内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

大腸がんの死亡率が高い理由とは?大腸がんが進行するとどうなる?

大腸がんは定期的な内視鏡大腸カメラ検査を行うことで、未然に防ぐことが可能な病気です。それにもかかわらず、国立がん研究センターが公表している2020年のがん統計のまとめによると、大腸がんの死亡数の順位は男性で3位、女性では1位です。

これほどまでに大腸がんで命を落とす方が多い理由は、検査を受けない方が多いからという点になります。そこで今回は、大腸がんについてステージごとの生存率や大腸がんの治療について解説します。

1. 大腸がんとは

大腸検査のイメージ
大腸がんは、胃がんと同じで定期的なカメラ検査(大腸内視鏡検査)を受けることで早期発見・早期治療が可能な病気です。

大腸がんの発症原因や特徴を理解しておくことで、体の不調や違和感から大腸がんと結びつけるきっかけになるかもしれません。

また、大腸がんが進行することで、体にどのような影響が出るのかを知っておくことも大切です。

1-1. 胃がんと大腸がんの違い

胃がんは、小さな段階でもがんとして発症します。
一方、大腸がんの場合は、胃がんのようにいきなりがんから発生するケースもありますが、ほとんどの場合、良性のポリープが年月をかけがん化することで、がんが発症します。大腸がんは定期的なカメラ検査によって良性のポリープを早期発見し切除することで、予防が可能です。

2. 大腸がんで亡くなる方が多い理由

がんとハート
2020年の国立がん研究センターによるがん死亡数の大腸がんの順位を確認すると、男性で3位、女性にいたっては1位となっています。

この統計からわかる通り、日本人の多くの方が大腸がんによって命を落としているのです。本来、大腸がんは大腸内視鏡検査を受けていれば予防できるがんですが、男女ともにこのような結果になっているのは、大腸内視鏡検査の受診率の低さが原因ということを示しています。

3. 大腸がんが発症しやすい部位とは

人体模型
大腸は、小腸側から盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の6つの部位に分類されています。

大腸がんができる部位は、直腸とその他の結腸の二つに大別されるので、直腸がんと結腸がんとして生存率などの統計がとられています。

直腸がんと結腸がんの進行と生存率には、それぞれ違いがあります。

3-1. 大腸がんの進行分類

大腸がんの進行分類には、6段階ありそれぞれのステージで表す状態は下記の通りです。

ステージ0:がんが大腸粘膜内に留まるもの
ステージ1:がんが大腸の壁に留まっているもので、リンパ節への転移の有無を問わずリンパ節転移のリスクがあるもの
ステージ2、ステージ3a、ステージ3b:リンパ節への転移を認めるが、多臓器への転移はないもの
ステージ4:多臓器への転移があり、体のさまざまなところへがんが散らばっているもの

国立がんセンター中央病院による統計データには、結腸がんと直腸がんの5年生存率が公表されています。

3-2. 結腸がん・直腸がんの6段階の5年生存率の割合

結腸がん・直腸がんの6段階のそれぞれの5年生存率の割合をまとめてみました。

(結腸がん)
ステージ0:約93%
ステージ1:約92%
ステージ2:約85%
ステージ3a:約80%
ステージ3b:約65~64%
ステージ4:約20%

(直腸がん)
ステージ0:約98%
ステージ1:約91%
ステージ2:約83%
ステージ3a:約73%
ステージ3b:約54%
ステージ4:約15%


胃がんのステージ4では、5年生存率が10%未満とされているため大腸がんのほうが、生存率が高いことがわかります。

胃がんと大腸がんの生存率に違いが見られるのは、胃がんに使用できる抗がん剤の種類が少ないことや、胃がんによく効く抗がん剤がまだないことが理由です。そのためステージ4の胃がんの場合は、抗がん剤治療を行うことで1~2年半程度の延命が期待できますが、それ以上の延命は難しいケースがほとんどです。

一方、大腸がんの抗がん剤は胃がんに比べて種類が豊富であるだけでなく、非常に効果がある抗がん剤もあります。ステージ4の大腸がんの場合は、抗がん剤治療を行うことで一時的に大腸がんが消失するケースもあり長期生存できる場合もあります。しかし、再発するリスクはあり、多くの場合、抗がん剤治療で期待できる延命期間は、2年半~3年程度です。

4. 大腸がんは良性のポリープをがん化させないことが大切

大腸癌検診
大腸がんの多くは良性のポリープが時間をかけ大きくなる過程でがん化するため、ポリープの状態で発見し切除することでがん化が予防可能です。

大腸がんは胃がんに比べると抗がん剤治療による生存期間の延長は期待できますが、ステージ4の場合は、残念ながら根治(がんが体から無くなり完全に治った状態になる)が難しいのが現状です。

大腸がんを根治するためには、がんになる前の良性ポリープの状態で切除しがん化を予防する、もしくは根治できるステージでがんを発見し治療することが重要です。

そのためには、35歳を目処に一度は大腸内視鏡検査を受けましょう。また、検査時にポリープなどの異常が無かったとしても3年に一度は検査を受けることをおすすめします。

5. 大腸がんの治療

抗がん剤
大腸がんの治療には、手術と抗がん剤治療の2つがあります。治療方法は、発見された際の大腸がんのステージやがんの発症場所などによって異なります。

外科的手術は、転移がみられない場合や転移があっても転移部位も切除可能であれば、根治を目指して身体からがん細胞を完全に取り除くために行われます。
大腸がんの場合は、転移があり、外科的手術で身体からがん細胞を取り除くことが出来ないステージ4の状態であっても、原発巣(おおもとの大腸がん)をそのままにしておくと、食事摂取や排便に大きく影響するため、抗がん剤治療を開始する前に原発巣だけ外科的に切除してその後抗がん剤治療を開始したり、抗がん剤治療後にがんを小さくした上で外科的手術を行い、その後、抗がん剤治療を継続する場合もあります。もちろん、外科的手術は全く行わず、抗がん剤治療のみを行うケースもあります。

6. まとめ

国立がん研究センターが公表している2020年の大腸がんの死亡数の順位は、男性で3位、女性では1位です。この統計から、多くの日本人が大腸がんで命を落としていることが分かります。

大腸がんは、良性のポリープが大きくなる過程でがん化し発生することが多いのが特徴です。つまり、定期的に大腸カメラ検査を受け、早期に良性のポリープを発見・切除できれば、がんを予防することが可能です。

残念ながら、今の医学では、進行してしまった大腸がんは多くの場合、根治できません。
しかし、大腸は、定期的な大腸がんを受けることでがんの予防ができる臓器です。
症状がなくても35歳を目処に、定期的な大腸カメラ検査をするようにしましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。