内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

便秘薬の種類にはどのようなものがある?効果的な便秘薬の飲み方やおすすめの便秘薬について解説!

普段便通の良い人はあまり飲むことがない「便秘薬」。便秘に悩む方にとっては常備薬のように毎日飲んでいるという人もいるのではないでしょうか。

そんな便秘薬を購入する際、数多く陳列されている中から、どの成分が自分に適しているかよくわからないまま、なんとなくパッケージに惹かれて購入したり、CMで見た商品を手に取って購入してしまったりすることはありませんか。市販の便秘薬にはいくつかの種類があり、効果もそれぞれ異なります。いくら摂取しても効果がないと感じたり、お腹が痛くなったりする場合には自分に合っていない便秘薬である可能性が高いので、正しい便秘薬を選ぶことが便秘改善には非常に重要です。

今回は、便秘薬の種類について、またおすすめの飲み方、おすすめの便秘薬について解説していきます。

1. 便秘薬の種類

錠剤とカプセル剤と顆粒剤
市販の便秘薬には、大きく分けると

・刺激性便秘薬
・非刺激性便秘薬

の2つがあります。これらについて詳しく見ていきます。

1-1. 刺激性便秘薬とは?

刺激性便秘薬(刺激性下剤)は、大腸を直接刺激して動かすことにより、腸の動きを強化させて便を送り出す便秘薬を言います。薬局で売られているもののおよそ9割は刺激性便秘薬ですが、パッケージからはやさしい感じの薬に見えるのが特徴です。

刺激性便秘薬の成分としては、漢方薬系の生薬に含まれる「大黄」や「アロエ」「センナ」「ビサコジル」といったものが主に含まれています。
成分一覧
なお、刺激性便秘薬のパッケージにはよく「植物由来」とか「生薬配合」などと表記されていることがあります。ここでいう植物性とはアロエやセンナのことを指していますが、刺激性便秘薬は非刺激性便秘薬に比べると下剤としての効果が強く即効性が高いため、「植物性だからといって効果がやさしい」ということではありません。

刺激性便秘薬は大腸に直接刺激を与えるものであるため、つらい便秘に悩む方には適している便秘薬と言えますが、一方で腸への刺激が直接的であるがゆえにお腹が痛くなることがある点に注意が必要です。

1-1-1. 便秘薬の服用により腸が黒くなることはある?

大黄やセンナ、アロエなどが含まれたアントラキノン系の刺激性便秘薬を長期に服用していると、大腸メラノーシス(色素沈着で大腸が黒くなってしまう状態)になり、神経細胞が減少して腸の動きが鈍くなります。その結果、便秘の症状が悪化してしまうため便秘薬が効きにくくなってしまうことがあります。刺激性便秘薬を服用するのはダメではありませんが、なんとなく便秘が解消されることを期待して飲みつづけるというのはあまり良くありません。

黒くなってしまった腸は便秘薬を服用するのを停止すれば1年程度で色素沈着がなくなり元のピンクの粘膜に戻ると言われていますが、大腸カメラ検査で「大腸メラノーシスが起きている」と指摘された場合には、生活習慣改善を行いつつ刺激性便秘薬の服用を徐々に減らす方向に切り替えていくと良いでしょう。

2-1. 非刺激性便秘薬とは?

非刺激性便秘薬(非刺激性下剤)とは、大腸ではなく硬くなった便に水分を含ませて柔らかくして出すという便秘薬を言います。昔からある便秘薬で、医療機関において便秘治療のベースとなるのはこの非刺激性便秘薬と整腸剤を使用したものとなっています。

非刺激性便秘薬は毎日飲んでも問題がない便秘薬です。毎日服用するとなると飲み忘れる人も多いですが、まとめて飲んでも分けて飲んでも効果に差はありません。
成分一覧
非刺激性便秘薬は刺激性便秘薬と比較すると作用がゆっくりと穏やかであるため、自然に近い排便を望む場合には非刺激性便秘薬を選ぶのが効果的です。ただし、その分効果が出にくい場合がある点に注意しながら服用するようにしましょう。

3. 便秘薬のおすすめの飲み方、おすすめの薬について紹介

飲み薬
便秘薬に刺激性便秘薬と非刺激性便秘薬があることはわかっていただけたかと思いますが、ここからは実際におすすめの便秘薬の飲み方について見ていきたいと思います。

3-1. 同じ刺激性便秘薬でも合う合わないがある

たとえば、同じ刺激性便秘薬でもエスエス製薬の「スルーラック」という商品には「センナ」「ビサコジル」という成分が含まれています。このスルーラックは蠕動させる力が弱めであるため、服用してもお腹が痛くならないという方は多いです。

しかし一方で大正製薬の「コーラック」は蠕動させる力が強く、お腹が痛くなるという方が多いという声をよく聞きます。腸が蠕動すると人によってはお腹が痛くなることがあるので、自分に合わないと感じたらすぐに服用を停止し、自分に合う商品を選ぶと良いでしょう。

3-2. 防風通聖散の正体

小林製薬の「ナイシトール」という薬があります。この正体は防風通聖散という漢方薬で刺激性の下剤にあたります。実際のところ、この防風通聖散で医学的に内臓脂肪を取ることができるかというと少々無理があります。燃焼させる効果は期待できるかもしれませんが、直接脂肪が取れるわけではありません。下剤として便が排出される際に水分も一緒に出てしまい、見た目の体重が落ちるだけでなく筋肉も落ちてしまいます。その結果太りやすくて痩せにくい体になってしまうのです。同じタイプの薬として、クラシエの「コッコアポプラスA錠」などにも防風通聖散が含まれています。

3-3. 便秘薬服用を突然やめるのはNG

一般的に「痩せ薬」と称されているものの大半は下剤です。下剤は長期で服用し続けるとだんだんと効果は薄くなり、便が出にくくなることから摂取量が増えてしまいがちです。便秘解消のために日々服用している人もいると思いますが、飲む量が増えたことに不安を感じいきなり飲むのをやめてしまうなど突然服用をストップしてしまうのは絶対にやめましょう。生活習慣を改善していくにつれて徐々に便秘薬の服用を減らしていくというかたちにしなければ、今まで便秘薬に頼って排便できていたものが出なくなってしまうからです。

3-4. 便秘薬服用は時間をかけて減らす

便秘薬の服用を最終的にストップするためには、最低で3ヵ月、平均で半年程度、長い人で1年ぐらい時間をかけてゆっくり減らしていく必要があります。

便秘薬によって便秘を治すのには時間がかかりますが、きちんと続けていれば良くなる人は多いです。しかし、多くの人は即効性がないとすぐ服用をやめてしまいがちです。そのため即効性があってすぐ排便につながる刺激性便秘薬に効果を期待してしまう傾向にあります。

刺激性便秘薬は努力しないでも排便できてしまうため、服用し続けた場合の危険性は高いと思ってください。たまに便秘が続いて便が出にくくなった際にのみ刺激性便秘薬を服用するのは良いことですが、ただ生活習慣の改善もせずに刺激性便秘薬をダラダラと飲み続けるのは間違った便秘薬の飲み方であると認識する必要があります。

4.まとめ

ベッドの上で深呼吸する女性
便秘薬を服用する際の理想的な飲み方は、非刺激性便秘薬からスタートして徐々に服用を減らしていきながら最終的にやめられるかたちがベストな飲み方となります。それでも便秘が解消しない場合に限りたまに刺激性便秘薬を服用するようにしましょう。ぜひ今後の便秘薬購入の際に参考にしてみてください。

また、便秘薬を飲み続けているとどうしても生活習慣を改善する努力を怠りがちになってしまうため、まずは生活習慣を見直すことも重要です。たとえば、

・健康的な食生活を送る
・適度な運動をする
・生活リズムを整える

など毎日行えるようなところから生活習慣の改善をスタートさせていきましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。