト
みそ


上記の食品を毎日少しずつでも、食事に取り入れましょう。朝やおやつにヨーグルトを取る、海藻を入れた味噌汁を飲むなど毎日の習慣を変えていくことで無理なく続けることができるでしょう。
腸内バランスは年齢によって変化し、老年期に入るとビフィズス菌が減ります。すると悪玉菌が優位になりやすく、便秘のリスクも高まります。そのため年齢に合わせ食事内容を取り入れる必要があります。

8. まとめ

理想的な腸内環境は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の割合が2:1:7です。ストレスや食生活などの乱れで、悪玉菌優位になるとデブ菌が活性化しやすくなります。

もし食事の量を減らしても体重が減らない場合は、デブ菌が活性化しているかもしれません。高カロリーな食事や間食を避け、ヤセ菌が活性化するような食品を取り入れる工夫をしてみましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。