内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

ガンマGTPの値が高くなる原因は脂肪肝?健康診断でガンマGTP値が高いときにチェックしたいこととは

γ-GTP(ガンマジーティピー)は健康診断で必ず測定される肝機能の指標の一つです。
みなさんの認識としては「γ-GTPってお酒を飲んだときに上昇する値かな?」かもしれませんが、全くその通りです。

このγ-GTP値が高いときは、飲酒か脂肪肝が疑われます。今回は、健康診断などでγ-GTP値が高かったときに覚えておいてほしい6つの項目を解説します。

1. γ-GTPとは

肝機能検査の結果
γ-GTPとは、タンパク質を分解する酵素の一つです。胆道から分泌され肝臓の解毒作用に関わり、アミノ酸の生成に欠かせない酵素です。アルコールの摂取量が多くなったり、胆道に何らかの疾患がある場合に数値が高くなります。

γ-GTPは肝細胞が壊れたときに出てくるので、γ-GTPの数値が高いということは肝臓に何らかの疾患がある恐れがあります。決して肝臓の機能が下がっているわけではありません。

2. 健康診断でγ-GTPが高い場合に確認したい6つのこと

ビールで乾杯
γ-GTPが高くなったときに確認したい6つのことは下記になります。

・アルコールの摂取量
・体重の増加・肥満
・内服薬を複数飲んでいないか
・胆石の有無
・ウイルス性肝炎の有無
・家族にγ-GTPが高い人がいないか

γ-GTPの数値が上昇する原因の主なものは、アルコールと脂肪肝の2つです。

アルコールや脂肪肝以外にも、いくつかの原因が考えられますので、何が引き金でγ-GTPが高値になっているのか確認しましょう。

上記で示した原因に心当たりがある場合には、日頃の食生活や生活習慣を見直す必要があります。詳しく解説していきます。

2-1. アルコールの摂取量

アルコール摂取量については、結構な頻度でお酒を飲んでいないか?という点に注目しましょう。

では、なぜアルコールを摂取するとγ-GTP値が上がるのでしょうか?
アルコールを過剰に摂取すると、肝臓はアルコールに反応し肝臓の細胞内でγ-GTPが多く作られます。

この状態が続くと、肝細胞が破壊され血液中にγ-GTPが放出されてしまうので、γ-GTPの数値が上がるのです。

アルコールが体内に入ると、胃や小腸で吸収されます。吸収されたアルコールは、門脈を通って肝臓で分解されます。肝臓内ではアルコールを分解するためにアルコール脱水素酵素(ADH)が分泌され、そのときに有毒物質であるアセトアルデヒドを発生させます。

アセトアルデヒドは、肝臓の細胞にダメージを与えることが知られている物質です。

アルコールの摂取量が増えると肝臓の負担が大きくなります。毎日の晩酌や家で飲む機会が増えているなど飲酒が習慣化している方は、生活習慣の見直しが必要です。

2-2. 体重の増加

運動不足によって、体重が増えたり肥満になっている場合にもγ-GTPが高くなります。体重の増加によってγ-GTPが高くなるのは、脂肪肝の恐れがあるためです。

脂肪肝になる最大の原因は肥満です。食べ物からの摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余ったエネルギーが肝臓に運ばれ中性脂肪として蓄えられます。

肝臓に蓄積した中性脂肪は、肝細胞をチクチクと攻撃しはじめます。肝細胞が傷つきやがて破壊されてしまうと、血液中にγ-GTPが放出されてしまうので、γ-GTPの値が上昇するのです。

仕事の仕方が在宅ワークにシフトチェンジしたり、外出を控える生活になった方も多くいるでしょう。通勤や外出が減り運動不足に陥っていることも考えられます。思い当たる方は、家でもできるエクササイズを取り入れるなど、運動の機会を増やしましょう。

2-3. 内服薬を複数飲んでいないか

長期的に複数の薬を内服してると、薬剤性肝障害が起きる恐れがあります。肝臓には、薬の代謝を行う役割もあります。

薬剤性肝障害は、多くの場合、薬剤へのアレルギー反応で起こります。また、薬剤そのものや肝臓が薬剤を処理する過程で出る中間産物が蓄積し、肝障害を起こすケースもあります。

病院で処方される薬以外にも、市販の風邪薬・解熱剤・漢方・サプリメントなどどんな薬でも肝障害を起こす恐れがあります。特にγ-GTPの値が高くなりやすい薬剤が下記の3つです。

・抗てんかん薬
・抗精神病薬
・ステロイドホルモンの薬

薬物性肝障害の症状は、倦怠感・発熱・発疹・吐き気・嘔吐・かゆみなどがあり、放置すると重症化する恐れがあります。黄疸や脳症、劇症肝炎を引き起こすケースがあるため、気になる症状がある場合は専門医に相談しましょう。

2-4. 胆石の有無

過去に胆石があると診断を受けた方の中にも、γ-GTPの値が高くなるケースがあります。γ-GTPは、肝臓と十二指腸をつないでいる胆管の細胞にも存在します。

胆管に胆石や腫瘍があると、γ-GTPの値が上昇しやすくなります。胆汁の流れに異常があると起こる黄疸などでもγ-GTPの数値が高くなります。

胆石ができやすい方の特徴は下記の4つです。

・女性
・太っている人
・40歳以上
・出産経験が多い

上記に上げた4つを英語にした際に、頭文字が全てFになるため4Fと呼ばれることもあります。また、食事を抜くことが多い方も胆石ができやすいといわれています。食事を抜くと胆汁の流れが悪くなり、それが慢性的に繰り返されることで、胆石ができてしまうのです。
胆石ができても、症状が出るとは限りません。胆石によって腹痛症状を起こすのは、約20%です。また、胆石は胆嚢を傷つけ炎症を起こし、最終的には胆がんになる可能性がありますので注意が必要です。

2-5. ウイルス性肝炎の有無

ウイルス性肝炎は、B型肝炎・C型肝炎などの肝炎ウイルスが原因となって発症する疾患です。

肝臓が長期にわたり炎症を起こした慢性肝炎の状態なので、肝細胞が傷つけられ血液中にγ-GTPが放出され数値が上がります。

また、稀ではありますが、自己免疫性肝疾患の場合でもγ-GTPの値が高くなります。自己免疫性肝疾患とは、中年以降の女性に好発することが特徴です。自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。

これらの病気は免疫機能が正常に働かなくなり、肝臓を敵と勘違いし、肝細胞を攻撃することで肝炎・肝硬変へと進行していきます。

B型肝炎・C型肝炎・自己免疫性肝疾患のいずれも自覚症状がないまま慢性化してしまうため、γ-GTPの高値がきっかけで発見されるケースもあるのです。

2-6. 家族にγ-GTPが高い人がいないか

家族にγ-GTPが高い人がいる方は、自身もγ-GTPが高くなる恐れがあります。

健康診断などでγ-GTPが高いと指摘を受けており、先に紹介したことにあてはまらない方は、遺伝的にγ-GTPが高い可能性があります。ただ、遺伝的にγ-GTPが高くなるのは稀であるため、気になる症状がある方は専門医に相談しましょう。

3. どうして脂肪肝になる?

食べる女性
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。健康診断を受けた成人の約30%が、脂肪肝の指摘を受けるといわれています。

脂肪肝になると肝硬変、肝がんと進行する恐れがあります。つまり、肝がんのリスクを下げるには脂肪肝にならないことが重要です。

脂肪肝というと、アルコールの飲みすぎをイメージする方も多いかと思います。しかし、アルコール以外の原因でも脂肪肝になります。

3-1. 脂肪肝の原因は炭水化物と糖質のとりすぎ

白米・うどん・ラーメンなどの炭水化物やケーキなどの糖質は、脂肪肝の原因となります。

たんぱく質や糖質が体の中に入ると、腸の中でブドウ糖に分解され吸収されます。吸収されたブドウ糖は、グリコーゲンに変化し血液中に放出され肝臓に蓄積されます。グリコーゲンは空腹になると血糖値を上げる役割がありますが、肝臓に蓄積する量が増えると中性脂肪となってしまいます。この肝臓に中性脂肪が蓄積した状態を脂肪肝と呼びます。

中性脂肪は肝臓を攻撃し肝細胞を傷つけるので、γ-GTPをはじめとするASTやALTの数値が高くなるのです。つまり、アルコールを摂取しない方がγ-GTP・AST・ALTの数値が高くなっている場合は、脂肪肝になっている恐れがあります。

4. 脂肪肝の治療

体重計に乗る人
脂肪肝の治療の基本は、ダイエットです。現時点から体重の5~7%を減らすと、肝臓の脂肪が落ちるといわれています。例えば、体重50kgなら2.5~3.5kgが減量の目安です。

断食など無理なダイエットではなく、炭水化物や糖質のとりすぎを見直すことからはじめましょう。食生活の見直しだけで、体重が減る可能性もあります。

また、適度な運動もおすすめです。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を1日30分程度行いましょう。有酸素運動の効果は48時間ほど持続しますので、週3日を目安に行うと良いです。

5. まとめ

食事をする男性
γ-GTPの数値が高くなるということは、肝細胞の破壊が進んでいる恐れがあります。肝疾患の多くは無症状で、気づいたときにはかなり進行していたというケースが多いです。

「アルコールを飲まないから大丈夫」「たまたま数値が高くなっただけ」と検査結果を無視せず、日頃の食生活や習慣を見直してみましょう。

健康診断などで、肝機能障害を指摘されたりγ-GTPの数値が高い場合は、早めに原因を見つけることが大切です。肝炎や脂肪肝から進行すると、肝硬変・肝がんとなるケースが高いため、気になる症状があるときには、専門医を受診しましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。