便秘の原因は腸がむくんでいるから?むくみ腸の原因と改善方法を解説
皆さん、むくみ腸という言葉をご存知ですか?多くの方が、むくみ腸という言葉は聞きなれないかと思います。
実は便秘でお困りの方の中には、むくみ腸が原因で便秘になっている場合があるかもしれません。むくみ腸は、便秘になりやすくなる以外にも、放置していると体にとって危険な場合もあります。
便秘と因果関係の深いむくみ腸について、原因、症状、改善方法を解説します。
日々診療をしていると、便秘でお困りの方が多く見受けられます。また、便秘の方の大腸を大腸カメラで観察すると、特徴的な所見があります。
便秘のないきれいな大腸では、血管が網目状に走っているのがはっきりとわかります。また、ひだもシャープです。一方、便秘の方の大腸は血管が見えにくく、大腸粘膜の色もくすんでおり、ひだが太くなっています。
この、大腸の血管がはっきり見えず、ひだが太くなっている状態を「むくみ腸」といいます。便秘で困っている方の多くがむくみ腸です。
むくみといえば、顔や足などをイメージする方も多いと思いますが、実は腸も顔や足と同様に、むくむのです。
大腸は、小腸から運ばれた液状になった食べ物の水分を吸収し、便を形成したあと排出するための準備をする働きがあります。
本来ならば腸の壁から水分を吸収しますが、なんらかの原因によって腸内の水分バランスが崩れると、吸収された水分が排出されず腸がむくんだ状態になります。これがむくみ腸です。
むくみ腸になってしまう原因やむくみ腸を疑う症状を知っておくと、自身の腸の状態が推測できるため改善方法の糸口になるかもしれません。
むくみ腸になる原因は、主に3つあります。
・味の濃いもの、甘いもの、塩分の高いもののとりすぎ
塩分の高いものや辛いものを好んで食べると、消化吸収されるときに水分を多く必要とします。水分がすべて利用されず、余った水分が腸に溜まり腸がむくんでしまうのです。
・座りっぱなしやデスクワークが多い
座っている時間が長い方は、必然的に運動量が少なくなる傾向があります。運動量が少ないと、腸に刺激がいかず腸の動きが悪くなってしまうために腸のむくみにつながります。
・強いストレスを抱えている
強いストレスを感じていると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経は、交感神経と副交感神がバランスを取ることで体の状態を調節しています。
腸のぜんどう運動は、交感神経が優位になると停滞し副交感神経が優位になると活発に動きます。つまり、腸の働きを司る自律神経が乱れると、腸にも影響が出てしまうのです。
ストレスを感じ自律神経がバランスを崩すと、交感神経が優位な状態となるため腸はぜん動運動を行わなくなり腸に便が溜まりやすくなります。また、腸の血流障害を引き起こすこともあります。
むくみ腸の症状は、大きく分けて4つあります。
・便秘
・常にお腹が張っている感じがする
・おならがよく出る、臭い
・ダイエットしてもなかなか体重が減らない
むくみ腸と便秘は深い因果関係があるため、毎日出ていた便が3日経っても出なくなるなど明らかに排便回数が減った場合などもむくみ腸を疑います。
腸がむくむと腸内に水分が溜まった状態になるため、腹部が水分により重く感じるようになります。ぽっこりと下腹部が膨らんだり、お腹が張っている感じや違和感が生じたりするケースもあります。
また、ダイエットで思うように体重が減らない場合も、むくみ腸の疑いがあります。むくみ腸になると、本来、栄養素の分解や吸収をする腸の働きが滞るので、脂肪や糖の分解がしにくくなります。栄養素がうまく分解、吸収されないと、体内のエネルギーが消費されにくくなるのです。
むくみ腸の症状は日常生活に支障がなさそうに感じられますが、むくみ腸を放置すると、徐々に日常生活に支障を来すこともあり、それ以上の事態になる可能性もあります。
むくみ腸の放置で起こることを知り、改善にむけて行動することが大切です。
むくみ腸を放置すると、以下のことが起こりやすくなります。
・便秘がよりひどくなる
・脂肪が蓄積され太る
・肌荒れになる
・生活習慣病になりやすくなる
・がんリスクが高くなる
むくみ腸によって、腸は本来の働きが行えなくなり上記の状態が引き起こされます。
便秘がひどくなるのも、むくみ腸によって腸のぜん動運動が正常に行われなくなるためです。また、消化吸収能力も低下し、本来ならば吸収されるはずの脂肪が蓄積されやすくなり太りやすくなります。
それ以外にも便秘がひどくなることで、腸内環境が悪化し、悪玉菌が優位になり肌荒れや生活習慣病を引き起こします。ひどい場合には、がんになるケースもあります。
むくみ腸を放置すると、便秘だけではなく最悪の場合がんリスクが上がります。
むくみ腸を改善するには、以下の方法がおすすめです。
・お腹を温める
・善玉菌を増やす
・水溶性食物繊維やカリウムをとる
・適度な運動をする
むくみ腸の改善方法を詳しく知り実践すれば、便秘改善や肌荒れの解消にもつながります。
お腹を温めると、副交感神経が優位になります。副交感神経が優位になると、腸のぜん動運動が活発になり、腸を流れる血流が増え腸内のむくみが改善されます。
お腹を温めるために、温かい飲み物を積極的にとるのもよいでしょう。ただし、カフェインの入っているコーヒーなどの飲みものは、血管を収縮させる作用があり腸の血流が減少するので、過剰摂取は避けてください。温かい飲み物は、ノンカフェインのものを選択するようにしましょう。
お腹を温めるためにマッサージするのもおすすめです。寝る前に行えば、お腹だけではなく体も温まりリラックス効果が高まります。
仰向けに寝ころび、お腹の下辺りを両手でお腹が凹む程度の強さで押します。押した手を時計回りにゆっくり一周させます。この動作を1セットとして、1回に6セット行いましょう。
腸内に善玉菌を増やすには、発酵食品や整腸剤を積極的にとるといいでしょう。
発酵食品や整腸剤をとると、善玉菌が増え腸内環境がよくなり腸のぜん動運動が活発になります。ぜん動運動が活発に行われるようになれば、腸内の水分も吸収排出されやすくなり自然にむくみ腸も改善されます。
おすすめの発酵食品は、納豆です。納豆は発酵食品の一つであるだけではなく、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を含んでいるため腸内環境改善に役立つ食品になるのです。
腸内環境を良好にし善玉菌を増やすことが期待できる納豆ですが、食べるタイミングや食べ方によって効果が減少してしまいます。
納豆に含まれる納豆菌は熱さに弱いため、熱々のご飯の上に載せてしまうことは避けましょう。また、納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素やアルギニンというアミノ酸を効果的に働かせるには、夕食に食べるといいです。
整腸剤は、薬ではないので毎日飲んでも大丈夫です。むしろ、毎日飲むことをおすすめします。
食物繊維やカリウムは、腸に直接働きかけ腸の代謝をサポートし水分の排出を促します。
水溶性食物繊維・カリウムを豊富に含む代表的な食べ物は、切干大根と干し芋です。それ以外にも、ひよこ豆・夏野菜・バナナ・キウイなどもおすすめです。
むくみ腸の原因の一つが、座りっぱなしやデスクワークが多いことです。運動量が少ないと腸に刺激が与えられず、腸のぜん動運動が鈍くなります。
おすすめの運動は、20分程度のウォーキングです。少し早歩きで、息が上がるくらいがベストなスピードです。デスクワークが多い方は、座りながら腹部をねじるようなストレッチを、定期的に行うとよいでしょう。
適度な運動は腸のぜん動運動を促し、むくみ腸の改善が期待できます。
むくみ腸かどうかは、見た目だけではわかりません。
便秘になってしまう、常にお腹が張っている感じがする、臭いおならがよく出る、ダイエットしてもなかなか体重が減らないといった場合は、むくみ腸かもしれません。
もし、むくみ腸かもしれないと思う方は、むくみ腸の改善方法を生活の中に取り入れてみてください。それでも便秘や腹部の違和感が改善しない場合は、専門医に相談するのもいいでしょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。