胃潰瘍の主な症状・原因はどんなもの?胃腸のプロが詳しく解説
ストレスが溜まって胃が痛くなると、胃潰瘍を疑う人も多いのではないでしょうか。胃痛を伴う病気はたくさんあり、痛みの出る場所や痛み方がそれぞれ異なります。なかでも胃潰瘍はストレスが原因で起こることが多く、老若男女問わず誰もがかかる可能性の高い病気のひとつと言われています。
今回は、胃潰瘍の主な症状や原因、治療法などについて詳しく解説していきます。
胃潰瘍は、胃の粘膜が傷つき、炎症や欠損が生じる状態のことを言います。胃の粘膜は通常、胃酸や消化酵素から胃を保護する役割を果たしているのですが、暴飲暴食、ストレスなどのさまざまな要因によってこの保護が弱まると、胃酸によって粘膜が損傷して潰瘍が発生します。
胃潰瘍になりやすい人には、いくつかの共通した特徴や生活習慣や体質が関係していると言われています。次のような要因は胃潰瘍のリスクを高めるとされているものですので、該当する人は、日ごろから注意するようにしましょう。
ヘリコバクターピロリ菌の感染は、胃潰瘍の主な原因のひとつです。この菌に感染すると、胃の粘膜が弱まり潰瘍が発生しやすくなります。ヘリコバクターピロリ菌感染は幼少期に起こり、成人になって症状が現れることが一般的です。
ヘリコバクターピロリ菌感染は胃潰瘍だけでなく胃がんリスクも高いため、感染が確認された人は除菌治療を早急に行う必要があります。
精神的または身体的なストレスを抱えると、胃酸の分泌を促進して胃の粘膜を傷つけることがあります。現代人の誰しもがストレスを抱えて生きていますが、長期的なストレスは胃に良くありません。精神的な苦痛を感じる場合には、適度にストレスを発散したり、精神科に通ってみることも検討してみましょう。
喫煙は、胃酸分泌を増加させるとともに胃の血流を悪化させ、粘膜の修復機能を低下させます。その結果胃潰瘍が発生しやすくなり、その後の治癒も遅くなってしまいがちです。
アルコールの過剰摂取は、胃の粘膜を直接刺激するだけでなく、保護機能を損なわせます。また、ピロリ菌感染者の胃潰瘍リスクを高める要因ともなるため、飲酒される人は適度な量に留めておきましょう。
辛いものや酸性の強い食品などの刺激物の摂取や不規則な食事習慣を続けると、胃に負担をかけてしまい胃潰瘍のリスクを高めることがあります。また、空腹時の胃酸分泌過剰や過食による胃粘膜の負担も胃潰瘍の要因となる場合があります。
家族の中に胃潰瘍を患った人がいる場合には、遺伝的な要因から胃潰瘍を発症する可能性が高くなると言われています。
アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの鎮痛剤を長期間または頻繁に使用している人、また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)をよく使用する人は、胃の粘膜の防御機能が低下して胃潰瘍のリスクが高まります。特に高齢者や慢性的な持病がある人は注意が必要です。
胃潰瘍の主な症状としては、次のようなものが挙げられます。症状は軽度のものから重度のものまで幅が広く人によっても異なりますが、これらの症状があったらすぐに医師の診断を受けるようにしましょう。
胸の下あたり、みぞおち付近に鈍いあるいは刺すような痛みを感じることがあると胃潰瘍の疑いがあります。食後や夜中に痛みが起こることが多いのが特徴です。ちなみに、十二指腸潰瘍の場合には食前に痛みが起きることが多いです。
胃の炎症が進行すると、食欲不振や吐き気を感じることがあり、ひどい場合には嘔吐することもあります。場合によっては嘔吐物に血が混じることがありますので、嘔吐した場合には、どんなものを吐いたかを確認したうえで、医師に伝えることが大事です。
胃の不快感や痛みが発生することで、結果的に食欲が低下することがあり得ます。特に食後に痛みを感じる場合には、食事をしないという選択をすることもあるでしょう。何日も食欲不振が続く場合には、きちんと医療機関を受診するようにしましょう。
胃潰瘍を発症すると、胃酸が逆流して胸やけや酸っぱい液体が喉に上がってくるような感覚を感じることがあります。これは胃潰瘍が胃酸の分泌を増加させることと関係しています。寝る直前や就寝中に症状が現れることがあるようです。
出血を伴う便が出る場合には、便の色が黒くなる(タール便)ことがあります。消化された血液が便に混じっているためで、胃潰瘍が進行して出血が起きている可能性を秘めています。黒色便が出ると、大腸がんや胃がんなどのがんの恐れもあるため、速やかに医療機関を訪れるようにしましょう。
胃潰瘍によって胃の痛みや食欲不振、吐き気が続くと、結果的に体重が減少することがあります。特に長期間にわたり胃の不調が続く場合には、顕著に症状が現れます。
胃潰瘍によって慢性的な出血があると鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。これにより、疲労感や顔色が悪くなるなどの症状が現れる場合があります。
ほかにも、背中の痛みや冷や汗、意識がもうろうとするような症状が現れることもあります。胃潰瘍の症状は早期の治療で改善が期待できるものですので、症状が現れたら早めに医師の診察を受けることが重要となります。
胃潰瘍の治療法は、原因や症状の重さに応じて異なりますが、いずれの場合においても胃粘膜を修復して症状を軽減し、再発を防ぐことが目的となります。
胃潰瘍の薬物療法としては、胃酸分泌を抑える薬を使用して胃を正常な状態に戻していきます。胃酸を抑える薬には、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬(PPI)などがよく使用されます。そして最近では、胃酸分泌を強力に抑えるカリウムイオン競合型酸ブロッカー(PCAB)の使用が主流となっています。
また、ヘリコバクターピロリ菌の感染が原因の胃潰瘍の場合、抗生物質を使用してピロリ菌除去を行います。通常は2種類の抗生物質とPPIやPCABを組み合わせた治療法が用いられます。
4-2. NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用を抑制する
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用は、時として胃潰瘍の原因となる場合があります。よって、痛み止めや解熱薬などのNSAIDsの長期使用は控えるのが賢明です。医師と相談し、代替薬を使用するのがよいでしょう。
胃潰瘍の再発を防ぐためには、日常生活においてストレスを溜めない生活や喫煙、アルコール摂取の制限、規則正しい食生活といった生活改善が大事です。
また一度胃潰瘍にかかったことのある人の場合には、再発しないように定期的な診察を受けることも重要となります。健診の際には胃内視鏡検査を行い、詳しく胃の状態をチェックしておくと安心です。
以上、胃潰瘍の主な症状や原因、治療法などについて紹介してきました。
胃潰瘍は、多くの場合適切な治療を受けることで完治が期待できる病気です。治療方法も薬物療法や生活習慣の改善を組み合わせることにより、潰瘍の治癒を促進し再発を防止することができます。ただし、重症化した場合には速やかな治療が必要となりますので、胃潰瘍の疑いのある症状が現れた際には、早めに医師に相談することが大切です。
「癌にならない腸活実践メルマガ講座」では、がんで亡くなる人・苦しむ人を一人でも多く減らすために日常生活の中で実践できる
・免疫を上げる方法
・正しい腸活の知識
・腸内環境とお肌の関係
・健康的なダイエット方法
・乳酸菌のすごい効果
などを、腸の専門医が毎日メールでお届けいたします。
免疫力をアップして、いくつになっても健康的な毎日を過ごしたい方におすすめの内容になってますので、気になる方はぜひ記事下のバナーをクリックしてお申し込みください。
↓↓
この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。