胃カメラ検査は、鼻と口どっちがいい?経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いやメリット・デメリット!
胃カメラ検査は口や鼻からカメラ(内視鏡)を使用し、食道・胃・十二指腸に異常がないかを観察して調べる検査です。
胃カメラ検査に使用する内視鏡は、鼻から入れる経鼻内視鏡と口から入れる経口内視鏡の2種類がありますが、どちらがいいのか迷った経験がある人もいるのではないでしょうか。
これは、胃カメラ検査が「つらい」「痛い」「オエッとなって苦しい」というイメージがあるからかもしれません。
胃カメラ検査で、早期に病気を見つけるためにも胃カメラ検査を避ける選択肢はおすすめできません。
不安や恐怖心を払拭するためには、経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査について理解することが一番です。
今回は経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査の違いを解説し、それぞれのメリットとデメリットについてご紹介します。
経口内視鏡はスコープの直径が9mm前後あります。
口にマウスピースを加えた状態で、経口内視鏡を体内へ挿入していきます。
胃カメラ検査に対する「痛い」「苦しい」というイメージがあるのは、経口内視鏡を用いた検査の場合がほとんどです。
これは、経鼻内視鏡に比べると約2倍の太さのスコープが、舌の根っこ(舌根)を通過して「オエッ」となる反射を誘発したり、咽頭を通過する時の痛みなどが原因です。
経口内視鏡は、経鼻内視鏡よりも太くはなりますが、高性能で高画質なカメラが内蔵されています。さらに、病変を発見した時にも、鉗子口からさまざまな器具を体内に挿入し、操作することが可能になります。
内視鏡のアングルも死角がないように操作が可能になり、見落としも少なくなるのがメリットです。
スコープが太くなることで、画質が良くなるだけではなく、病変部をズームで拡大し、詳細な観察が可能な拡大観察機能が搭載されています。
ノズルも広くなるため水や空気の吸い上げが早く、検査も短時間で行なうことが可能です。
経口内視鏡のスコープが咽頭部を通過するため、咽頭反射が起きやすい状態の中で検査を受けなければなりません。
口から挿入する経口内視鏡は、経鼻内視鏡の太さの約2倍になるため咽頭の壁にスコープが触れます。
咽頭反射とは、口から侵入した異物を排除するための反応で、スコープが咽頭の壁に触れることで異物と認識し吐き出そうとします。
口からスコープが入るため、鼻呼吸をしなければならないことや口にスコープが入っている状態で「息苦しい」と感じる場合もあります。
胃カメラ検査で用いられる経鼻内視鏡は、鼻から入れるため経口内視鏡よりも細いのが特徴です。
咽頭を通過し胃の状態を観察するのですが、経鼻内視鏡のスコープの直径は5~6mmと細いため咽頭に触れることが少ないです。
経鼻内視鏡のスコープのメリットは、経口内視鏡のスコープより細いため、スコープが咽頭を通過しても「オエッ」となる咽頭反射が抑えられる点です。
それ以外にも、経鼻内視鏡は細い分小回りが利くため咽頭や喉頭の観察もしやすくなります。咽頭がんや喉頭がんを調べることも可能です。
喫煙・飲酒の習慣がある場合や過去に食道がんが発見されたことがある場合には、経鼻内視鏡で検査を行うことで咽頭がんや喉頭がんがないかの観察ができます。
鎮痛剤を使わない胃カメラ検査の場合には、咽頭反射が抑えられることもあり経鼻内視鏡の方が楽でしょう。
デメリットとしては、細いスコープには搭載できる機能が限られてしまうことです。
具体的には、カメラの画質低下や鉗子口によっては使えない器具があり、病変を見つけても処置できないことがあります。
また思うようなアングルで画像が見られないこともあり、観察や処置がしづらくなる場合もあるのです。
咽頭反射を抑えることができる一方、水や空気を出したり吸ったりするためのノズルが小さくなることで検査時間が長くなることもあります。
しかしながら近年、最新の経鼻内視鏡も出てきており鮮明な画像を求めることも可能です。
ただし、高性能になる分、高額な医療機器になるためクリニックによっては導入していない場合もあります。
より鮮明な画像が撮れる検査を希望する場合には、どのような経鼻内視鏡を使っているのかを確認するのもいいかもしれません。
経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いを下記の表にまとめてみました。
※鉗子口に入る器具で摘出できるものとできないものがある
経口内視鏡は、口から入れるときに嘔吐感や息苦しさを感じても会話ができないため、不安感が増大することがあります。
また、検査中に心拍数や血圧が上昇することが多いです。一方、経鼻内視鏡は検査中に心拍数・血圧ともにあまり変化しません。
内視鏡は、先端にCCD(超小型カメラ)がついておりさまざまな臓器を映像を通して直接みることができる医療機器です。
リアルタイムに直接胃の中を観察できるので、食道・胃・大腸の検査方法として広く普及しています。
内視鏡は、体内を映し出すビデオスコープと内視鏡の先端から光・空気・水を送るための装置本体からなっています。
ビデオスコープの先端は医師の手元の操作によって自由に角度や向きを変えられるため死角が減り病変を見逃しにくくなっています。
また、映像で捉えた病変がある場合は、鉗子口から処置具を体内に挿入することができるため、異物の摘出・病理検査のための組織採取・ポリープの切除も行えます。
ビデオスコープには、鉗子口やCCD以外にもレンズに付着した汚れを洗い流すための水や空気を出すノズルや暗い体内を明るく照らすためのライトガイドが付いています。
内視鏡には、さまざまな部位を検査するために太さや機能の異なるものがありますが、胃カメラには、鼻から入れる経鼻内視鏡と口から入れる経口内視鏡の2つがあります。
3-1. 鎮痛剤を使用した経口内視鏡検査を勧めるわけ
経口内視鏡のデメリットといえる咽頭反射を避ける方法は、鎮痛剤を使用し眠ったような状態で検査を受けることです。鎮痛剤を用いることでメリットも多くあります。
鎮静剤は麻酔薬のことで、使用すると意識を残しつつウトウトとしている状態になるため、気付いたら検査が終わっていたという感覚になります。
医療機関によって、使用する鎮痛剤は異なりますが、主なものはミダゾラム・プロポフォール・ジアゼパム・フルニトラゼパムなどです。
鎮痛剤を用いた経口内視鏡には、咽頭反応を感じないことで苦痛がなく楽に検査を受けられることや身体への負担が少ないというメリットがあります。
検査に対する不安や緊張によって筋肉が無意識に収縮してしまうと、内視鏡のスコープを挿入する際に上手く入りません。スコープが通る道が狭くなることで、苦痛をより感じやすくなりさらに力が入ってしまいます。
検査前や検査中に、医師や看護師から「力を抜いてくださいね」「リラックスしてください」などと声をかけられるのはそのためです。
人は初めてのことや知らないことに対する不安や恐怖、緊張は持ってしまうものです。胃カメラ検査を受ける上で、リラックスしていることが苦痛を軽減させます。
鎮痛剤を使うとウトウトとしている状態になるため、筋肉が収縮することもなくスコープを上手く体内に挿入することができるのです。
4-1. 安全にかつ時間をかけて詳細な観察ができる
鎮静剤でウトウトと眠った状態のため、胃カメラが胃内に入って操作を行っても、苦痛を感じることはありません。
このため、胃内の詳細な観察のために、胃に空気を入れてパンパンに膨らませた状態を保ったまま、時間をかけて詳細な観察が可能です。
これにより、胃のひだに隠れているような微細な病変も見落とすことなく発見することができます。
鎮痛剤を使用する場合は、代謝や排泄などで体内から鎮静剤の成分が排出されるまでに要する時間があるため検査後に注意することがあります。
検査が終了しても血圧・覚醒状態・ふらつきの有無を確認するために30分~1時間程度は医療機関で休憩することが必要です。
状態が安定するまで無理をしないのはもちろん、帰宅時は自転車やバイク、自動車の運転ができません。
休憩中に鎮痛剤の副作用が現れることもあるため、気分が悪くなった場合にはすぐに申し出るようにしましょう。
過去に受けた胃カメラ検査で、苦痛や息苦しさを経験している場合は「受けたくない」という気持ちになるでしょう。
内視鏡検査は、微小な病変を観察・発見できるだけではなく、その場で病変を切除することもできます。胃がんは、早期発見できれば完治できる病気です。
また、胃がんは他のがんと比べると進行が早いため、気づいたら進行がんになっていたということもあります。
症状がないから大丈夫ということではなく、検査により病変の有無を確認することが胃カメラ検査を受ける意味と理解するといいでしょう。
結論からお伝えすると、胃カメラ検査は鎮痛剤を使用した経口内視鏡がおすすめです。高性能な画像を映し出すことが可能なスコープを使用できることや咽頭反射の苦痛や不安を感じないまま短時間で受けることができるからです。
明確な画像により微細な病変を見つけられ、苦痛のない胃カメラ検査であれば不安なく受けられると思います。
消化器内科医が常住するクリニックであれば、鎮痛剤を使った胃カメラ検査を特化して行っている場合も多いです。胃カメラ検査については、内視鏡の操作を多く経験している消化器内科の医師に相談するといいでしょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。