内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

福岡天神内視鏡クリニックの医師の細川です。
当院は、福岡の中心地で九州で1番の繁華街である天神にあります。
クリニックの周辺には飲食店をはじめとする様々なお店、会社や事務所などが多数あります。クリニックの立地の影響もあるかもしれませんが、一般的な消化器内科クリニックと比較すると、当院に来院される患者さんの多くは20~30代の年齢が若い人が多い印象です。

比較的年齢層が若い患者さんが多いですが、毎日様々な胃腸の不調を訴えて多くの患者さんがご来院されています。
年齢層が高い人達以上に「胃が痛い」「胃が重い」「吐き気が続くため食事が全く食べられない」などの症状を訴えて多くの人が来院されます。

一般的には、年齢層が若い人では、胃がんや大腸がんなどのいわゆる悪性疾患に罹るリスクは低くなりますが、若い人達でも胃がん、大腸がんに罹る人はいるため、症状がある場合は、胃カメラ、大腸カメラを受けることはオススメ致します。

実際に、私が当院で経験した最年少の胃がんと大腸がんの患者さんは、いずれも20代でした。
年齢が若くても症状がある場合には、胃がんや大腸がんなどの命に影響する病気が隠れている場合もあります。年齢が若いからこそ、逆にしっかりと症状の原因となる病気が隠れていないかを検査で調べて否定しておくことが大切です。

勿論、冒頭でもお話したように20代や30代で胃がんや大腸がんが見つかる人は一般的には少なく、検査を行っても多くの人では、症状の原因となる明らかな異常がない場合がほとんどです。

ここで多くのが、「検査をしても何も異常がないのに、どうして症状があるの?」と思われたのではないでしょうか?
そこで、今回はこの年齢層が若い人達に多い、症状があるにもかかわらず検査では何も異常がない病気の原因に関してお話ししたいと思います。

機能性疾患と器質的疾患について

病気は、器質的疾患と機能性疾患の大きく2つに分類することができます。
器質的疾患は、臓器自体に炎症や癌などの何らかの異常が起こり、その異常が原因で様々な症状が出現する病気や病態です。器質的疾患は、症状の原因となる異常が必ず臓器自体にあるため、検査をすると症状の原因となる異常が確認出来ます。

一方、機能性疾患は、臓器自体に異常はありませんが、臓器の働きが乱れているため、その影響で症状がある病態です。機能性疾患では、臓器自体に何も異常が起きていないため、色々な検査をしても症状の原因となる異常は見つかりません。多くの場合は、ストレスや疲れなどの自律神経の乱れが原因となり、臓器の働きが乱れることで症状が出現します。

何かに集中している時や寝ている時、休日などには症状が出なかったり、ストレスや環境の変化で症状が悪化するのが特徴です。

若い方で自律神経の調節が苦手な体質の場合、生活習慣の乱れやストレスなどがきっかけとなり、胃の場合だと「胃が痛い」「胃が重い」「吐き気がする」「食事が全く食べれない」などの症状が出現します。
大腸の場合だと「お腹が痛い」「お腹にガスが溜まる」「便秘と下痢を繰り返す」「ご飯を食べるとすぐトイレに行きたくなる」などの症状が出現します。

特に、胃腸は第二の脳と言われるぐらい、精神的なストレスの影響を受けやすい臓器です。このため、生活習慣の乱れやストレスなどが蓄積すると、まずはじめに不調が出やすい臓器です。

思い当たるストレスや疲れなどがあり、これらで悪化する胃腸の不調がある場合は、機能性疾患の可能性が高いと言えますが、そうはいってもあくまでも機能性疾患の診断は、検査で症状の原因となる異常がなく、器されf,質的疾患の存在が否定できて初めて診断されます。
そういえば、最近、ストレスや疲れが多いから、その影響だろうと気軽に自己判断して様子を見ないでください。

冒頭でお話した20代の胃がんと大腸がんの患者さんも、受診されたとき、「ストレスが原因かなと自分でも思ってるんだけど、症状が続くので心配で」と来院してくれ、検査を受けてくれたからこそ、早期発見・早期治療に繋がりました。

若い方の場合、確率的には悪性疾患が存在する可能性は低いですが、残念ながらその確率はゼロではありません。
若いからこそ、将来の安心のためにも、少しでも気になる症状があれば、早めに受診し検査まで受けましょう。

機能性ディスペプシアについて

機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)は、胃もたれや胃痛、早期膨満感などの胃の不快な症状を来たす病気です。胃の不快な症状があるにもかかわらず、胃カメラ検査を行っても原因となる異常が何も無い場合に診断されます。
胃カメラ検査をしても胃潰瘍や胃がんなどの症状の原因となる器質的疾患は何も見つからず、胃の不快な症状だけがある機能性疾患に一種です。

日本人の約10人に1人が機能性ディスペプシアと診断される症状を持っていると言われています。特に若い女性に多いと言われています。命に影響を及ぼすような怖い病気ではありませんが、仕事や勉強に集中できない、食事が食べられず身体がキツいなど、生活の質を著しく損なう病気です。

機能性ディスペプシアの原因は、ストレス、過食や不規則な食生活、喫煙、過度なアルコール摂取などと考えられています。

機能性ディスペプシアでは、胃に次の3つの異常が起こるため症状が出現すると考えられています。

①胃の上部の膨らみ不良
正常な胃では、食事摂取で胃の上部が反射的に広がり、そこに食事をためます。その後徐々に胃の下部で粥状になるまで消化しながら、胃から排出しています。しかし、機能性ディスペプシアでは、この胃の上部の広がりが悪くなり、食事をためることが出来ないため、お腹がすぐに一杯になります。これが少量の食事でお腹がいっぱいになりすぐ食べられなくなる早期膨満感の原因です。

②胃の運動機能異常
正常な胃では胃が波打つように動いて食べ物を消化しながら、胃から十二指腸に送っています。
しかし、機能性ディスペプシアでは、この胃の動きが悪くなるため、食べ物が胃の中に長く残りやすく、この結果、胃もたれ症状が出現します。

③胃の知覚過敏(胃酸への感受性増加)
正常な胃は、胃酸が分泌されても胃粘膜は痛みを感じません。
しかし、機能性ディスペプシアでは、胃が胃酸に対して知覚過敏を起こすため、胃酸が分泌されただけで胃痛を感じます。

機能性ディスペプシアでは、この3つの異常が原因で様々な胃の不快な症状が出現します。機能性ディスペプシアの症状は、逆流性食道炎やヘリコバクター・ピロリ菌感染、進行胃がんなどでもみられる症状と似ています。若い人で起こりやすい病気のため、これらの症状があっても、ストレスに違いないと様子を見てしまいがちですが、若くても胃がんなどの原因となる病気が隠れていることもあります。
このため、これらの症状が続く場合は、一度胃カメラ検査で症状の原因となる異常が無いかを調べるのが大切です。このような症状で悩んでいる場合は、一度お気軽にご相談ください。

機能性ディスペプシアの症状を軽減させる方法について

機能性ディスペプシアは、胃の上部の膨らみ不良、胃の運動機能異常、胃の知覚過敏(胃酸への感受性増加)の3つの異常が起こり、胃の不調な症状が出現すると考えられています。
これらの3つの異常を改善させるアプローチをしたり、これらの異常の根本的な原因であるストレスに対処すると症状が軽減しやすくなります。

① 胃の上部の膨らみ不良・胃の運動機能異常に対するアプローチ
食べたものの胃内滞留時間が長くなると胃の不快な症状が悪化します。
これを避けるため、胃で消化されにくい食事の摂取を控えるのが有効です。

胃内滞留時間はタンパク質、炭水化物、脂肪の順に長くなります。
脂肪分の多い天ぷらやビーフステーキなどは胃で消化されにくいため、胃もたれや吐き気の悪化の原因になります。
症状が強い場合には、胃の動きを改善させる消化管運動機能改善薬の投与を検討します。

② 胃の知覚過敏状態に対するアプローチ
治療には胃酸の分泌を抑える薬を投与しますが、胃酸に対する知覚過敏が症状の原因のため、少量の胃酸でも痛みが出てしまうため、薬で胃酸の分泌量を低下させても残念ながら症状は残りやすく、それほど効果は期待できません。
では、知覚過敏を改善させる方法はないのでしょうか?
感覚神経が過敏になっているのが症状の原因のため、この感覚神経を麻痺させてあげると症状が軽快します。
多くの人が意外と思うかもしれませんが、胃の知覚過敏を麻痺させるのには唐辛子に含まれるカプサイシンが有効です。カプサイシンには痛み刺激を感じる受容体であるTRPV1の反応を鈍らせる脱感作作用があるためです。
食事の時に唐辛子をひと振り摂取すると胃痛などの不快な症状を感じにくくなります。
唐辛子が苦手な場合はカプサイシンのサプリメントも有効です。

③ ストレスに対するアプローチ
機能性ディスペプシアの根本的な原因はストレスなどによる自律神経の乱れです。このため、胃の動きが悪くなり、また胃の知覚過敏も起こり、胃もたれや胃痛などの症状が出現します。
機能性ディスペプシアでは、症状自体もストレスになるため、それによりさらに症状が悪化するという悪循環に陥っています。休日はゆっくり休む、好きなことをして楽しむなど、ストレス解消に努め、根本的な原因を取り除くことが大切です。

④ 症状出現時に症状を緩和させるアプローチ
機能性ディスペプシアによる胃痛があるときには、腹筋を緩めてリラックスした状態で30分程度お腹を温めるのが効果的です。
横たわった状態でクッションなどを支えにして膝を曲げ、お腹の緊張を取り、お腹にブランケットを掛けたり、湯たんぽを当てたりして温めます。
膝を曲げ腹筋を緩めると、お腹の緊張がとけて血流が良くなります。お腹の緊張を取った状況で更に、お腹を温めるとより血流がアップし、痛み物質が血液とともに流れて滞らないため、痛みが軽快しやすくなります。また、胃への血流が増えることで、胃を保護する粘液が増加する効果も期待できます。

機能性ディスペプシアの症状で悩んでいるときには是非、これらも試してみてください。
機能性ディスペプシアでみられる症状は進行胃癌や逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ感染症でも認められる症状です。このため、まずは検査で症状の異常が無いことを必ず確認するのが大切です。

過敏性腸症候群について

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、お腹の痛みや便秘と下痢を繰り返すなどの腸の異常が数ヶ月以上も続くにもかかわらず、大腸カメラ検査を行っても原因となる異常が何も無い場合に診断される病気です。
大腸カメラ検査をしても大腸炎や大腸がんなどの症状の原因となる異常はなく、お腹の不快な症状だけがある病態なので機能性疾患の一種です。

日本人の約10人に1人が過敏性腸症候群と診断される症状があると言われています。機能性ディスペプシアと同様に特に若い女性に多い疾患です。過敏性腸症候群は、命に影響を及ぼす怖い病気ではありませんが、機能性ディスペプシアと同様に生活の質を大きく低下させる病気です。
過敏性腸症候群は、数ヶ月以上にわたり便通異常が継続したり、排便後に改善する腹痛を伴うのが特徴です。
器質的疾患ではなく、機能的疾患であるため、採血や内視鏡検査をしても症状の原因となる炎症や腫瘍などの異常は認めません。
腸の役割は、食べ物の消化・吸収と不要物の排泄を行うことですが、この役割を果たすために動きと変化を感じ取る知覚機能が備わっています。
腸の蠕動運動や知覚機能は、腸と脳の間の情報交換で調節されていますが、ストレスや緊張状態の継続により腸の蠕動運動が激しくなると腸が知覚過敏を起こします。この腸が知覚過敏を起こした状態が、過敏性腸症候群の症状の原因です。

特に感受性が高くストレスを感じやすい10~30代の若い世代で起こりやすい疾患です。入学・入社・職場の異動・転職・結婚・出産などの生活環境が変わるタイミングで発症しやすくなります。
また、年齢を重ねるにつれて患者さんの数が減っていくのも特徴です。年齢が上がるにつれ、ストレスが解消しやすくなるなどが患者数減少に関与していると考えられています。

また、ストレスだけでなく、細菌やウイルスによる感染性腸炎後も過敏性腸症候群を発症しやすいと言われています。感染により腸に炎症が起こると粘膜が弱くなるのに加えて腸内細菌のバランスの変化が腸の蠕動運動の亢進と知覚過敏を引き起こすのが原因ではないかと考えられています。

過敏性腸症候群は、検査の結果、腸自体には炎症や腫瘍など症状の原因となる器質的疾患が無いことが診断の大前提となります。
このため、症状だけで過敏性腸症候群と診断するこおは出来ず、大腸カメラ検査で大腸癌などの悪性疾患や炎症性腸疾患などがないことを確認する必要があります。
特に50歳以上の患者さんや便通異常に加えて血便や発熱、体重減少、異常な身体所見などのアラームサイン(危険徴候)もある場合、過去に大腸の病気の既往がある場合、大腸がんの家族歴がある場合は、過敏性腸症候群による症状ではなく、器質的疾患に伴う症状である可能性があります。

お腹の不調があるにもかかわらず、1年以内に大腸カメラ検査を受けたことがない場合は、まずは検査で器質的疾患の有無を確認することをお勧め致します。

過敏性腸症候群の症状を軽減させる方法について

繰り返しになりますが、過敏性腸症候群は大腸自体には炎症やがんなどの症状の原因となるような異常が臓器自体にはないにも関わらず症状だけが出ている病気です。ストレスや不安、緊張状態などが原因となって、心と身体のバランスが乱れた結果、腸の動きがスムーズに行かなくなり症状が出現すると考えられています。

症状が出現するこのメカニズムから過敏性腸症候群は、症状の出方に次のような特徴があります。
1)仕事や学校が休みになる土日祝日は普段より症状が軽くなりやすい
2)好きなことや楽しいことをしているときには普段よりも症状が軽くなりやすい
3)休み明けの仕事始まりや試験がある、大事な仕事があるなどの緊張を強いる状況の前になると症状が普段よりも強く出やすい

過敏性腸症候群の根本的な原因は、ストレスや不安、緊張状態の持続などによる自律神経が乱れることです。
このため、この症状を引き起こす一番の原因となるストレスや不安が無くならなければ、治療のために薬を服用しても、残念ながらその症状を改善させることはできません。
そこで、過敏性腸症候群を治療する場合は、ストレスや不安などを取り除く、根本的な原因に対する環境整備を行いながら、消化器内科としては次の様なアプローチで腸の動きに対するサポートを行い、症状の改善を目指します。

①食事内容の見直し
食物繊維をしっかり摂取しましょう。特に高FODMAP食の摂取を控えましょう。
過敏性腸症候群の人は、高FODMAP食を摂取すると症状が悪化しやすいと言われています。

【FODMAPとは?】
Fermentable(発酵性)、Oligosaccharides(オリゴ糖)、Disaccharides(2糖類)、Monosaccharides(単糖類)and Polyols(ポリオール:ソルビトール、マンニトール、キシリトール)の頭文字をとってFODMAPといいます。
これらの4種類の糖類は、腸内で発酵して吸収されにくくなるため、様々なお腹の不快な症状をFODMAPといいます。これらの糖類をたくさん含む食事が高FODMAP食です。
FODMAPは小腸で吸収されにくい性質の糖質であるため、高FODMAP食を摂取すると小腸内の糖質濃度が高くなります。すると、水分が小腸内に引き込まれるようになってしまうため下痢や腹痛が引き起こされてしまいます。さらに、FODMAPは腸管内で発酵しやすく、大腸内でガスを発生させるために腹部膨満も誘発されてしまいます。

【FODMAPの具体例】
高FODMAP食は、意外に身近な食べ物に多く、パン、ラーメン、うどん、パスタ、ピザ、牛乳、ケーキなど割と良く食べられるものに含まれます。また、一般的には腸に良いと言われている納豆やヨーグルトなどの食品の中にも高FODMAP食があります。
過敏性腸症候群の人は高FODMAP食の摂取で症状が悪化しやすいと言われています。
「お腹の調子が悪いから腸のために」と納豆やヨーグルトを毎日頑張って摂取したりしていませんか?
食事は毎日の積み重ねのため、実は健康に対してかなりの影響があります。上記に思い当たる点がある方は、一度、高FODMAP食の摂取を控えてみるのが良いかもしれません。

穀物
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
米、玄米、米粉類(フォー、ビーフンなど)、十割ソバ、オート麦、シリアル(米、オート麦)、タコス、スターチ、タピオカ、こんにゃく麺、グルテンフリー食品、など
<高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
大麦、小麦、ライ麦、パン(大麦・小麦・ライ麦)、ラーメン、パスタ、うどん、そうめん、ピザ、トウモロコシ、お好み焼き、ケーキ、パイ、パンケーキ、焼き菓子、シリアル(大麦、小麦、オリゴ糖、フルーツ、蜂蜜を含むもの)、など

野菜・いも類
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
ナス、トマト、ブロッコリー、人参、ピーマン、ホウレンソウ、カボチャ、キュウリ、ジャガイモ、ショウガ、オクラ、レタスキャベツ、大根、ラディッシュ、タケノコ、もやし、チンゲンサイ、白菜、カブ、パセリ、パクチー、海藻類(昆布・ひじき)、など
<高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
アスパラガス、豆類(大豆、さやえんどう、ひよこ豆、小豆)、納豆、ゴーヤ、玉葱、ニンニク、にら、カリフラワー、ゴボウ、セロリ、サツマイモ、きくいも、里芋、キノコ類(しいたけ・マッシュルーム)、キムチ、らっきょう、など

肉・魚・卵・ナッツ・スパイス
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
ベーコン、ハム、豚肉、牛肉(赤身)、鶏肉、羊肉、魚介類、卵、ミント、バジル、クルミ、ピーナッツ、栗、カレー粉
ヘーゼルナッツ(10粒以下)、アーモンド(10粒以下)、こしょう、チリパウダー、唐辛子、など
 <高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
ソーセージ、カシューナッツ、ピスタチオ、アーモンド(20粒以上)、わさび、あんこ、きな粉、など

調味料・その他
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
塩、味噌、醤油、マヨネーズ(小さじ3杯まで)、オリーブオイル、酢、缶詰のトマト、ココア、魚油、ココナッツオイル
メープルシロップ、キャノーラ油、オイスターソース、ウスターソース、酵母、ピーナッツバター、など
<高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
蜂蜜、オリゴ糖、コーンシロップ、果糖ブドウ糖液、ソルビトール・キシリトールなどの甘味料、アップルソース、ブイヨン、トマトケチャップ、カスタード、カレーソース、バーベキューソース、固形スープの素、豆腐、豆乳、バルサミコ酢、豆乳など

乳製品など
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
バター、マーガリン(牛乳を含まないもの)、ラクトフリー(乳糖が入っていないもの)、アーモンドミルク、ブリーチーズ、カマンベールチーズ、チェダーチーズ、ゴルゴンゾーラチーズ、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズ、など
*硬めのチーズは低FODMAPであることが多い。乳糖が多いチーズは避けた方が良い
<高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
牛乳、乳糖を含む乳製品全般、ヨーグルト、アイスクリーム、クリーム類全般、ラッシー、プリン、ミルクチョコレート
ホエイチーズ、プロセスチーズ、カッテージチーズ、ブルーチーズ、クリームチーズ、コンデンスミルク、など

果物
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
バナナ、イチゴ、ココナッツ、ブドウ、メロン、キウイ、オレンジ、レモン、金柑、パイナップル、ライム、ラズベリー
ブルーベリー、ザボン、クランベリー、ドリアン、など
<高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
リンゴ、スイカ、あんず、桃、梨、西洋梨、グレープフルーツ、アボガド、ライチ、柿、パパイヤ、さくらんぼ、イチジク
マンゴー、ドライフルーツ、など

ドリンク
<低FODMAP食:症状を起こしにくい食事>
紅茶、コーヒー(無糖)、緑茶、レモネード(無糖)、クランベリージュース、ビール、ジン、ウオッカ
ウイスキー、甘くないワイン、タピオカティー、ラム以外のリキュール、水など
<高FODMAP食:症状を起こしやすい食事>
高FODMAPフルーツのジュース、果糖の入ったドリンク、ウーロン茶、ハーブティー、エナジードリンク、ラム
マルチビタミンジュース、ポートワイン、甘いワイン、リンゴ酒


②生活習慣の改善
自身が何に対してストレスや不安を感じているかを明らかにしてみましょう。
自律神経の乱れの原因をしっかりと明確にすることで、原因となっているストレスや不安を軽減できるように環境調整をしていきましょう。
また、過敏性腸症候群の場合、脳が疲れると症状が悪化しやすくなるため、睡眠を十分に取ることも大切です。脳の興奮を抑えて、良好な入眠を得るためにも寝る2時間前からはスマホなどは触らないようにしましょう。入眠前にスマホを触ると脳が興奮するため、良好な入眠が得られなくなります。

③クスリによる症状改善のサポート
過敏性腸症候群の薬物治療としては、消化器内科では腸内環境を整える整腸剤や便の形を調節する薬を使用します。
ただし、消化器内科で使用するこれらのクスリは症状の原因となる根本的な原因を取り除く物ではありません。
このため、ストレスや不安・緊張などの自律神経を乱す根本的な原因が残っていると服用してもあまり効果が得られません。これらの薬剤は、あくまでも腸の動きをサポートする薬でしかないため、自律神経の乱れの原因となっている自身の周辺環境の見直しや調整を行わず、薬だけで治療を行っても症状の改善は期待できません。
このことをしっかりと理解したうえで、症状を引き起こしている根本的な原因となっている自律神経の乱れを取り除くための調整をしっかりしていきましょう。

自分自身でストレスや不安に対する周辺環境の調整が難しい場合は、心療内科的なアプローチの検討も必要になってきます。


いかがだったでしょうか?
繰り返しになりますが、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群などの機能性疾患は炎症や腫瘍などお腹の不調な症状の原因となる腸の異常が何も無いことが診断の大前提となる病気です。
血便や発熱、体重減少などの異常を伴っている場合は、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群以外の病気が原因になっている可能性が高くなります。お腹の異常がある場合は、症状から機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群だろうと判断するのではなく、まずは胃カメラと大腸カメラで器質的疾患の有無を確認しましょう。
悩みの場合は、是非一度ご相談ください。
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この記事を書いた人

萱嶋 善行医師

福岡大学医学部卒業。
福岡大学病院など多くの総合病院で消化器内視鏡検査・治療を習得。
病理診断にも研鑽を積む。2023年3月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。