内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

血便や下痢は大腸からのサイン!大腸がんのリスクを軽減するには?

日本人における大腸がんの死亡数の順位は、男性が3位で女性では1位です。男女ともにトップ3位に入っている大腸がんは、早期発見・早期治療できれば完治できる疾患です。

大腸がんは、初期の段階では自覚症状がない場合が多く、進行すると血便や便秘・下痢などの症状が出現します。血便や下痢などがある場合は大腸からのサインを見逃さず、早めに検査することで、大腸がんのリスクを軽減することが可能です。

今回は、大腸がんや大腸ポリープができている場合のサインと、それ以外で大腸に異常がある場合について解説します。

1. 血便や繰り返す下痢は大腸カメラ検査を!

腹痛の高齢女性
血便が出た方や下痢を繰り返している方は、早めに大腸内視鏡検査を受けましょう。

「大腸の検査は大変」というイメージが強いためか、症状があっても受診率が低いのが現状です。そのため、男性の死因では第3位、女性では第1位になるほど、大腸がんで命を落とす方がたくさんいます。

大腸がんで命を落さないためにも下記に当てはまる場合は、大腸内視鏡検査を受けましょう。

・便潜血検査で異常が出た
・便をした後に便やお尻を拭いた紙に血が付いた
・下痢が1ヵ月以上続く
・長年便秘で悩んでいる
・昔は快便だったが、最近便が細くなったりコロコロとした便が出るたりするようになった
・繰り返す腹痛や長く腹痛が続いている
・原因不明の貧血がある
・35歳以上で大腸内視鏡検査を受けたことがない
・大腸がんや大腸ポリープがあった血縁者がいる
・過去に検査でポリープを取ったことがある
・大腸がんのリスク要因がある(飲酒、喫煙、肉(加工肉含む)を好んで食べる)
・前回の大腸カメラで異常は認められなかったが、以前の検査から3年以上経過している

上記は、大腸がんである可能性を秘めた症状や状況、因子です。もちろん、これらの症状を引き起こす大腸の疾患は大腸がん以外にもあります。症状は大腸が出しているSOSのサインです。上記に当てはまる方はぜひ大腸内視鏡検査を検討しましょう。

1-1. 大腸内視鏡検査とは

大腸内視鏡検査とは、肛門から盲腸までの大腸全体をカメラで観察し、ポリープや大腸癌、炎症などの病変がないかを観察する検査です。親指ほどの太さがあるカメラを肛門から大腸内へ挿入し、空気を入れ大腸を膨らませながらポリープや癌が隠れていないかを観察していきます。

通常、大腸には便が溜まっているため、腸内を隈無く観察するためには、検査前に腸内の便をすべて排出し空っぽにする必要があります。大腸内の便をすべて体外へ出すためには、検査前の下準備として腸管洗浄液や大量の水分をとる前処理が必要です。

前処理では、大量の腸管洗浄液を服用し、便を液体のような水様便にして排出させる必要があるため、この下準備の負担から大腸内視鏡検査を受けることを避ける方も少なくありません。

しかし、大腸内視鏡検査を受けると思いがけず、命にかかわる重大な病変が見つかる可能性もあるため、気になる症状がある方は早期に検査を受ける事をおすすめします。

2. 大腸内視鏡検査を受けて欲しい方

検便キットと聴診器
大腸内視鏡検査は、出血や便の異常を感じている方に受けていただきたい検査です。それはいったいどういう方なのか、具体的に紹介します。

2-1. 便潜血検査で異常が出た

便潜血検査(便潜血2日法)は、死亡率減少に効果的であると厚生労働省が認めた大腸がんの検査です。健康診断や人間ドックなどで、便潜血検査を受け異常という結果が出た場合は、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

便潜血検査で異常が出ても、排便時に出血している自覚がない場合や、痔を持っている方、検査日に生理だったからと検査結果を放置している方が多いです。

しかし、便潜血検査で大腸がんを見逃す確率は20~30%といわれており、放置することで大腸がんのリスクは高くなるケースもあります。

大腸から出血がある場合には、大腸がんを含めた何らかの大腸の病気が隠れている可能性が高いため、便潜血検査で異常を指摘されたら必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。

2-2. 排便時に出血したことがある

便をした後に便の表面に血が付いた、お尻を拭いた紙に血が付いた、赤黒い便が出たことがあるという場合も大腸に異常が生じている恐れがあります。

血便や肛門からの出血がある場合は、多くの場合、その原因は痔です。しかし、大腸癌や潰瘍性大腸炎などの大腸の病気が原因となっているケースもあるため、「どうせ痔だから」と安易な推測で放置するのはおすすめできません。検査を受けた結果、痔が原因だったとしても、安心を買うためにも内視鏡検査を受ける事をお勧め致します。

直腸がんで亡くなる方の中には、長年痔だと思って放置していたら、実は癌からの出血だったというケースも多くあります。出血があったにもかかわらず、痔だと思って放置し続け、便が出せなくなる状態になってから検査を受けても、手遅れのことが多いのです。

少しでも出血が認められた場合には、大腸がんをはじめ何らかの病気が隠れている可能性があるという認識を持ち、早めに大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

2-3. 下痢が1ヶ月以上続いている

ウイルス性や細菌感染の腸炎などでも下痢の症状はありますが、1ヵ月程度で自然に改善するのが一般的です。しかし、下痢が1ヵ月以上も続く場合は、腸そのものに何か原因がある可能性があります。

大きなポリープや大腸癌があると、それらが大腸の管腔を塞ぐために通過可能な便が下痢という形になるため、下痢が続くという場合もあります。
また、感染症以外の特殊な腸炎が原因となっているケースもあるため、1ヵ月以上下痢が続く場合は、必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。

2-4. 便秘や便通異常がある

「長年便秘で悩んでいる」「昔は快便だったが、最近便が細くなった」「コロコロとした便が出るようになった」というような便通異常がある場合も、大腸内視鏡検査を受ける事をオススメ致します。

単純に便秘や便通異常があるといってもその原因は様々です。大腸の何が原因で便秘や便通異常が生じているのかを知るためにも大腸内視鏡検査は有効です。
また、大腸内視鏡検査時には、下準備の下剤で腸内環境をリセットしたり、カメラで腸のねじれを整復したりすることも可能です。これらにより大腸内視鏡検査後に、便秘や便通異常が改善することもあります。
便秘なんていつものこと、と放置せずに大腸内視鏡検査を受けることをオススメします。

2-5. 繰り返す腹痛や長く腹痛が続いている

腹痛の原因は大腸の異常によるものだけではなく、その他の内臓の異常が原因のケースもありますが、大腸に問題があるケースは多いため、長期間腹痛がある場合は、その原因検索として大腸内視鏡検査を受けることをオススメ致します。

もちろん腹痛は、臓器には何も異常が無くても、ストレスや不安が原因で腹痛の症状が出る過敏性腸症候群などの疾患もあります。過敏性腸症候群などのこれらの疾患を診断するためには、大腸内視鏡検査を行い、症状の原因となる明らかな異常が無いことを確認することが必要です。
腹痛で悩んでいる場合も大腸内視鏡検査を行い、腹痛の原因を明確にすることが大切です。

2-6. 原因不明の貧血がある

貧血は、男女で原因が異なります。女性の貧血は、婦人科系の疾患が原因のケースが多く、胃や大腸などの消化管からの出血以外が原因のケースも多々あります。
しかし、男性の場合は、消化管からの出血が原因となっている可能性が高いです。

立ちくらみや疲れやすさ、めまいなどの症状が出る鉄欠乏性貧血がある場合は、胃や大腸などの消化管から、目に見えない出血をしている恐れがあります。消化管からの出血が原因の貧血は、大腸がんや大きなポリープができていたり、潰瘍性大腸炎のような特殊な自己免疫疾患が隠れているケースもあるのです。

3. 大腸がんや大腸ポリープができやすい方とは?

加工肉の盛り合わせ
これまで紹介してきた症状がなくても、大腸がんや大腸ポリープができやすい方がいます。どんな方が大腸がんや大腸ポリープのリスクが高いのでしょうか?

・35歳以上
・大腸がんや大腸ポリープがあった血縁者がいる
・過去に検査でポリープを取ったことがある
・大腸がんのリスク要因がある(飲酒、喫煙、肉(加工肉含む)を好んで食べる)

大腸がんは、30代を境に徐々に発症率が高くなります。大腸にできた小さなポリープが徐々に大きくなりがん化することで大腸がんになるため、35歳を目安に大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

ポリープができやすい遺伝的な要素として、大腸がんや大腸ポリープがあった血縁者がいる方や、過去に検査でポリープを取ったことがある方が挙げられます。ポリープができやすい体質では、年齢を重ねることでさらにリスクが高くなります。

また、飲酒や喫煙をする方、ハムやベーコンなどの加工肉を好んで食べる方もポリープができやすいといわれています。先に紹介したリスク要因がある場合は、さらに発がんやポリープのできやすさを後押しする原因となります。

上記に当てはまる方は、一般の方よりも大腸がんやポリープができやすいといわれていますので、定期的に大腸内視鏡検査を受けましょう。

3-1. 異常なしの検査から3年以上経過している

過去に大腸内視鏡検査を受けて異常がなかった場合でも、3年以上経過している方は再度大腸内視鏡を受けることをおすすめします。

以前の大腸内視鏡検査で異常がなかったとしても、生活習慣や食生活の変化、年齢を重ねたことによって、大腸の状態も以前とは変わっているからです。

大腸がんは早期発見が重要になるため、予防として3年に1度は定期的に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

4. 大腸内視鏡を負担なく受けるには

医師の診察
大腸内視鏡検査を受ける方の中には、検査前の排便処置が苦痛と感じる方が多いかと思います。

当院では、下剤を少なくし前処置の苦痛を軽減する、鎮静剤を使った大腸内視鏡検査を行うなど、患者さまの立場に立ち苦痛が少しでも少なくなるように工夫しています。
大腸内視鏡検査を受け大腸がんで命を落とす方を、少しでも減らしたいと考えています。

気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

5. まとめ

大腸がん検診
大腸がんは日本人に多いがんですが、定期的に大腸内視鏡検査を受け早期発見できれば治せる病気です。また、がん化する前のポリープの状態で発見・処置できれば、予防にもなります。

血便や下痢などは大腸からのサインです。そのサインを見逃さず、しっかり大腸内視鏡検査を受け、大腸がんのリスクを軽減させましょう。

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この記事を書いた人

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。