胃の形は人によって違うってホント?日本人に多い胃の形とは?
みなさんは胃の形について考えたことがありますか?実は胃の形は人それぞれ違います。指紋のように千差万別に違うわけではありませんが、大きく分けると3つの形のタイプがあります。
その中でも日本人に多いとされている胃の形は、疲れやストレスが溜まると胃が不調を起こしやすいという特徴があります。
それ以外にも胃の形によって引き起こされるリスクや解消されにくい症状もあるので、自身の胃の形を知り、それに合わせた対応をするとリスクや症状の軽減が期待できます。
この記事では、胃の形とそれによって引き起こされるリスクとの関係性や対処法について紹介します。
胃は、みぞおちあたりにある袋状の器官です。
噴門部という胃の入り口と胃本体である中心部、幽門部という胃の出口からできており、十二指腸へつながっています。胃の近くにある血管には、リンパ球が多く集まりリンパ節があります。
胃壁は層になっており、内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜でできています。
食べ物が咀嚼され食道を通り、胃に入ると時間をかけて消化します。咀嚼されず固まっている食べ物を胃液や消化酵素と混ぜ、どろどろに溶かすのです。固形から液体へ変わると、幽門部から少しずつ十二指腸へ送られていきます。
胃の入口である噴門部は、胃の中にある食べ物が再び食道へ逆流しないようにしっかりと口を閉める役割があります。出口である幽門部は、十二指腸へ送り込む食べ物の量を調整します。
胃の形は、大きく分けて3つあります。牛角胃(ぎゅうかくい)・鉤状胃(こうじょうい)・瀑状胃(ばくじょうい)です。
それぞれの胃の形によって胃もたれなどの症状が出にくい、出やすいなどの特徴があります。普段、胃に関する症状がある場合には、胃の形が関係しているかもしれません。
症状と照らし合わせて確認することで、症状の軽減や解決策につながる可能性があります。
牛角胃は、牛の角の形に似ており横長ですっきりとした形が特徴です。横胃と呼ばれることもあります。
欧米人に多い形の胃です。すっきりとした形をしているため、胃で消化した食べ物が十二指腸へスムーズに排出されます。
牛角胃は、内蔵や内臓脂肪によって胃の中央部が下から押し上げられるために、このような形になります。内臓脂肪の多い人に見られる形で、十二指腸潰瘍になる傾向が高いともいわれています。
胃の中に流れてきた食べ物が消化された後に十二指腸へ排出されやすい牛角胃は、胃もたれしにくいのも特徴です。胃もたれしにくく消化がスムーズに行われるため、満腹感を得にくい傾向があり、食べ過ぎてしまう人が多いです。
胃に問題がなく消化が上手くされることは良いことですが、肥満傾向が強くなることを忘れないようにしましょう。既に肥満気味の方は、食べる量の調整や適度な運動を取り入れて肥満解消に努めるといいでしょう。
鉤状胃は、縦長でつり針のように曲がった形をしています。日本人に多い胃の形です。胃の中央部下の湾曲した部分が、出口である幽門部より低い位置にあるため食べ物がたまりやすいです。
胃が上手く機能している時には、十二指腸へ消化した食べ物を送り出せます。しかし、ストレスや疲れなどがたまり胃の動きが悪くなると、食べ物がスムーズに十二指腸に流れず胃もたれの原因になります。
胃の動きを助けるような働きかけをすることで、胃もたれが改善するケースが多いです。
4-1. 鉤状胃はストレスによる胃もたれが出やすい
もともと胃の中央部下の湾曲した部分に、食べ物が溜まりやすい形である鉤状胃は、胃の働きが悪くなるとその影響を受けやすいです。
長期にわたり胃もたれを感じている場合は、自律神経のバランスが崩れている恐れがあります。自律神経の乱れによる粘膜の血流低下で胃酸の過剰分泌などが起こると、胃の粘膜が次第に破壊されてしまいます。
そのためストレスによる胃もたれが多い場合は、胃潰瘍になりやすいといわれています。
胃は、自律神経の働きによってコントロールされている器官であるため、ストレスや疲れによって自律神経が乱れてしまうと胃の働きも悪くなってしまいます。
胃の動きが悪くなると胃もたれ以外にも、胸やけや食欲不振といった症状が出ることがあります。「薬を飲んでも胃もたれが良くならない」ということで、さらに不安やストレスを溜めてしまっては逆効果になってしまうかもしれません。
市販薬などを服用しても改善が見込めない場合には、専門医に相談するようにしましょう。
瀑状胃は、胃の上部が大きく膨らんでおり「く」の字を逆にしたような、折れ曲がりの強い形が特徴です。
折れ曲がりが強い形をしているため、食道から入ってきた食べ物が胃の中で流れにくく胃の上部に食べ物が残ってしまうことがあります。
胃の上部に食べ物が残るため、胃酸が出やすい傾向にあります。さらに、食道へ胃酸が逆流してしまうこともあります。胃もたれや胸やけといった、酸逆流症がでやすい胃の形です。
酸逆流症は、胃の中の酸が食道へ逆流することでみぞおちの上がヒリヒリ・ジリジリとした焼けるような感覚があります。
また、胸やけや酸っぱい液体が胃からこみあげてくるような呑酸、胃がむかむかするような胃もたれなどの症状があります。
症状は人によってさまざまですが、食後に起きるのが特徴です。胃酸の逆流は、食後2~3時間後に起こることが多く、このタイミングで胸やけや胃もたれを感じるのであれば、酸逆流症の可能性が高くなります。
多くの方は、胃もたれや胸やけの市販薬を飲んで症状を抑えようとしますが、瀑状胃の場合は薬が効きにくいです。
胃薬の多くは胃酸を抑える作用がありますが、瀑状胃では酸逆流症を起こしている根本的な原因が胃酸ではなく、胃の上部に食べ物が滞留していることだからです。
胃もたれや胸やけの症状が、薬でも治らない場合は瀑状胃である可能性があります。
5-3. 内服薬でも胃もたれが改善できない場合の対処方法
内服薬でも胃もたれが改善しない場合には、下記のことを試してみましょう。
(1)食後、左半身を下にして横向きになる
(2)左半身を下にした状態からうつ伏せになる
(3)うつ伏せから右半身を下にするようにクルクルと回転する
(4) 上に溜まった食べ物が胃の出口に流れる
体を横回転させると、胃の上部に溜まった食べ物が胃の出口である幽門部へ流れやすくなります。食後の軽いストレッチで、胃もたれや胸やけ症状が現れなくなるのであれば、瀑状胃の可能性も考えられます。
もし、寝る前まで胃もたれが続き眠れないという場合には、上体を少し起こすか左半身を下にして眠ると楽になることがあります。
日本人の10人に2~3人の割合で、瀑状胃の方が存在しますが、生まれつき瀑状胃というのは稀です。
多くの場合は、肥満によって瀑状胃になってしまいます。内臓脂肪が増えることで、胃の下部が押し上げられてしまい瀑状胃の形になってしまうのです。
内臓脂肪を減らせば、胃もたれや胸やけなどの辛い症状を緩和できます。食生活の見直しと適度な運動を心がけて実践し、内蔵脂肪を落とすことが胃もたれ改善につながるでしょう。
また、複式呼吸をすることで、横隔膜が刺激され消化機能が活発化します。普段の生活の中で、腹式呼吸を意識するだけでも効果が期待できます。
7. 酸逆流症が慢性化すると逆流性食道炎になることも
胃酸の逆流を繰り返すと、食道に炎症ができる恐れがあります。逆流性食道炎になることも多いです。
胃は塩酸成分が含まれる胃酸から粘膜を守るために粘液を分泌しますが、食道には防御できる手だてがありません。
胃から逆流する胃酸によって、食道粘膜が少しずつただれてしまい次第に炎症が起きてしまいます。
胃酸の分泌を抑える薬もありますが、根本的な改善につながらないこともあります。
酸逆流症による胃もたれや胸やけなどの症状は直接命に関わる病気ではありませんが、日常生活に支障をきたすことがあり悩んでいる方も多いです。専門医で相談しましょう。
胃の形は人によってさまざまです。
胃の入口である噴門部や出口である幽門部の位置によって、胃の働きが円滑に行われる場合もあればその逆もあります。
胃の動きが悪くなると、胃もたれや胸やけなど辛い症状が出る場合もあります。市販薬を服用しても胃もたれが改善しない場合は、胃の形に伴うものとそれ以外の原因が考えられます。
「横になれば楽になるから」と放置せず、辛い症状や気になる症状がある場合には専門医に相談することをおすすめします。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。