内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

ヨーグルトは食べていいのか?

健康志向である昨今、スーパーやコンビニにはたくさんの種類のヨーグルトが陳列されています。皆さんの中にも、ヨーグルトを毎日食べている方がいらっしゃるのではないでしょうか。沢山の種類のヨーグルトがあるということは、それだけ需要があるということです。

しかしながらそもそも、ヨーグルトって体に良いんでしょうか?そう思ったことありませんか?私はスーパーでヨーグルトを見るたびにそう考えてしまいます。

そこで今回は、ヨーグルトについて解説をしたいと思います。

実は、ヨーグルトが体にいいのか悪いのかは、まだ結論は出ていません。

「ヨーグルトが体に良い」という主張の根拠を解説します。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が、免疫力を高める。

腸内細菌には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が存在します。ヒトの免疫力の7割は腸が担っており、その免疫力は善玉菌が増えるほど良好になります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が、腸内に存在する栄養素を取り入れることで、善玉菌の活性化に役立つ代謝物質を作り出します。
また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、腸内の善玉菌のエサにもなります。
以上のようにしてヨーグルトは免疫力を高めているのです。

血糖値を下げる効果がある。

食後に血糖値は上昇しますが、この血糖値を下げてくれるホルモンが、膵臓から分泌される「インスリン」です。この「インスリン」の分泌を促してくれる「GLP-1」という物質があるのですが、この「GLP-1」を増やしてくれる作用がヨーグルトにはあります。
つまり、ヨーグルトを食事の初めに食べることにより、
体内で「GLP-1」が増える→「インスリン」の分泌が増える→血糖値が下がる
となります。

ヨーグルトに含まれるカルシウムが、大腸がんを予防する効果がある。

大腸がんの発生には、胆汁酸が関与しています。ヒトは脂肪を摂取すると、胆汁という消化液が肝臓内で作られ、胆管を通って十二指腸に分泌されますが、胆汁内の胆汁酸が、腸内で二次胆汁酸に変わります。これが大腸がん発生に関与すると言われています。
カルシウムは、腸管の上皮細胞を刺激して二次胆汁酸を吸着したり、細胞の増殖や分化に直接作用したりして、大腸がんを予防しています。

イライラや不安感をなくし、メンタル的に安定させる。

ヨーグルトには、幸せホルモンである「セロトニン」を作るのに必要な成分である「トリプトファン」がたくさん含まれています。
つまり、ヨーグルトを食べることにより「セロトニン」が作られ、メンタル面に良い影響がもたらされます。
また、「セロトニン」は安眠を促す「メラトニン」という物質にもなりますので、ヨーグルトを食べることにより良質な睡眠ができるのです。



こんな感じですね。ちなみに、ヨーグルトは1ml中に1000万個以上の乳酸菌が入っています。つまり、ヨーグルト1カップで約10億個の乳酸菌が摂れることになります。

それでは、「ヨーグルトが体に悪い」という主張の根拠を解説します。

糖質が入っており、食べ過ぎると糖質過剰になる。

無糖のプレーンヨーグルトで100gあたり約5gの糖分が入っています。
さらに、加糖ヨーグルトの場合、100gあたり約15gもの糖分が入っています。
食べ過ぎると糖質過剰になりますので注意が必要です。

脂質が含まれており、食べ過ぎると発がん性物質が増加する。

牛乳に含まれている飽和脂肪酸の影響により、前立腺がんなどの発がんのリスクとなる可能性が示唆されています。

お腹がゴロゴロして、下痢したりする(乳糖不耐症)。

牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素であるラクターゼが不足することにより、お腹がゴロゴロして下痢などを誘発してしまいます。日本人の2/3がこの乳糖不耐症と言われています。

牛乳に含まれるホルモン物質により、乳がんや大腸がんのリスクが上がる。

牛乳に含まれるエストロゲンなどのホルモン物質により、乳がんや大腸がんなどのリスクが上がると言われています。



こんな感じになっております。

それぞれの主張がありますが、要は、食べ過ぎなければ大丈夫です。
しかも、糖質オフ、低脂肪のヨーグルトを食べましょう。豆乳ヨーグルトならさらに◎です。

1日のヨーグルト摂取量ですが、最大で2カップ(200ml)までにしたいところです。これで安心して食べることができます。これに整腸剤も飲めば、まさに鬼に金棒です。

それでは、ヨーグルトの効果をさらに上げる食べ方を伝授したいと思います。

ホットヨーグルトにして食べる

乳製品を摂るとお腹を壊して下痢する方がいます。
これは、乳製品に含まれる「乳糖」を分解する酵素である「ラクターゼ」が少ないために起こる症状なんです。これを乳糖不耐症と言います。日本人はこの乳糖不耐症が非常に多いです。
ヨーグルトも乳製品ですので、乳糖不耐症の方は、ヨーグルトを食べると下痢します。ラクターゼは体温に近いと活性化されますので、ヨーグルトを少し温めて食べるとお腹を壊しにくくなります。

食直前に食べる

ヨーグルトの血糖値を下げる効果を最大限に生かすために、食直前にヨーグルトを食べましょう。

夕方に食べる

夕方にヨーグルトを食べると、カルシウムの吸収が一番良いと言われています。カルシウムは大腸がんの予防効果がありますので、大腸がんが気になる方はヨーグルトを夕方に食べましょう。


いかがだったでしょうか?ヨーグルトが食べたくなってきましたね。

「でも、どんなヨーグルトを食べたらいいのか、よく分からないな。」

こんな方もいらっしゃると思います。実際、診療中によくこのような質問を受けます。

腸内細菌は「指紋」と一緒で、人それぞれ違います。
このため、自分に合う整腸剤やヨーグルトも人によって違うのです。

そんな時は、特定保健用食品(トクホ)のヨーグルトを摂ってみましょう!
トクホとは、ある一定の健康に対する効果が国によって認められた食品のことです。簡単に認められるものではありません。

以下の4つの厳しい基準を満たしていることを論文にまとめることで、「トクホ」と認められます。
  1. 便秘や下痢の改善など便性の改善効果
  2. 腸内のビフィズス菌が統計的に優位に増える
  3. 発がん関連物質を含めた腸内の有害物質が減少する
  4. 菌が確実に大腸に達する
いかがですか?非常に厳しい基準ですよね。このため、「トクホ」には高い信頼性があるのも確かです。

どのヨーグルトを選ぶのが良いのか迷った時、まずはこの「トクホ」のついたヨーグルトを選んでみましょう!

ちなみに、現在、「トクホ」がついた代表的なヨーグルトは以下となります。

明治ブルガリアヨーグルト
森永乳業ビヒダス
小岩井生乳100%ヨーグルト
よつ葉北海道十勝プレーンヨーグルト生乳100
雪印メグミルク ナチュレ恵
ヤクルト ソフール


もちろん、この「トクホ」が絶対的なものではありません。

漢方薬の生薬のように、昔から様々な効果があることを評価されてはいるものの、科学的根拠(エビデンス)が証明されていないようなものもたくさんあります。

つまり、「トクホ」がついていないヨーグルトでも、自分に合ったヨーグルトであればいいわけです。

「トクホ」は、あくまで自分に合ったヨーグルト探しのとっかかりとして利用すると良いと思ってください。

あなたの腸に合うヨーグルト探しで迷ったら、まずは「トクホ」のついたヨーグルトから試してみましょう。
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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。