胆石ができやすい人の特徴とは?胆石の原因と症状を解説!
胆石ができる人ってどんな人か、皆さんはご存知ですか?胆石ができる人の特徴には、定義があります。それ以外にも、意外な食生活が関係している場合もあるのです。
胆石ができやすい人の特徴や、胆石の原因と症状について解説します。
胆石は、主に胆のうという袋状の臓器の中にできる石のことを指します。胆のうで作られた胆汁内に含まれる成分が、凝縮され結晶化したものです。胆汁は、食べ物から得た脂肪分やビタミンの消化・吸収を助ける黄褐色の消化液です。
胆石には、含まれる成分によって大きくコレステロール石と色素石に分類されます。
日本人における胆石症患者の約80%が、コレステロールを主成分とするコレステロール石です。胆汁色素を主成分とする色素石には、ビリルビンカルシウム石と黒色石があります。
また、結石ができる部位により、胆のう結石、肝内結石、胆管結石の3つに分類されます。胆のう内にできる胆のう結石が全体の約80%を占め、胆のうと十二指腸をつなぐ管である胆管にできる胆管結石は約20%、肝内結石は約2%です。
食生活の欧米化や高齢化に伴い、日本人の胆石保有率は増加傾向にあるといわれています。
実は、10人に1人が胆石を持っているとされています。その多くがコレステロール石といわれるコレステロールの増加によってできる胆石です。
コレステロールが高い食事を続けることで、胆汁に含まれるコレステロールが増え、胆汁のコレステロール濃度が高くなります。胆汁内のコレステロールが結晶化しコレステロール石ができるのです。
通常、胆汁の中のコレステロールは、胆汁酸やレシチンによって溶かされていますが、高エネルギー高コレステロールの食事を続けていると、胆汁に含まれたコレステロール量も増加します。このため、過剰なコレステロールが溶かされないままに結晶化してしまうのです。
胆石ができやすい人の特徴は、4Fで表されます。
・Female(女性)
・Fatty(太っている)
・Forty(40歳以上)
・Fertile(多くの出産経験がある)
これに白色人種(Fair)を加えて5Fと表されることもあります。
ただし、上記に表した4Fにあてはまる方だけが、胆石になるわけではありません。近年では高齢者が増加傾向と言われています。
4Fにあてはまらない方でも、胆石になる方には他の特徴があります。
普段食事を抜くことが多い方は、胆石ができやすいといわれています。実はこれが原因として一番多いのではないかと思います。
食事を抜くと、胆汁の流れが悪くなります。胆汁の流れが悪くなると胆汁がどろ水のように淀み、この状態が慢性的に続くと胆石ができてしまいます。
普段、時間がないと朝食などを抜いている方もいらっしゃると思いますが、知らないうちに胆石ができている可能性があります。
特にこれといった症状もないし、胆石は痛いと聞いたことがあるから自分は大丈夫と思っている方、それは正解ではありません。
胆石の主な症状は以下のものです。
・腹痛(胆石発作)
・胆道痛(右背部痛、右季肋部痛(みぎきろくぶつう)、右肩への放散痛など)
・発熱
・黄疸(おうだん)
胆石を持っている方の中で激しい腹痛を経験する方は、約20%程度といわれています。胆石を持っていても症状が出ない方が、ほとんどなのです。
胆石による激しい腹痛を、胆石発作といいます。
胆石発作は、胆のうの中にできた胆石が何かの拍子に胆のうの出口を塞ぎ胆汁が出せなくなることで、胆のうに炎症が起き痛みが生じます。
胆石発作の特徴は、食べてすぐではなく食後2〜3時間を経過してから突然起こる腹痛です。脂っこい夕飯を19時ごろにとられた方が、22〜23時ごろに腹痛を訴え来院される、というケースが多くみられます。胆石発作が起きた場合は、基本的には外科的手術を行います。
知らないうちに胆石ができている場合は、食後に突然腹痛に襲われるケースがあります。胆石による痛み(腹痛)を胆道痛といいます。右の肋骨下、みぞおち、右肩から背中にかけての放散痛などが特徴です。
黄疸は、皮膚や白目の部分が黄色くなるのが特徴です。われわれ日本人は黄色人種のため元々肌の色が黄色みがかっており、黄疸に気づきにくい場合があります。ただし、白目が黄色くなると違和感があるため気づきやすいかもしれません。
また、黄疸になると皮膚がかゆくなる、体がだるい、体調がすぐれない日が続く、むくみが治まらないといった方もいます。
ビリルビン尿は、褐色や黒っぽい尿のことです。胆石だけではなく、肝臓や胆道などに疾患がある場合にもみられることがあります。
血液中の赤血球は体内に酸素を運ぶ働きを持っていますが、古くなった赤血球は脾臓と肝臓で処理され、ビリルビンという黄色い色素成分となります。
通常ビリルビンは、胆汁に排出され便に混じり排泄されますが、胆石があると石により胆汁がせき止められるので、十二指腸に流れず血液中に流れ出ます。血液中のビリルビン濃度が上がり、尿となって排出されるため尿がビリルビンの色に変化するのです。
胆石は、胆石発作のような腹部の痛みだけではなく胆のうや胆管に炎症を起こし高熱がでる恐れがあります。
胆のうの出口で、胆石が詰まれば炎症や胆石発作などの症状を起こします。胆管への胆汁排出がせき止められ、胆汁によって胆のうの粘膜が傷つくと細菌感染を引き起こす恐れがあるのです。
細菌感染した胆汁が血液に混じると、敗血症を引き起こし命に関わるケースもあります。
それ以外にも、胆のうに急性の炎症が起こる急性胆のう炎があります。急性胆のう炎は、腹痛・発熱・嘔吐など強い症状が起こり加療が必要です。
黄疸やビリルビン尿、みぞおちの痛みなど胆石を疑う所見がある場合や、胆石が影響して症状が現れている場合には、検査を行い胆石の有無を確認します。
主な検査方法は、下記のものです。
・腹部超音波検査
・CT
・MRCP(磁気共鳴胆管膵管造影検査)
・ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)
・EUS(超音波内視鏡検査)
胆のうに胆石があると疑われる場合には、腹部超音波検査がもっとも有効だといわれています。胆石の種類によっては、CTでも診断できます。
腹部超音波検査では、胆石の大きさや個数を確認し、胆のうの状態を観察するのが一般的です。胆のうが腫れや炎症を起こしていないか、萎縮の有無や胆のうの壁などを観察します。
症状があってもCT、MRI(MRCP)では診断できないケースがあり、その場合にはEUS(超音波内視鏡検査)を用いることがあります。
なんらかの症状がある胆のう結石においての基本的な治療は、胆のう摘出術です。特に急性胆のう炎の90〜95%は胆石が原因であり、胆のう摘出術が第一に選択する治療法です。
無症状の胆石患者においても、できれば胆のうを切除する手術を行ったほうがいいと思います。胆石があることによって、胆のうの壁に石があたり続け炎症を起こし、最終的に胆のうがんができる可能性もあるからです。
ただし、現実的に手術が適応になるのは胆石発作の既往がある方がほとんどで、胆石があっても無症状の方は手術の適応にはなりません。
まずは、なるべく胆石ができないような食生活を心がけることが重要です。
胆石を持っている人の多くは、コレステロール石です。コレステロール石は、肉中心の食生活の欧米化に伴い増えたとされています。また、ファストフードやジャンクフードのように脂っこい食べ物を好んで食べている場合は、コレステロール石ができやすい環境です。
というのも、胆石ができる方の特徴である4Fには「太っている」ことが含まれていますし、また40歳以上では、加齢にともない基礎代謝量が低下するため、若い頃と同じ食事内容や量の場合は太りやすいためです。
胆石をつくらないためには、脂っこい食べものを避け適度に運動し健康的な体を維持することを心掛けましょう。
時間に余裕を持ち、朝食などを抜かないことも大切です。規則正しい食事と食事内容を意識することで、胆石ができるリスクは軽減できます。もし、知らない間に胆石ができていたとしても、食生活を改善することで胆石発作を起こすリスクも軽減できます。
胆石はできていたとしても、無症状の方がほとんどです。
胆石ができやすい人の特徴や胆石ができる原因を知っておくだけでも、胆石をつくらない、増やさないことができるでしょう。胆石は食生活からできてしまうことが多いので、意識的に脂っこいものを控える、バランスのいい食事をとるなど工夫することが大切です。
すでに胆石があり症状がある方は、突然の腹痛や命に関わるような事態になる前に専門医に相談しましょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。