内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

お腹が張らずに腸活したいときはこれを食べましょう!

日々診療していると、いつもお腹が張って困っている方は非常に多いです。
「お腹が張る」原因は色々あるのですが、普段の生活で気をつけてほしいことは、
「ガスを発生させるような食べ物を食べ過ぎていないか?」
ということです。

お腹が張るからといって、腸に良さそうな食べ物を積極的に摂っている人は結構いると思います。
食物繊維豊富な食べ物、ヨーグルト、漬物などの発酵食品など。。。
これらの食べ物は、腸内環境を整えるには必要なものですし、私も普段の診療でお勧めしてます。
ところが、良かれと思って食べているこれらの食べ物が、実はお腹の張りを助長する原因となっていることがあるんです。

最近では「低FODMAP食」という概念が出てきました。

「FODMAP」とは
Fermentable(ファーメンタブル) 発酵性の
Oligosaccharides(オリゴサッカライド) オリゴ糖
Disaccharides(ダイサッカライド) 二糖類
Monosaccharides(モノサッカライド) 単糖類
And
Polyols ポリオール
の頭文字を取っています。

FODMAPを一言で説明すると、「発酵しやすい糖質」の総称です。

糖質を含む食べ物は、腸内で発酵しやすいもの、発酵しにくいものが存在しています。
つまり
発酵しやすい糖質を含む食べ物を「高FODMAP食」
発酵しにくい糖質を含む食べ物を「低FODMAP食」
と言います。
この発酵しにくい糖質である「低FODMAP食」を食べると、お腹の不調が良くなることが分かってきました。

実はこの「低FODMAP食」ですが、オーストラリアのモナッシュ大学で提唱されました。
きちんとしたエビデンス(科学的根拠)も示されており、過敏性腸症候群の患者さんがこの「低FODMAP食」を3週間続けると、75%の方に効果を認めたという報告があります。

「低FODMAP食」ですが、調べてみると結構面白いです。
「この食べ物って発酵しにくかったんだ」という新たな発見があります。

長々と説明しましたが、要は「色々考えず、お腹が張りやすい人は、お腹が張りにくい食べ物をチョイスして食べれば良い。」
ということになります。

例えば・・・

お腹が張りやすいのはどっち?

A. 白米
B. パン
これはなんとなく分かります。Bのパンがお腹が張りやすいです。
お腹が張りやすい人、主食は必ず白米にしましょう。玄米も食べすぎなければ大丈夫です。その代わり、冷えたご飯は「レジスタンとスターチ」が出てきます。これは腸活的にはオッケーなのですが、お腹が張りやすい人は注意です。
ちなみに、パンでも小麦粉不使用の米粉パンなら問題ありません。

なるほど、なんとなく、小麦粉を使った料理はお腹が張りやすそうだというイメージが湧いてきますね。

それでは第2問は野菜から。

お腹が張りやすいのはどっち?
A. 玉ねぎ
B. トマト
正解は、Aの玉ねぎがお腹が張りやすいです。玉ねぎはお腹が張りやすい野菜の代表ですので要注意です。
サラダのドレッシングの中にはよく玉ねぎが入っているので要注意ということになります。

本題に入ります。

お腹が張りやすい人は、「低FODMAP食」を食べれば良い。
これはよく分かりました。

ただし、「低FODMAP食」も弱点があります。
それは、食物繊維を含む食べ物が非常に限られているところです。
食物繊維は腸内環境を良くするのに必須です。

腸活を推奨している私としては、お腹が張りにくく、かつ腸内環境も良くしてくれるようなものを皆さんにお勧めしたいです。


そこで、「低FODMAP食」を参考にしながら、お腹が張ることなく、かつ腸内環境も良くしてくれる食べ物をピックアップしてみました。


まずは主食部門からです。
食物繊維豊富でかつお腹が張りにくいものといえば
玄米ご飯、そしてオートミールです。
この2つはどちらも食物繊維豊富です。特に玄米は酪酸菌の大好物ですので、腸活には欠かせないですね。
オートミールは水溶性食物繊維が豊富な上に、小麦粉の代用品としても使えますので調理するのにも便利です。

次に、メインディッシュではタンパク質をしっかりと摂りましょう。
栄養が偏ると腸内環境が悪くなることは我々の腸内フローラ検査で実証済みです。

メインディッシュといえば肉料理、魚料理ですよね。

実は肉も魚もどちらもお腹は張りにくいので好きなの食べて大丈夫です。
また、卵もお腹が張りにくい優秀な食べ物なので卵も毎日食べてもオッケーです。
ここで1点だけ気をつけてほしいのが、味付けで使う調味料です。
それでも、日本人が大好きな塩、こしょう、味噌、しょうゆ、みりん、マヨネーズはお腹が張りにくいので大丈夫です。料理酒は避けましょう。

そう考えると、結構色んな味付けでメインを食べることができます。

それでは、メインディッシュの横にあるサラダはどうでしょうか?
野菜は食物繊維豊富ですからしっかり摂りたいです。腸内環境が良い人は毎日サラダを食べてます。

野菜でお腹が張りにくいものの代表としては
キャベツ、レタス、トマト、ブロッコリー、じゃがいもです。
これにマヨネーズをかければ立派なサラダになります!
ちなみに、腸活でよく食べるきのこ類はお腹が張りますので要注意です。

最後に、デザートで果物も食べたいですね。

果物でお腹が張りにくく、かつ腸活に良いものの代表は
バナナ、そしてキウイです。
どちらも食物繊維豊富で、腸内環境を良くしてくれます。

ちなみに、腸活でよくお勧めするのが納豆、キムチなどの発酵食品ですが、発酵食品は基本的にお腹が張りますので食べないほうが良いでしょう。
さらに、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品もお腹が張りますので食べないほうが無難です。

最後に飲み物です。

お腹が張らずにかつ腸活的に一番いいのは水です。
紅茶や緑茶もお腹は張りませんが、カフェインが入っているので脱水になりやすいです。
お酒に関しては、炭酸系のお酒は控えましょう。
日本酒、焼酎、ウイスキーはお腹が張りません。ワインも甘くない辛口ワインなら大丈夫です。


いかがでしょうか。
これらの食べ物はあくまで「お腹の張りが気になるけど腸活もしたい!」人向けの食べ物です。

ぜひ参考にしてください。
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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。