内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

近年急激に増加している大腸がん・乳がん・前立腺がんは生活習慣病であるということをご存じですか?

生活習慣の改善ががん発症予防に

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近年、急激に増加している大腸がん・乳がん・前立腺がんですが、その原因の大多数が食生活に代表される生活習慣病であると言われております。
逆を言うと生活習慣の改善で予防できる「がん」とも言えます。
近年、急激に増加している「大腸がん」「乳がん」「前立腺がん」は、生活習慣である食生活、運動習慣、飲酒、喫煙や肥満などが発症リスクに大きく関係しているといわれています。生活習慣の改善が発症予防には第一ですが、早期発見・早期治療のためにそれぞれのがんに適した的確な検査を受けられることをお勧め致します。

部位別がん罹患率(2012年、男女別)

部位別がん罹患率【男性】 (2012年)

部位別がん罹患率【女性】 (2012年)

臓器別がん死亡率

特に大腸がんは、1950年から2000年までの50年間で我が国の大腸がんによる死亡者数は、男性で約10倍、女性で約8倍と急激に増加していることが統計上わかっています。東京オリンピックが開催される2020年には男女とも死亡原因の第1位(現時点では男性第3位、女性第1位)になると予想されています。
大腸がん同様、乳がん、前立腺がんにかかる方も近年増加しています。

大腸がんは、臓器別がん死亡原因の

大腸がん全体の治癒率は約70%であり、早期であれば「ほぼ100%近く完治する」疾患であるにもかかわらず、現実には大腸がんはがん死因の男性第3位、女性第1位となっています。
早期発見できれば、亡くなることを防げるがんであるにも関わらず、大腸内視鏡検査の普及率はまだまだ高くないために、残念ながら死亡率は下がっていないのが現状です。
大腸がんにならない、大腸がんで亡くならないためには「40歳を過ぎたら一度は大腸内視鏡検査を受けておく」事がとても重要な鍵となります

生活習慣を悪化させる原因5つ

さてこれらの3つのがんにかかる方が近年急激に増えてきたのは、どうしてでしょうか?
「喫煙」、「飲酒量の増加」、「食生活の欧米化」、「肥満」、「運動不足」などの生活習慣の悪化が一因とされています。

01 喫煙

喫煙は3つのがん、すべてでリスクを増加させます。喫煙はそれ以外の病気発症リスクも高めるため、禁煙することで多くの病気のリスクを下げることができます。

02 飲酒

飲酒も喫煙同様に3つのがん、すべてのリスクを増加させます。禁酒できれば良いのですが、できない場合は少しでも節酒しましょう。飲酒は咽頭がん、食道がんや肝臓がんなど多くの病気のリスクにもなります。注意しましょう。

03 食生活の欧米化

食生活の欧米化に伴う赤身肉や加工肉の摂取の増加、繊維質摂取の低下、乳製品などの動物性脂肪摂取の増加などによりがんのリスクが増加します。加工肉や乳製品などの動物性脂肪の摂取を減らし、魚、野菜類の摂取を増やすことによりリスクが下がる可能性があります。

04 肥満

肥満は大腸がんの発症リスクを上げます。また乳がんでは特に閉経後の乳がんのリスクが高くなります。前立腺がんでは、肥満の人はそうでない人よりがんが進行するリスクが高くなることがわかっています。
肥満を解消することで多くの疾患のリスクを下げることができます。

05 運動不足

運動することで大腸がん、乳がん(とくに閉経後)、前立腺がんのリスクが下がることがわかっています。できるだけ身体を動かすとともに肥満を解消するようにしましょう。
がんには遺伝的な要因がかかわっていることも少なくありません。しかし、上記生活習慣の改善で少しでもリスクが下がる可能性があるため努力しましょう。
1996年には「成人期の食生活や肥満の改善によりがん死亡の30%が予防可能である」とアメリカで発表されています。

家族歴に乳がんのある方は前立腺がんや大腸がんにも注意

大腸がん・乳がん・前立腺がんは疾患それぞれが互いに関わりのある「がん」であるといわれていますので、家族歴に乳がんのある方は前立腺がんや大腸がんにも注意してください。

また大腸がんにかかわらず、「がん」の大部分が「40歳代以降に急激にかかりやすくなる」ということが統計上わかっており、年齢と共にリスクが増加してきます。大腸・乳腺・前立腺をはじめ、40歳を過ぎたら適切な検査を受けていくことが大切になってくると思われます。

大腸がんの年代別の罹患率(かかる人の人数)のグラフ

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この記事を書いた人

平島 徹朗医師

国立佐賀大学医学部 卒業。
大分大学医学部附属病院消化器内科、国立がん研究センター中央病院内視鏡部など、多くの病院・内視鏡専門クリニックで消化器内視鏡診断・治療を習得後、2011年たまプラーザ南口胃腸内科クリニック開院。