内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

下部消化管の精密検査とは?疑われる病気と検査内容を解説

健康診断や人間ドックの検査結果に「要精密検査」とあり、不安を感じている方もいるでしょう。それとは反対に、思い当たる症状がないからと放置している方もいるでしょう。

検診結果の「要精密検査」は、健診結果だけでは病気が特定できないため、さらに詳しい検査を受ける必要があるという状況です。
今回は、下部消化管の病気や精密検査の内容を解説します。

1. 健康診断の結果の見方

健康診断
健康診断後の結果には、さまざまな文言が印刷されます。それぞれの言葉の意味を知っておくと、検査後の行動に役立てられるでしょう。

1-1. 問題なし・異常なし

言葉通りの意味で、体に異常が見られなかった場合に印字されます。引き続き健康を維持できるように、生活や食生活に気を付けましょう。

1-2. 要経過観察・要再検査

値などが正常でない場合に印字されます。緊急性はないものの、検査後1か月~1年以内には受診・検査が必要な状況です。

健康診断を受けたときの体の状態によって値が変化したケースも考えられるので、受診し検査を受けても異常が見つからない場合もあります。

1-3. 要精密検査

健康診断だけでは特定できないが、病変が疑われる値や画像が見つかった場合に印字されます。実際に、精密検査を受けても異常が見つからないケースもありますが、要精密検査の文言が印字された場合は、必ず受診しましょう。

1-4. 要治療

治療が必要なほどの異常値が出ている場合に、印字される文言です。専門医を受診し、診断を確定させ治療するようにしましょう。

2. 精密検査をどこで受けたらいい?

病院の建物
精密検査は健康診断を受けた医療機関のほうがいいのか?それとも違う専門医のほうがいいのか、判断に迷う方もいるでしょう。詳しく解説します。

2-1. 健康診断を受けた医療機関の場合

検査結果以外にも問診などの情報が医師に共有されているため、診察がスムーズに進みます。

また、同じ医療機関なので紹介状も必要ありません。

2-2. 専門医(違う医療機関)の場合

紹介状が必要であったり、検査の結果だけでは診断できない場合には再度検査を受けなければならない可能性もあります。手間や費用がかかることを理解しておかなければなりません。

ただし、他の医療機関を受診し再検査や精密検査を受けることはセカンドオピニオンとなるため、多方向からの診断を希望する場合にはおすすめです。

また、内視鏡専門医がいる病院施設であれば、検査経験豊富な医師が検査を担ってくれる可能性が高いでしょう。

3. 下部消化管とは

人体模型
下部消化管とは、小腸と大腸のことです。

小腸は胃と大腸の間にあり、十二指腸、空腸と回腸の3つの部位に分けられ、体の中でもっとも長い臓器といわれています。空腸は十二指腸につながったところから約5分の2辺りまでを指し、その残りの5分の3が回腸です。

大腸は、小腸の回腸から先にある肛門までの部位を指します。虫垂、盲腸、結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)、直腸があります。

3-1. 小腸で発見される主な疾患

小腸には悪性疾患が少ないといわれますが、下記の様な疾患が小腸で起こる可能性があります。
・小腸穿孔
・クローン病
・ベーチェット病
・小腸腫瘍
など

小腸腫瘍は消化管腫瘍の1〜5%ほどの割合で、まれに罹患する悪性疾患です。悪性度が高いのが特徴です。また、ベーチェット病は難病指定疾患で、腸管潰瘍を伴うものを腸管型ベーチェット病ともいいます。

3-2. 大腸で発見される主な疾患

小腸に比べ大腸には、良性疾患だけでなく悪性疾患も起こる可能性が高くなります。
・大腸ポリープ
・大腸がん
・大腸憩室症
・潰瘍性大腸炎
・直腸カルチノイド
・直腸潰瘍
・虚血性大腸炎
など

大腸の疾患は小腸に比べると起こりやすく、命にかかわる疾患も起こりやすいのが特徴です。

4. 下部消化管の精密検査とは

CT検査
下部消化管(小腸および大腸)に対する精密検査には、下記のものがあります。

・下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
・大腸CT colonography
・下部消化管X線検査

それぞれの検査の特徴を理解し、精密検査を受けることが大切です。

4-1. 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)

下部消化管内視鏡検査はリアルタイムで、画面を見ながら病変や異変を観察できます。

下部消化管内視鏡検査は、先端にカメラが付いた管を肛門から挿入し、盲腸まで入れたのち大腸を空気で膨らませ、粘膜のヒダを伸ばしながら観察していきます。

大腸は、人によってねじれていることがあり、ねじれを解消させながら大腸カメラを挿入するため痛みが生じる方もいます。また、空気を入れることで、圧迫感や痛みを感じる方もいますが、これらの苦痛は鎮静剤を使用して検査を受けることで無くなります。

下部消化管内視鏡検査は、下準備として大腸内を空っぽにするために下剤や腸管洗浄剤を服用する前処置が必要です。この前処置のやり方は、医療機関によって異なるため事前に確認しておくと安心です。

下部消化管内視鏡は、大腸がんや大腸ポリープを発見するのに有効な検査とされています。なんらかの病変や異常が見つかった際には生検による診断をしたり、ポリープや早期大腸癌は検査時に切除まで可能です。

4-2. 大腸CT検査

大腸CT検査は、肛門から細い管を数センチほど入れ炭素ガスを注入します。大腸を拡張させたのち低線量CTを用いて撮影し、3次元画像化し診断する検査です。

下記に当てはまる方は、大腸CT検査を受けられません。
・イオン性ヨード造影剤を検査で使用するためヨードアレルギーがある方
・CT撮影を行い被ばくを伴うため妊娠中や妊娠の疑いがある方

また、大腸CT検査では、大腸カメラ検査と同様に前処置として下剤などを服用し、大腸をきれいにしておく必要があります。内視鏡検査と異なり、大腸内へ管を通すことなく大腸がんやポリープを画像で確認できますが、これらを見つけても切除は出来ず観察するのみです。
また、生検による組織診断もできないため、これらのポリープが良性なのか悪性なのかの診断をつけることも出来ません。

画像で病変が疑われた場合は、生検をするために内視鏡検査を受ける必要があります。さらに、平坦な病変や5mm以下の小さな病変はCTでは見つけるのは困難です。
大腸CT検査は、比較的大きなポリープがあるかどうかの存在診断しか出来ない検査であり、ポリープの良悪性の診断や切除による治療も行えないため、内視鏡検査に比べると多くの点で劣ります。このため、便潜血検査で陽性が出た場合の精密検査としては、大腸CTではなく内視鏡検査が基本です。

4-3. 下部消化管X線検査

下部消化管X線検査は肛門からバリウムを注入し、その後空気を注入して大腸全体を膨らませたあとX線撮影することで大腸の粘膜の凹凸から病変や異変を見つける検査です。

大腸全体を確認でき、大腸がんやポリープの有無を確認します。正確な結果を出すためには、大腸に便を残さないことが重要です。下部消化管X線検査も、内視鏡検査や大腸CT検査と同様に下剤などを用いて便をすべて排出させる前処理が必要です。

胃のバリウム検査と同様に、バリウムを大腸全体に行き渡らすために体を傾けます。凹凸の有無によって病変や異変を確認するため、平坦な病変や小さなポリープは発見されにくい検査です。
大腸CT検査と同様に、比較的大きなポリープがあるかどうかの存在診断しか出来ない検査であり、ポリープの良悪性の診断や切除による治療も行えないため、内視鏡検査に比べると多くの点で劣ります。このため、便潜血検査で陽性が出た場合の精密検査としては、下部消化管X線検査ではなく内視鏡検査が基本です。

5. 確実に病変を見つけるには内視鏡検査がおすすめ

内視鏡
大腸の精密検査が必要になった場合の検査としては主に上記の3つありますが、病変や異変が見つかった場合に組織検査を含めた最も正確な診断ができる検査は、下部消化管内視鏡検査のみです。
また、大腸ポリープや早期大腸がんが見つかった場合に、治療まで行うことが可能な検査も下部消化管内視鏡検査のみです。

便潜血陽性の精密検査として大腸CT検査や下部消化管X線検査を行っても病変を疑う所見があった場合は、更なる精密検査として結局、内視鏡検査を受ける必要があります。
このため、はじめから下部消化管内視鏡検査を受けることをオススメします。

では、下部消化管内視鏡検査を受ける際にはどのようなことに注意したらいいのでしょうか。

6. 下部消化管内視鏡を受けるときのポイント

患者に説明をする女性医師
できる限り苦痛を伴わず、スムーズに確実な結果をだすためにも、下記の項目を参考に検査する医療機関を探すことをおすすめします。

・鎮静剤を使用するか
・鎮静剤の扱いを熟知しているか
・下剤の飲み方や使用する下剤の説明が明確か
・下剤が使えない場合の対応があるか
・内視鏡検査の経験実績がどの程度あるか
・使用する内視鏡機器が最新のものか
・検査にかかる時間が10~15分程度か
など
上記のすべてが当てはまる医療機関がなくても、できる限り当てはまる項目が多い医療機関や専門医を見つけることがポイントです。

鎮静剤を使用することで痛みや違和感が緩和できますし、下剤の服用方法の選択肢が多いことや体を動かすことなく検査を終わらせることが可能なのは、内視鏡検査に熟知している経験豊富な医師である可能性が高くなります。

6-1. 内視鏡専門医のいる医療機関

苦痛の少ない検査を受けるには、内視鏡操作に長けた内視鏡専門医に検査を任せることが一番です。

内視鏡検査に苦痛を伴うかどうかは、検査を行う術者の経験や腕前により大きく異なります。

他の医療機関では検査を断られたような方でも検査経験の多い医師やスタッフがいる病院では、状況に合わせ臨機応変な対応が可能です。
まずは、ご自身が検査を受けることが可能かどうか検査を受けてみたいと思える医療機関に問い合わせしてみましょう。

7. まとめ

下部消化管である小腸や大腸においてどんな精密検査があるかを知っておくと、健康診断や人間ドックなどの結果を見て「再検査」「要精密検査」の文字に不安になることも軽減できるでしょう。

症状がないからと長期間放置することなく、しっかりと検査を受けることをおすすめします。その際には、苦痛を軽減し適切な結果を出してくれる専門医を選択するのが重要です。

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この記事を書いた人

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。