内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

新しい腸内細菌検査「マイクロバイオミー」とはどんな検査?胃腸のプロが詳しく解説

これまで腸活に取り組んでみたものの、思うような成果を得られなかったという人、健康や美容に対して本気で取り組んでいるものの、思ったほどの納得感が得られないという人は、一度詳しく腸内細菌検査をしてみるとよいかもしれません。

そこでぜひ実践していただきたいのが、日本で最も詳細な腸内細菌検査と言われている「マイクロバイオミー(MicroBio Me)」です。日本ではあまり聞かれない検査手法ですが、腸活先進国アメリカの解析手法としてアメリカ本国では普通に行われています。

今回は、マイクロバイオミーとは何か?マイクロバイオミーでどんなことがわかるのかを詳しく解説していきます。

1. マイクロバイオミーとは?

腸内環境のイメージ
マイクロバイオミー(MicroBio Me)は、日本で一番詳しい腸内フローラ検査です。

私たちの腸内には、約1,000種類・100兆個ともいわれる腸内細菌が存在し、その種類や割合は人それぞれで極めて複雑であると言われています。腸内細菌を活性化するためには、発酵食品や食物繊維を幅広く摂ることは大切とされているものの、ただやみくもに取り組んでも十分な効果が得られない場合があります。腸活を熱心に行っていても、実際に検査結果が思わしくない人がいるのも事実です。


自身の腸内細菌を良い状態にするためには、まず自分の腸内にどのような課題があるのかをきちんと明らかにしたうえで最適な方法を取ることが何よりも重要です。そこで、自分の腸内細菌叢を調べるにはマイクロバイオミーによる腸内フローラ検査がおすすめです。

1-1. マイクロバイオミーはショットガンメタゲノム解析を採用

従来の腸内細菌検査では、大きな塊となる属レベルまでしか調べられませんでした。一方、ショットガンメタゲノム解析は、種や株レベルまでさらに細かく見ていくことができます。たとえば、ビタミンを作る力や短鎖脂肪酸を作る力、菌が持つ能力や菌の種類なども見られるようになっており、すごく画期的な解析手法です。

ショットガンメタゲノム解析は日本ではあまり聞いたことない解析手法ですが、腸活先進国の解析手法としてアメリカでは普通に行われています。

日本で一般的ではない理由としては解析における価格の高さがあります。日本国内で調べた場合、解析するだけで5万円以上、販売料を入れると普通に実施したら10万円近くかかると言われているものです。

しかし、マイクロバイオミーだとアメリカの会社に検体(便)を空輸して解析することで国内での解析よりかなり安く腸内細菌検査が行えるのです(販売料込みで4万円程度)。ただし、検査結果が出るまで1ヶ月半程度と少し時間かかる点は留意する必要があります。

2. マイクロバイオミーのメリット

聴診器とグラフ
マイクロバイオミーによって、細かい部分まで解析できることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここからはいくつかマイクロバイオミーのメリットについて詳しく見ていきます。

2-1. 50種類以上の菌の状態など約70項目がわかる

マイクロバイオミーでは、50種類以上の菌の状態などおよそ70項目がわかります。具体的には、腸内細菌の総合スコアや不足している有用菌、必要な菌が好む食材、腸バリアダメージスコア、免疫スコア、脳腸相関不調リスクスコア、消化力スコア、菌の多様性の度合い、ビタミン(ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12)の合成力、短鎖脂肪酸(プロピオン酸・酪酸・吉草酸)や乳酸の産生力、有用菌(12種類)・日和見菌(5種類)・有害菌(19種類)・ヨーグルトやサプリメントに含まれる菌(23種類)などの割合を確認できます。

2-2. 有用菌が好む食物繊維を知ることができる

マイクロバイオミーによる解析によって、不足している有用菌を特定でき、なおかつその有用菌が好んで食べるえさ(食物繊維)を把握することが可能です。食物繊維を普段から意識して食している人は多いと思いますが、食物繊維にはたくさん種類があり、菌によって好んで食べる食物繊維が微妙に違っています。

たとえば、以下の種類の有用菌は次のような食品や原料を好みます。
食物繊維
マイクロバイオミーは、研究されている7種類の食物繊維からおすすめの食物繊維を選択し推奨するといったサービスまでしてくれます。たとえば、フィーカリバクテリアムという有用菌の割合が少ないと判明した場合、フィーカリバクテリウムが喜ぶ食物繊維を摂取するとよい、とピンポイントで教えてくれるわけです。

2-3. 短鎖脂肪酸やビタミンを作る能力までわかる

また、マイクロバイオミーは短鎖脂肪酸やビタミンを作る能力を見ることができます。有用菌の多くが短鎖脂肪酸を作る菌でもあるため、有用菌が好む食生活を実行することで短鎖脂肪酸をたくさん作ることができ非常に効率的です。有用菌がどれくらい自分の体内にあるのか、少なければ有用菌のどの菌が少ないのかまでわかりますし、少ない菌が好む食材もわかります。

たとえば、ヨーグルトやサプリメントに入っている菌が一覧で掲載され、自分に不足している菌がどれなのかが分かり、どのようなヨーグルトやサプリメントを摂ればよいかまで詳しく知ることもできます。

3. マイクロバイオミーの検査の流れ

ポストへ投函する女性
一般的なマイクロバイオミーの検査は、以下のような流れで行われます。マイクロバイオミーの検査が受けられるのは18歳以上となり、子供は受けることができません。

1. まずは病院で診察を受け、検査方法などの詳細説明を受けます。
2. その後検査キットが渡されるので、自宅で便の採取を行います。
3. 採取した検体(便)は、所定の手順に従って郵送します。
4. 検体発送後、およそ6~9週間ほどで診察を受けたクリニックに検査結果のレポートが届きます。結果が伝えられ同時にレポートが渡されます。
5. 医師から食事や生活習慣、サプリメントなどについてのアドバイスがあります。

4. まとめ

腹痛の女性
以上、マイクロバイオミーとはどのようなものなのか、またマイクロバイオミーでどんなことがわかるのかを紹介してきました。

マイクロバイオミーは、過去に腸内細菌検査を受けたけれど、そのあと何をすればよいかよくわからない人、また腸活を頑張っているもののなかなか納得のいくようなお腹の状態になってない人に1度試してもらいたい腸内細菌検査です。

マイクロバイオミーによって自身の体の状態を詳細に見てもらうことで、「これまで行っていた対応策が間違っていたかもしれない」「もっと摂った方がいい食物があるのかもしれない」といったことなどがわかります。

ただし、マイクロバイオミーによる腸内細菌検査は、腸内細菌と関連するスコアを表示するのみであって、健康や美容についての改善方法を示すものではない点は把握しておきましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。