お腹がボコボコ鳴るのは病気?原因と対策方法について解説
静かな環境にいるときに、お腹がボコボコ・グルグルと鳴って、恥ずかしい思いをされた経験はありませんか?鳴ってほしくないときによく鳴るあのお腹の音。
自分で止めたくても止められず、音が鳴り止むまでそのままどうすることもできませんよね。毎日のようにお腹がボコボコと鳴る人もいれば、ほとんど鳴らない人もいます。
その違いは一体、何なのでしょうか?あまりにも頻繁に鳴ると、腸の病気になったのかと心配になったり、静かな場所に行くとお腹が鳴るのではないかと悩んだりする方も少なくありません。
しかし、お腹がボコボコ鳴るからといって、必ずしも病気というわけではありません。
この記事では、お腹がボコボコ鳴る原因と対策方法について解説します。
お腹がボコボコと鳴ることを「腹鳴(ふくめい)」といいます。お腹がボコボコ鳴る原因は、腸の中にたまったガスです。腸の中に多くガスがたまっていると、蠕動運動(ぜんどううんどう)で腸が動いたときにガスも一緒に動くため、お腹がボコボコと鳴るのです。
つまりボコボコと鳴る音の正体は、ガスが腸内を動くときに出る音です。特に腸内の狭い箇所を移動する際に、大きな音が鳴る傾向があります。あまりにも大きな音や毎日のように音が鳴っていると、腸の病気を心配する方もいらっしゃいますが、基本的には体の異常によって、鳴っているわけではありません。
腸内にガスがたまっていると、食べ物や水分と一緒にガスも排出する必要があるため、さらにボコボコと鳴ってしまいます。
お腹がボコボコ鳴る人にはいくつかの特徴があります。以下のようなことに当てはまる人は、腸にガスがたまりやすいといえるでしょう。
・食べ物をよく噛まず、食べるのが早い
・脂質の多い食事をよく食べる
・アルコールを過剰に摂取している
・仕事や生活場面で長時間座っている
・香辛料などの刺激物をよく食べる
・運動不足
・便秘
・冷え性
年齢や性別問わず、日常生活の中で座っていることが多い方は、常に胃腸が圧迫されている状態となるので、体内の空気が滞ってしまいがちです。また、女性に多くみられる冷え性は腸内にガスがたまりやすいので、お腹がボコボコ鳴る場合が多いです。
前章でお伝えしたようなボコボコ音は、基本的に心配しなくてもいいケースがほとんどです。お腹がボコボコと毎日のように鳴ると心配になるかもしれませんが、以下のようなシーンで鳴る場合は、心配の必要はありません。
・食後
食事をした直後にお腹が鳴る理由は、食べ物を消化しようと活発に胃が動いているためです。
・空腹
空腹時は、胃が強く収縮します。その際に、水分や食べ物の残りカス、食べ物を食べたことによって発生したガスが原因で、音が鳴ることがあります。また、食べ物と一緒に空気を体内に取り込むと、胃で消化されたあと、小腸を通過するときに音が鳴りやすいです。
・乳製品を摂取したとき
ヨーグルトや牛乳などの乳製品を摂取すると、お腹がゴロゴロする方がいます。それは乳糖を分解する役割がある「ラクターゼ」という酵素が減少し、消化機能が低下することで起きます。これを乳糖不耐症と呼びます。
そうなると、乳糖が消化されないので腸で吸収できず、腸内にガスが発生してたまってしまうのです。
日本人の9割が乳糖不耐症と言われており注意が必要です。
・アルコールや香辛料などを摂取したとき
アルコールや香辛料などを摂取すると、腸が刺激され腸の活動が活発化します。そうした場合も、お腹が鳴ることがあります。特にアルコールの場合は、腸に過度の刺激を与えるため、ガスが多く発生する傾向が見られます。
・妊娠初期
妊娠によって腸の蠕動運動が低下すると、ガスを体外へ排出しにくくなります。その結果、体内にガスがたまりやすくなります。
お腹がボコボコと鳴る以外にもグルグルといった音が多くなるケースもあります。以下のような症状が見られる場合は、注意が必要です。
・下痢や便秘、腹痛
お腹がボコボコと鳴る以外に、下痢や便秘、腹痛が続く場合は、過敏性腸症候群の恐れがあります。ストレスなどが原因で腹部の症状が出現します。
・吐き気や嘔吐
吐き気や嘔吐の症状が見られる場合は、細菌などの感染が疑われます。嘔吐が頻回に続くと脱水症状を引き起こしてしまうので、早めに医療機関を受診しましょう。
・おならの臭いがきつい
おならの臭いがいつもよりも気になる、違うなどの症状がある場合は、腸内環境が悪化している恐れがあります。腸内環境が悪化すると悪玉菌が多くなり、ガスがたまりやすくなります。腸内環境を整えるようにしましょう。
・過度なストレス
胃や腸は自律神経によって機能しています。そのため、過度なストレスにより、自律神経が乱れると、腸の動きにも影響を及ぼすリスクがあります。また、先にもお伝えしたように過度なストレスは、過敏性腸症候群の原因にもなるため、注意が必要です。
お腹がボコボコ鳴るもっとも多い原因は、腸内にガスがたまっていることです。腸内にガスがたまる最大の原因は、腸内環境の悪化といえます。ガスがたまると、体内から排出しようと腸が動くため、さらにお腹がボコボコと鳴るのです。
腸内に悪玉菌が増えると、腸内環境が悪化し、ガスが大量に増えてしまいます。腸内環境が悪化する原因として考えられるのは、動物性脂質の多い食事や過度のストレス、便秘が続くなど、食生活や生活習慣の乱れです。
腸内環境が悪化し、ガスがたまる。そしてそのガスを排出しようとお腹が鳴るといった悪循環を繰り返してしまいます。
お腹がボコボコ鳴るのを軽減する方法は、腸内環境を改善するのが効果的です。腸内環境が整っている状態とは、悪玉菌よりも善玉菌が優位になっている状況をいいます。腸内環境を改善するのには少し時間がかかりますが、以下のような対策を毎日無理なく続けることが大切です。
腸内環境を整えるには、まずは食生活を見直しましょう。プロバイオティクスと呼ばれる善玉菌を含む食品と、プレバイオティクスと呼ばれる善玉菌のエサになる食品を一緒にとることが大切です。
善玉菌とは、乳酸菌や麹菌、ビフィズス菌などです。プロバイオティクスの代表的な食品は、納豆、キムチ、ヨーグルト、チーズ、味噌などです。
善玉菌のエサになるプレバイオティクスは、オリゴ糖や食物繊維です。オリゴ糖は、野菜や果物、豆類などに多く含まれています。代表的な食材は、玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、豆類、バナナなどです。
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類あります。水溶性食物繊維とは、その名のとおり水に溶ける食物繊維で、善玉菌を増やすのに効果的です。きのこ類や海藻類、ムギ類、ごぼう、オクラなどに多く含まれています。
デスクワークが多く座っている時間が長い方や、日常的にあまり運動をしていない方は、体に無理のない程度に運動をはじめましょう。1日30分のウォーキングなど、有酸素運動を行うことで、血流が良くなり、免疫力の向上にも効果的です。
運動する時間がとれない方は、階段を利用したり、一駅歩くなど日常生活の中で歩くことを意識してみたりするとよいでしょう。また、仕事中に休憩がてらストレッチをするのもおすすめです。
腸の運動は自律神経によってコントロールされています。過度なストレスや緊張が続くと交感神経が優位になり自律神経のバランスが乱れ、便秘や下痢などが出現する場合があります。自律神経を整えるためには、睡眠をしっかりとったり、ゆっくりと湯船につかったり、リラックスできる時間をとり、体を休めましょう。
腸内環境を整えるために、整腸剤を上手に取り入れてみましょう。整腸剤は即効性がありませんが、1か月ほど継続してお腹の調子が整ってくれば、自分に合っているといえます。整腸剤にはさまざまな種類があり、人によって合う整腸剤は異なります。
自分に合った整腸剤を飲むことは、将来の健康への投資といえます。どのような整腸剤を選べばよいのか迷ったときは、かかりつけの胃腸科へ相談してみるのもよいでしょう。
お腹がボコボコ鳴る原因は、腸内環境の悪化によって、お腹に大量にたまったガスです。お腹にガスがたまるのを軽減するには、食生活の見直しや生活習慣を改善して、腸内環境を整えることが大切です。
お腹がボコボコ鳴る以外にも下痢や便秘、お腹の張りなど気になる症状がある方は、医療機関を受診しましょう。またお腹の調子が悪くない方も、大腸カメラ検査を定期的に行うことで、初期段階では自覚症状がない大腸がんの早期発見や早期治療が可能です。
お腹の健康を保つためにも、定期的に大腸カメラ検査を受けたり、整腸剤を上手に活用しましょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。