内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

こんにちは。福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院の医師の細川です。
「胃カメラ検査ってどんな検査なのか」と「検査にかかる費用感」について皆さんにお伝えしたいと思います。

胃カメラ検査は、口や鼻からカメラ(内視鏡)を入れて、食道・胃・十二指腸を観察してこれらの臓器に何か異常がないかを調べる検査です。
胃カメラ検査を受けることで、胃の不調の原因や食道や胃、十二指腸に炎症や潰瘍、がんが出来ていないかなどを調べることが可能です。
胃カメラ検査にかかる時間は、通常は5~10分程度です。

胃がん検診の検査として、以前はバリウムを飲む胃X線検査が主流でしたが、近年では、胃カメラ検査の比率が増えてきています。
この理由は、胃X線検査よりも胃カメラ検査の方が、検査の精度が高く、より胃がんの早期発見に有用だからです。
胃X線検査で発見される胃がんの数は、1年間に発見される胃がんの5%程度に過ぎないと報告されており、実は多くの胃がんは胃カメラ検査で発見されています。
もちろん、病変によっては胃カメラ検査より胃X線検査の方が発見しやすいものも存在します。しかし、自覚症状がでないような早期胃がんを発見するという点では、胃X線検査よりも胃カメラ検査の方が優れた検査なんです。
胃X線検査よりも胃カメラ検査の方が、検査の精度が高い理由は、胃カメラ検査は胃X線検査では発見できない胃粘膜の些細な異常も見つけることができるからです。
もちろん、胃カメラ検査もその検査を行う医師の知識や腕前によっても、検査のレベルが大きく異なってしまうのは言うまでもありません。

定期的に人間ドックで胃カメラ検査を受けている人や過去に胃カメラ検査を一度でも受けたことがある人は、胃カメラ検査がどんな検査かはご存知だと思います。
過去に余程キツいおもいをしたことがなければ、定期的に胃カメラ検査を受けること自体にあまり抵抗感も無いと思います。
しかし、一度も胃カメラ検査を受けたことがない人や過去に受けた胃カメラ検査が非常にキツかったためトラウマになっているような人は、胃カメラ検査を受けることに対して非常に不安があるのではないでしょうか?
また、検査を受けてみたいけど、検査費用が凄く高くて受けることが出来ないんじゃないだろうか?などという疑問をお持ちではないでしょうか?
そこで、今回は「胃カメラ検査がどんな検査なのか」と「検査にかかる費用感」について解説したいと思います。

胃カメラ検査(胃内視鏡検査)はどんな検査なんだろう?

胃カメラ検査は、口や鼻からカメラ(内視鏡)を入れて、食道・胃・十二指腸を観察してこれらの臓器に何か異常がないかを調べる検査です。
胃カメラ検査を受けることで、胃の不調の原因や食道や胃、十二指腸に炎症や潰瘍、がんが出来ていないかなどを調べることが可能です。
通常、胃カメラ検査にかかる時間は、5~10分程度です。
口からカメラを入れて観察する胃カメラ検査を経口内視鏡検査、鼻からカメラを入れて観察する胃カメラ検査を経鼻内視鏡検査といいます。

胃カメラ検査はただ単に食道・胃・十二指腸の内側を観察するだけでなく、検査時に炎症などの粘膜の異常やポリープやがんなどの病気を疑う異常を認めた場合、カメラから鉗子(かんし)という器具を出して病気を疑う部分の細胞を一部採って更に詳細に調べる事が可能です。細胞を採取して顕微鏡による病理検査まで行えば、見た目だけで何となく悪そうとか、大丈夫そうといった曖昧な診断ではなく、細胞レベルで正確に異常がないかどうかを調べることが可能になり、病気の見落としが無くなります。

胃カメラ検査の検査前の流れ

①来院後は、受付を済ませたら、ロッカーに貴重品などの荷物をしまいます。

②荷物をしまったら、内視鏡検査室へご案内します。

③検査室入室後は、まずは検査ベッドに腰掛けます。その後、ガスコン水という胃の中の泡や粘液を取り除き、胃を綺麗にして観察しやすくする水をコップ1杯飲みます。

④ガスコン水を飲んだ後は、検査ベッドに仰向け(上向き)で寝ます。

⑤安静にした後、血圧を測定します。血圧が問題なければ、のどにキシロカインというスプレーの麻酔をします。このスプレー麻酔は、歯医者などでも使用する局所麻酔薬で、のどの感覚を麻痺させて胃カメラがのどを通るときに出現するオエッとなる嘔吐反射を抑えます。麻酔をするとのどの感覚が麻痺するため、のどに腫れぼったい感覚が少しでます。

⑥スプレー麻酔後は、落ち着いたところでマウスピースをくわえます。

⑦マウスピースをくわえたら、身体の向きを左向き横向きに変えます。

⑧検査開始直前にウトウトと眠くなる鎮静剤を注射します。

⑨ウトウトと眠り始めたところで胃カメラ検査を開始します。

⑩胃カメラが舌根部に触れて嘔吐反射を誘発しないように気を付けながら、スコープを丁寧に食道に挿入します。

⑪食道に異常が無いか観察しながら、食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部までスコープを進め、逆流性食道炎などが無いか観察した後、胃内に挿入します。

⑫胃内にスコープを入れたら、ガスコン水だけでは取り除けなかった泡や粘液を水で洗い落とし、胃を綺麗にします。

⑬胃を綺麗にしたら、胃の入り口から出口に向かって胃内を病気が隠れていないか詳細に観察しながら、スコープを進めます。

⑭胃の出口からスコープを十二指腸に進め、十二指腸下行部まで観察します。

⑮十二指腸下行部まで観察後は、スコープを胃内に戻して、胃の出口から入り口に向かって再度、胃内を詳細に観察します。

⑯胃内を観察した後は、カメラを抜きながら、再度、食道を詳細に観察し、検査を終了します。食道を詳細に観察する場合は、特殊光観察という食道がんが見つけやすくなる観察モードを利用して食道を観察します。
福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院で使用しているオリンパス社製の胃カメラにはNBI(Narrow Band Imaging)という狭帯域光観察モードという機能が搭載されています。このNBIモードで食道を観察すると非常に高い精度で早期の食道がんも発見が可能になります。また、福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院では、狭帯域光観察モードだけでなく、より高精度にがんを診断可能な表面構造を拡大してみることができる拡大観察機能も備えた最新鋭のオリンパス社製の胃カメラスコープを用いています。

⑰上記全てを合わせた胃カメラ検査にかかる検査時間はおよそ5-10分程度です。検査が終わった後は、マウスピースを外し、完全に目が覚めるまでリカバリー室で休みます。

【狭帯域光観察モードについて】

普段、私たちが見ているいろいろな物の色は、実は赤、青、緑の3色が基本となっています。この3色を「光の三原色」といいます。この3色は、目に見える光の最も基本となる色で、全ての色は、この3色の組み合わせで作り出されています。

~赤いリンゴを赤と認識できる理由について~
光の三原色からなる自然光が赤いリンゴにあたった場合、青と緑の光はリンゴに吸収されてしまいます。しかし、赤い光だけはリンゴに吸収されず反射するため、見ている人の目に赤だけが返ってきます。このため、見ている人はそのリンゴを赤いと認識することができます。

~赤いリンゴに赤を抜いた光を当てるとどんな風に見えるでしょうか?~
青と緑の光は変わらず赤いリンゴに吸収されます。しかし、当てた光に赤い光がない場合、リンゴは反射させる光が無いため、見ている人は黒として認識することになります。
この原理を利用して食道がんを見つけやすくしたのが、胃カメラ検査の狭帯域光観察(NBI)モードです。狭帯域光観察(NBI)モードでは、赤を含まない光を照射して観察するモードです。
このため、血管が黒く観察されます。がんの部分は正常部分と比べて、栄養を集めるために血管が異常に増殖しています。このため、狭帯域光観察(NBI)モードで食道を観察すると、異常血管があった場合、その部分が黒く認識されるため、食道がんを見つけやすくなります。ちなみに狭帯域光観察(NBI)モードで観察すると正常な食道粘膜は青緑色に観察されます。
                  図1.食道がんの画像(通常光観察
               図2.食道がんの画像(NBI:狭帯域光モード観察)
     正常な部分と食道がんの部分の粘膜の色調の違いが通常光観察よりも分かりやすくなります

胃カメラ検査(胃内視鏡検査)に掛かる費用はどれくらい?

福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院では、胃カメラ検査は自費の検査と保険診療での検査を行っています。

日本の医療制度は、国民皆保険制度です。このため、患者さんは、医療費の一部負担のみ(1割〜3割)で日本全国どこの医療機関でも医療を受けることが可能です。この医療費の一部負担で医療を受けることを保険診療といいます。
一方、医療費の全額(10割)を自己負担で医療を受ける事を自費診療といいます。
自費診療は、厚生労働省が保険診療として認めていない検査や治療を受ける場合(美容外科治療やまだ安全性などを検証中の先進医療)、人間ドックなどの健診が該当します。

保険診療は厚生労働省が安全性や有効性を認めている検査や治療になりますが、何も自覚症状が無い場合や病気が無い場合は、受ける事が出来ません。
あくまでも、「症状があり病気の存在が疑われるため検査が必要」とか、「病気があるため治療が必要」などの場合のみ保険診療での検査と治療を受ける事が可能となります。
自覚症状は無いけど、病気の早期発見のために検査を受けたいという場合は、自費診療の対象となります。
自費診療の費用は、保険診療と異なり全国一律の費用ではありません。医療機関毎に価格設定が可能なため、それぞれの医療機関で検査にかかる費用は異なります。


胃カメラ検査を受ける場合、具体的にどんなケースが保険診療や自費診療になるのかを、下記に例を挙げます。参考にしてください。

保険診療で胃カメラ検査を受けることが可能なケース

・健康診断の胃バリウム検査(胃X線検査)で異常を指摘され、精密検査をうけるように指示された。
・健康診断の胃がんリスク検査(ABC検診)で胃がんのリスク群と指摘された。
・健康診断の血液検査でヘリコバクター・ピロリ菌感染が疑われた。
・健康診断で腫瘍マーカーが高値であった。
・原因不明の貧血がある。
・胸やけや胃もたれ、のどのつかえ感、胃痛、吐き気などののどや胃の不快な症状がある。
・黒い便や黒い嘔吐、吐血があった。
・過去にピロリ菌の除菌治療を受けたことがあり、定期検査を勧められている。
・過去に胃潰瘍や十二指腸の治療をしたことがあり、定期検査を勧められている。
・過去に食道や胃、十二指腸のがんの治療をしたことがあり、定期検査を勧められている。
・過去に胃カメラ検査を受けた際に、定期検査を勧められている。
・食欲低下があり、体重が低下している。
など

保険診療での胃カメラ検査の費用

■胃カメラ検査(観察のみの場合)
食道・胃・十二指腸を観察するだけで検査が終了した場合
・1割負担:2000円前後
・2割負担:3750円前後
・3割負担:5500円前後

■胃カメラ検査(観察+生検による病理組織検査の場合)
食道・胃・十二指腸を観察した際に病気を疑う所見があり、観察に加えて生検による病理組織検査も行った場合
・1割負担:3000円前後
・2割負担:6000円前後
・3割負担:9000円前後

■胃カメラ検査(観察+ポリープ切除手術の場合)
食道・胃・十二指腸を観察した際にポリープを認め、観察に加えて内視鏡でのポリープ切除手術も行った場合
*ただし、胃の内視鏡手術は、入院での治療適応となるため、当院では行っておりません。
・1割負担:6000円前後
・2割負担:11500円前後
・3割負担:17000円前後

自費診療での胃カメラ検査となるケース

・職場の健診の一環として内視鏡検査を受けたい。
・自覚症状は特にないが、年齢的にも胃カメラ検査を受けておきたい。
・自覚症状は特にないが、家族などに勧められて胃カメラ検査を受けることにした。
・家族が胃がんになったため、自分も心配で検査を受けたい。
など

自費診療での胃カメラ検査の費用

*自費診療の場合、検査は食道・胃・十二指腸を観察するだけになります。検査時に病気を疑う所見があり、精密検査としての病理組織検査が必要な場合は、後日、保険診療での胃カメラ検査を再度、受け直す必要があります。
・胃カメラ検査のみ:25,300円(税込)
・ヘリコバクター・ピロリ菌の採血検査を希望の場合は別途2,200円(税込)かかります。

今までに一度も胃カメラ検査を受けたことがない方や過去に受けた胃カメラ検査がキツくてトラウマになっている方、ぜひ一度当院で胃カメラ検査を受けてみて下さい。

自費での検査の場合は、胃カメラと同じ日に大腸カメラも同時に受けることが出来る同日内視鏡ドックをオススメしています。
同日内視鏡ドックの詳細はこちらを見て下さい。

また、保険診療での胃カメラ検査の場合は、厚生労働省の設定した保険点数に基づいた全国一律の料金です。
自己負担額の割合や検査内容(観察のみなのか、生検まで施行したのかなど)により料金は変わります。
保険診療の胃カメラ検査の詳細はこちらを見て下さい。


如何だったでしょうか?
胃カメラ検査がどんな検査かイメージするのに役立ったでしょうか?
ご不明な点があれば、クリニックに一度ご相談下さい。
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この記事を書いた人

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。