内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

脂肪肝の原因はアルコールだけじゃない!脂肪肝の原因とメカニズムとは?

健康診断で一番診断率が高いといわれているのが、脂肪肝です。脂肪肝といえば、アルコールが原因というイメージが強い方もいるかと思います。しかし、近年は、アルコールが原因ではない脂肪肝も増えており、放置していると肝硬変や肝がんにつながる恐れもあります。

今回は、脂肪肝の原因やメカニズム、治療について詳しく解説しますので、ぜひ参考になさってください。

1. 脂肪肝とは

メタボのお腹
脂肪肝とは肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。
組織学的には、肝細胞の5%以上に脂肪蓄積が認められた場合に脂肪肝と診断されます。ただし、検診で行われるエコーや、CTなどの画像診断で脂肪肝と診断されたときには、すでに肝臓内に20%以上の脂肪蓄積が生じていることになります。

これは、肝臓内に20%以上の脂肪が蓄積することで初めてエコーやCTなどの画像で脂肪肝が確認できるようになるからです。

健康診断を受けた成人の約3割の方が、脂肪肝と診断をされています。

脂肪肝に蓄積する中性脂肪は、肝臓以外の内蔵や皮下脂肪にも蓄積しやすいため脂肪肝とメタボリックシンドロームとは深い関係があります。メタボリックシンドロームを指摘されている場合は、既に脂肪肝になっていることもあり、放置すると肝炎などに進行するリスクがあるといわれています。

2. 脂肪肝の原因

ビールで乾杯
脂肪肝の原因には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の2つがあります。それぞれ見ていきましょう。

2-1. アルコール性脂肪肝

アルコール性脂肪肝は長年の飲酒が原因です。

1日60g以上のアルコールを飲む方は、要注意です。目安としてアルコール20gは、ビール500ml、日本酒なら1合、ワインでは200mlです。

缶ビール(350ml)のアルコール量は14gなので、毎日5本以上飲む習慣がある方は、1日60g以上のアルコールを摂取していることになります。また、一般的な居酒屋の場合、生ビールの小ジョッキは200~300ml、中ジョッキは350~500ml、大ジョッキは700~800mlです。居酒屋などで飲酒する場合は、小ジョッキは5杯、中ジョッキは3杯、大ジョッキは2杯以上で目安となる60gを超えます。

通常のワインのフルボトルは1本750mlです。毎日、ワインを1本開けてしまうという方は、目安となる60gを超えています。

日本酒は、1合180mlです。コンビニなどで購入できるワンカップは、1本180mlのものが主流なので、3本以上飲むと60gを超えます。

2-2. 非アルコール性脂肪肝

アルコール以外が原因の脂肪肝を、非アルコール性脂肪肝(Nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD(ナッフルディー))といいます。

また、全国で1,000万人以上の方がNAFLDと診断され、そのうち10~20%の方が、非アルコール性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH(ナッシュ))に進行することがわかってきました。

非アルコール性脂肪肝の原因は、主に炭水化物や糖のとりすぎが主です。その他、感染症や薬によるものがあります。

アルコール摂取量の目安は男性で1日30g未満、女性で1日20g未満にも関わらず脂肪肝になる場合はNAFLDと診断されます。

3. NAFLD(非アルコール性脂肪肝)とNASH(非アルコール性肝炎)の違い

肝臓のイラスト

3-1. NAFLDとは?

NAFLDとNASHの違いは、肝臓の脂肪沈着に炎症や繊維化が伴っているかいないかで大別されます。

NAFLDは、肝臓にたくさん中性脂肪がついただけの状態で、肝炎を発症していない状態です。肝硬変へ移行することもほとんどありません。

3-2. NASHとは?

一方でNASHは、肝臓に脂肪が蓄積することで、肝臓に炎症を起こした状態のことです。
具体的に説明すると、肝臓に蓄積された中性脂肪をエネルギーとして使うときに肝細胞が傷つくことで、このサイクルが繰り返され炎症が起きてしまいます。

NASHになるメカニズムは、現段階では明確になっていませんが、NASHになると10年以内に10~20%の方が肝硬変に進行することがわかっています。肝硬変は、肝がんに進行するリスクが非常に高いといわれています。
肝炎にはB型肝炎やC型火炎などのウイルス性の肝炎がありますが、それらの肝炎よりもNASHの方が肝硬変になるスピードが速い印象があります。

NAFLD、NASHともに基本的には、無症状です。また、健康診断の血液検査だけではNAFLDとNASHの区別をつけることができません。

そのため、健康診断などで肝数値が指摘された場合には、病院を受診し専門医に相談することがおすすめです。

4. 脂肪肝になるメカニズム

食べる女性
脂肪肝になるメカニズムは、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝では異なります。

特に非アルコール性脂肪肝は、日頃の食生活や生活習慣の乱れによる影響が顕著に現れるのが特徴です。

4-1. アルコール性脂肪肝の場合

肝臓は、体内に入ってきたアルコールを解毒する働きを持っています。本来、アルコールは解毒・分解され、最終的には汗や尿となって体外に排出されます。しかし、長年の飲酒によって糖や脂肪を分解・合成する働きが低下すると、アルコールの分解・解毒作用が低下するといわれています。

アルコールは、肝臓が分泌するADHという酵素によってアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドはタバコや排気ガスなどにも含まれる有害物質であり、肝細胞を傷つけます。さらに、脂肪の分解を抑制するので、中性脂肪が蓄積されやすい環境になってしまうのです。

4-2. 非アルコール性脂肪肝の場合

非アルコール性脂肪肝の原因は、炭水化物と糖のとりすぎです。

炭水化物や糖などが含まれる食物が体内に入ると、胃で消化され腸に運ばれブドウ糖になり吸収されます。吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれグリコーゲンとして吸収されます。肝臓は、体内の血糖値を常に一定にする働きを持っているため、空腹時に血糖値が下がるとグリコーゲンを利用し血糖値を上げます。

ただ、肝臓に必要以上のグリコーゲンが蓄積されるとグリコーゲンが中性脂肪になってしまいます。この繰り返しによって、肝臓に中性脂肪が蓄積されることで脂肪肝になるのです。肝臓に蓄積された中性脂肪はやがて肝臓を攻撃し壊された肝細胞によって、AST・ALT・γ-GTPといった物質が血液中に放出されます。

そのため肝数値といわれるAST・ALT・γ-GTPの値が高い場合は、脂肪肝の可能性が示唆されます。

5. 脂肪肝の治療

ウォーキングをする男女
脂肪肝の治療には、生活習慣の改善・食事療法・運動療法・薬物療法がありますが、脂肪肝予防で取り入れたいことは下記の4つです。

・ダイエット
・糖質を控える
・アルコールを控える
・運動

上記は、気づいたときからはじめられることばかりです。具体的な方法を紹介します。

5-1. ダイエット

脂肪肝の治療の基本は、ダイエットです。脂肪肝と診断されている方や脂肪肝の疑いがある方は、ダイエットをはじめましょう。

現在の体重の5%前後を減らすと、肝臓の脂肪が落ちはじめるといわれています。たとえば、50kgなら2.5kg、60kgなら3kgの減量を目指しましょう。
ただし、リバウンドすると意味がありませんので、無理のない期間でダイエットしましょう。

5-2. 糖質を控える

肝臓に中性脂肪が蓄積するのは、糖質のとりすぎが原因でもあります。食生活の中で糖質を減らすよう意識しましょう。

糖質は、甘いものだけではなく炭水化物にも含まれます。普段から白米・うどん・パン・パスタ・などの炭水化物を多くとっていたり、水分補給にジュースを飲んだりしている場合は注意が必要です。

まずは、食生活から変えていきましょう。

5-3. アルコールを控える

肝臓にはアルコールを分解する機能がありますが、私たちの想像以上に分解するのに労力がかかっています。毎日の飲酒は、たとえ少量でも肝臓にかなりの負担をかけることになります。

毎日アルコールを飲む習慣がある場合は、週に2日程度アルコールを飲まない休肝日をつくり、肝臓の負担を軽減しましょう。
飲むアルコールの種類は、糖質が高いといわれているビール・日本酒・ワインではなく、蒸留酒であるウィスキー・焼酎に変えるなど工夫するとよいでしょう。

5-4. 運動

おすすめはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。特にウォーキングはお勧めです。
やや早歩きで、じわっと汗が出るくらいの距離を歩くことが重要です。

運動の効果は48時間程度持続するといわれているため、30分の有酸素運動を週3日以上行うようにしましょう。習慣化したい場合は、無理をしない程度に毎日続けるのもいいかもしれません。

6. まとめ

肝機能検査の結果
「脂肪肝かもしれないけど、症状もないしいいかな」と思っている方は、ちょっと考え方を変えてみてください。

脂肪肝は、進行すると肝炎や肝硬変に進行する恐れがあります。また、肝硬変になれば肝がんのリスクも高くなります。アルコールが原因だというイメージが強い脂肪肝や肝硬変ですが、アルコールを飲まなくてもNAFLDになる可能性があることを知っておくことも大切です。

健康診断で肝数値が高いという指摘を受けた方は、放置しておくと大変な病気につながることもありますので、早めの専門医への受診を心がけましょう!

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。