内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

平均寿命都道府県ランキングに見る寿命と日常生活の関係性について

日本人の平均寿命は世界的に見ても非常に長く、1955年以降延び続けてきました。厚生労働省が2023年7月に発表した「令和4年簡易生命表」には2022年分の平均寿命および平均余命が記載されていますが、これによると男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年となっています。この数字が2040年には男性が83.27歳、女性が89.63歳にまで延びると予測されています。

平均寿命が延びている原因としては、医学が進歩したことや生活環境の向上、乳児死亡率の減少などがあると言われていますが、長寿となる秘訣は果たして存在するのでしょうか?また寿命と日常生活には何か関係があるのでしょうか?

今回は、都道府県別平均寿命ランキングを基に寿命と日常生活の関係性について詳しく説明していきます。

1. 市区町村別の平均寿命について

シニアのイメージ
厚生労働省のデータ「令和2年市区町村別生命表の概況」において、全国の市区町村別平均寿命が公表されています。この中に記載されている市区町村別平均寿命の上位・下位の市区町村の順位が非常に興味深いため、20位までを抜粋して紹介したいと思います。
平均寿命の表

※引用参照:厚生労働省「令和2年市区町村別生命表

 

これによると、男女とも1位になったのは「神奈川県川崎市麻生区」です。また神奈川県横浜市青葉区は男性2位、女性13位、横浜市都筑区も男性8位、女性16位となっています。このエリアは地図で見ると連なっており、健康意識の高い人が集まっている地域と言えるかもしれません。

1-1. 下位エリアは2つの都道府県に集中

平均寿命下位1位は、生活保護受給者が多いことで有名な大阪市西成区でした。なお、上位1位の川崎市麻生区と、下位1位となる大阪市西成区の平均寿命差は、なんと「10.8歳差」となっています(麻生区:男性84.0歳、女性89.2歳、西成区:73.2歳、女性86.9歳)。

また、下位にランキングされているなかで、「大阪府」と「青森県」の2つの都道府県が頻出しているのが非常に興味深いものとなっています。大阪府が下位にランキングされているのは、先ほど述べたように生活保護受給者が多いことなどが影響していると思われます。

しかし、なぜ青森も数多くランキングされているのでしょうか?その理由について考えてみたいと思います。

2. 青森県の平均寿命が短い理由

青森県
青森県の平均寿命が短い理由としてさまざまな要因が考えられますが、以下のような理由があるのではないかと推測されています。

雪国のため、冬の季節はあまり家から出られず運動量が減ってしまうのではないか?
寒いのでアルコール類の消費が増えるからではないか?
食事について保存食の消費量が多いのではないか?
食べ物を塩漬け保存したりすることも影響しているのではないか?

これらは医学的な根拠があるわけではありませんが、青森県民が短命となっている要因としてあながち外れてはいないのではないでしょうか。

2-1. 青森県はインスタントラーメンの消費量第1位

総務省の2016年の家計調査のデータによると、インスタントラーメンの消費量の第1位は青森県です。青森県民の1世帯当たりの年間インスタントラーメンの消費量は全国平均6,123g(カップラーメン82個分ぐらい)に対し、9,227gと全国平均の1.5倍ほど消費していることになります。

2-2. 塩分が多いものは健康リスクが高い?

たとえば、胃がんにかかる原因のひとつにピロリ菌感染による炎症がありますが、塩分の摂りすぎも胃がんの原因となります。

厚生労働省が推奨している日本人の食事摂取基準(2020年版)では、1日あたりの塩分摂取量の目標値(成人)は、男性が7.5g未満、女性は6.5g未満となります。一般的な食事では塩分を10g程度摂っているため、それ以上だと摂りすぎです。ちなみに、カップラーメンは1個食べるだけで約5~6g摂取することになりますので、優に1日の摂取量に達してしまいます。

塩分を摂りすぎると腸内環境が悪くなるという報告もあり、健康にはあまり良くありません。そのことは寿命にも影響していると大いに考えられます。

2-3. 炭酸飲料や果物・野菜ジュースの消費も多い

また総務省の2020年から2022年における家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキングでは、果物・野菜ジュースの消費額が第1位、炭酸飲料の消費額は第2位(ともに青森県青森市)となっており、青森県民は糖尿病リスクの高いことが伺えます。

3. まとめ

ジムで運動をする高齢者
以上、都道府県別平均寿命ランキングから寿命と日常生活の関係性について考察してきました。

寿命を延ばすためには、健康に対する意識を高く持つことが前提としてはありますが、しかしそれ以外にも健康を保つための取り組みを実践することが重要です。今回紹介した平均寿命が低いエリアに現在お住まいの方がこれから居住エリアを移動するというのはあまり現実的ではありませんので、たとえば

⚫️塩分の摂りすぎに注意する
⚫️甘味飲料を控える
⚫️適度な運動を心掛ける
⚫️ストレスを回避する
⚫️地域のコミュニティへ参加してみる
⚫️飲酒・喫煙を控える
⚫️健康診断や定期健診を欠かさない

などを日頃から意識することで寿命を延ばせる可能性は高まります。長寿を目指すなら、まずは、生活習慣の見直しから実践してみましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。