老化の原因「酸化」や「糖化」の防止策について詳しく解説
金属が酸化によって錆びつくように、体も年齢を重ねることで酸化しやすい体に変化していきます。体が酸化すると細胞や組織に損傷が起こり、肩こりや慢性的疲労、高血圧などのさまざまな健康問題や老化現象を引き起こす可能性が出てきます。
また、酸化と同様に「糖化」も老化の原因と言われています。体が糖化すると、肌の老化や動脈硬化、骨粗鬆症などを引き起こすとされており、酸化が「体のサビ」と言われるのに対し、糖化は「体の焦げ」と称されています。
「酸化」と「糖化」は両方とも体の細胞機能を低下させる要因であることから、その予防策が注目されていますが、今回は、酸化や糖化とはどのようなものか、その防止策について詳しく解説していきます。
酸化は、体内で活性酸素が増えることによって引き起こされます。腸が炎症を起こして体内で発生する活性酸素、また体内に入り込んできたりして増えた活性酸素は、細胞膜やDNAを攻撃し、老化や病気のリスクを高める原因となるものです。活性酸素も適量であれば体にとって重要な役割を担ってくれますが、過剰に増えてしまうようだとかなり問題です。
たとえば、活性酸素が増えた結果体が酸化すると、細胞の酸化ダメージが蓄積し、肌のシワやたるみ、「体の老化を促進」させますし、酸化されたコレステロールが血管壁に沈着することで「動脈硬化の原因」にもなります。また免疫細胞にも影響を与えるため、感染症や病気に対する「免疫力が低下」することもあります。
糖化とは、体内のたんぱく質と糖がくっつき、たんぱく質の機能が落ちることを言います。私たちの体を作っている細胞、骨、筋肉、元気ホルモンとか、こういったものはすべてたんぱく質が材料になっていますが、このたんぱく質に糖がくっつくことで化学反応を起こし、AGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)といった物質を生成します。このAGEsが過剰に蓄積されるとたんぱく質の機能が落ち、さまざまな健康問題を引き起こすことがあります。
体が糖化すると、コラーゲンやエラスチンといった皮膚の主要なタンパク質が硬くなり、肌の弾力が失われてシワやたるみの原因となります。また、血管の内壁が糖化することで弾力性が失われて動脈硬化のリスクが高まり、心臓病や脳卒中のリスクを高めます。ほかにも、糖尿病や白内障、アルツハイマー病などを進行させる要因にもなります。
たんぱく質の機能が落ちることは、老化を意味します。骨のたんぱく質に糖がくっつくと、骨のしなやかさがなくなってしまいますし、骨密度が落ちたり骨折しやすくなったりもします。また、筋肉のたんぱく質に糖がくっつくと、筋肉量が減ってきたり筋力が低下したり、フレイル(心身の衰え)の原因になります。せっかく良質なたんぱく質を摂取しても、糖が多ければ摂取した意味がありません。
体の酸化を防止するためには、腸の環境を良くするのがとても大事です。酸化を防ぐ抗酸化作用を持つとされるビタミンの代表としては「ビタミンA」「ビタミンC」「ビタミンE」があり、これらが含まれている食べ物を好んで食べるようにすることで酸化を防止できます。
ビタミンAを多く含む食べ物の代表は、緑黄色野菜です。にんじん、ピーマン、ほうれん草などが代表です。ビタミンCを多く含む食べ物としては、ブロッコリーやパプリカ、キウイ、アセロラなどの野菜類や果物と言われており、ビタミンEが豊富に含まれているのが、アーモンドやウナギ、ほうれん草などの食べ物です。これらを糖分より先に食べることにより、血糖値の上昇を抑えたり、抗酸化作用も期待できます。
また、細胞の中に酸化を防ぐ成分に「グルタチオン」があります。パーキンソン病の人にグルタチオンの点滴を行うと歩行障害が一時的に改善されることがあります。グルタチオンはサプリメントで摂取可能ですが、サプリメントの場合、摂ったらすぐに分解されてしまって細胞の中まで届きません。そこで細胞の中のグルタチオン濃度を上げるのに役立つのが魚油(オメガ3脂肪酸)です。魚油を摂ると細胞の中のグルタチオン濃度が上がって酸化を防いでくれます。
魚油が多く含まれる魚で有名なのはサバです。サバはオメガ3脂肪酸が非常に豊富で、特にDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれており血液をサラサラにしてくれます(DHA、EPAともにオメガ3脂肪酸のひとつ)。また、イワシも缶詰でも生でもオメガ3脂肪酸を手軽に摂取することができます。さらに、天然のサーモンも高いDHAとEPA含有量を誇っていますし、ニシンにもオメガ3脂肪酸は多く含まれていて、燻製や缶詰としても利用されています。
他にもマグロのトロの部分には脂が多くオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、マグロのツナ缶などで手軽にオメガ3脂肪酸を摂取できますし、サンマやカツオ、アンチョビなどもオメガ3脂肪酸が結構多く含まれているので、ここで紹介したような魚類を意識して摂るようにすると酸化防止には効果的といえるでしょう。特にサバやイワシといった青魚は、心血管系の健康維持や炎症の軽減に役立つとされていますので、魚の調理が苦手な人は缶詰でかまいません、一食に一品は魚料理を入れるとよいかもしれません。
糖化を防止するには、ご飯やパン、麺類、甘いもの、菓子パン、果糖ブドウ糖液糖が大量に入った清涼飲料水、乳飲料などの摂取をできるだけ控えるようにしましょう。ちなみに、乳酸菌やビフィズス菌には果糖ブドウ糖液糖を入れないことには、酸味が強すぎて飲むことができません。そのため糖分が含まれるのはある意味仕方がないのですが、できるだけ糖分を摂らないように意識した食生活を心掛けましょう。
これらの糖質の多い食べ物ばかりを食べていると血糖値が上がっていきます。そこで血糖値を急激に上げないために、繊維質の多い野菜などを先に食べる「ベジファースト」を実行してみるのはおすすめです。まず野菜を食べ、その後に肉や魚と言ったたんぱく質の食物を食べるようにします。そして、最後にご飯や麺類といった順番で食べると血糖値の急上昇を防ぐことができます。
低GI(グリセミック・インデックス)食品は、血糖値を上げにくい食べ物のことです。GIとはどれくらいの早さで血糖値が上昇するのかを数値化したものですが、この数値が低いほど血糖値の上昇スピードが遅く、糖化のリスクが低い食べ物となります。
低GIの食べ物には、日本そばやスパゲッティ(全粒粉)、玄米、ライ麦、春雨、オールブラン、さつまいも、りんご、メロン、グレープフルーツ、みかん、牛乳、チーズ、ヨーグルト、キノコ類、ブロッコリーなどがありますが、低GIの食品ばかりを食べ続けても消化器官に良い影響を与えませんので、バランスの良い食生活を意識するようにしましょう。
糖化を防止するためには、質の良い睡眠も非常に重要です。睡眠と糖化には深い関連があり、十分な睡眠を取ることで血糖値のコントロールが良好になり、糖化の進行を抑えることができます。可能な限り毎日6時間以上の睡眠を確保するようにしましょう。
以上、酸化や糖化とはどのようなものか、酸化や糖化の防止策などについて紹介してきました。
酸化や糖化を防ぐことで、老化の進行を食い止めたり、病気にならない体にすることができるようになりますが、そのためには日ごろから食事や生活習慣に注意することが必要です。特に酸化は40代を越えたあたりから急激に進むと言われていますので、「いくつになっても若さを維持したい」「病気にならない体づくりを実践していきたい」という人は、抗酸化力や糖化抑制力の向上に努めるようにしましょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久 医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。