内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

便秘薬のおすすめの市販薬とは?飲み方の工夫で便秘解消!

便秘が長期的に続くとき、多くの方が市販薬を利用しようと考えます。便秘薬にはさまざまな種類があり、どれを飲んだらいいのか迷う方も多いでしょう。

便秘薬にはそれぞれ特徴と飲み方があり、知っているだけで自分の症状に合った市販薬を選択できるようになります。

今回は、市販されている代表的な便秘薬の特徴と飲み方について解説します。

1. 便秘薬の種類

薬の写真
市販されている便秘薬の種類は豊富にあり、どの便秘薬を選択したらいいの迷っている方も多いかと思います。

今回は、ドラッグストアでも購入できる便秘薬を3つ紹介します。
・酸化マグネシウムE便秘薬
・タケダ漢方便秘薬
・コーラック

それぞれの便秘薬の効果や特徴を理解し、自身の便秘の症状に合った便秘薬を選択することが大切です。

1-1. 酸化マグネシウムE便秘薬

酸化マグネシウムE便秘薬
酸化マグネシウムE便秘薬は、90錠1,202円(税込)で購入できます。(※ドラッグストア、通販によっては価格が異なることがあります。)

用法用量は、成人で1回3~6錠です。効果の発現時間は8時間前後ですが、早い方は服用後2時間程度で効きめが現れます。

酸化マグネシウムE便秘薬は、非刺激性便秘薬の代表的な薬です。酸化マグネシウムE便秘薬の特徴をまとめてみました。

・酸化マグネシウムが、水分を集め便を柔らかくする
・常習性はなくクセにならない
・1錠で330mgのマグネシウムを含む
・1錠でも効果がある
・まとめて飲んでも、1~3回に分けて飲んでも効果は同じ

酸化マグネシウムE便秘薬は、酸化マグネシウムが働き腸管から水分を集めます。集まった水分によって固まっていた便が柔らかくなり、腸のぜんどう運動によって排便しやすくなります。

飲み方については、1錠でも効果を実感できる方もいるため1錠からはじめるのもいいでしょう。また、飲む回数や量を、自分の腸の調子や体調によって調整できるのも酸化マグネシウムE便秘薬の特徴です。

1-2. タケダ漢方便秘薬

タケダ漢方便秘薬
タケダ漢方便秘薬は、65錠1,078円(税込)で購入できます。(※ドラッグストア、通販によっては価格が異なることがあります。)

用法用量は、成人で2~3日排便がないときに1回1~3錠、4日以上排便がないときは1回2~4錠です。効果の発現時間は、服用してから8時間前後です。

就寝前に服用すると、通常であれば翌朝に排便が起きます。自然な形の排便を希望する場合は、就寝前の服用がおすすめです。

タケダ漢方便秘薬は、漢方薬系の代表的な薬です。タケダ漢方便秘薬の特徴をまとめてみました。

・大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)が配合されている
・大黄が腸管運動を亢進させ排便を促す
・1錠で大黄が267mg含まれている
・最大量の4錠飲むと大黄を1,067mg摂取することになる
・依存性がある
・長期服用すると、大腸粘膜が黒く変色する(大腸メラノーシス)

便秘などの症状がある場合に多くの医師が処方するのは、漢方の便秘薬です。病院で処方される漢方系の便秘薬には、1日量で最大4,000mgの大黄が含まれるものがあります。病院で処方される漢方系の便秘薬に比べると、タケダ漢方便秘薬はマイルドな効き目の便秘薬です。

ただし、大黄が含まれる便秘薬には依存性が伴うため要注意です。タケダ漢方便秘薬は、1錠を割って服用することもできます。はじめて服用する場合は、便秘の状態に合わせて、服用量を調節しましょう。

1-3. コーラック

コーラック
コーラックは、60錠723円(税込)で購入できます。(※ドラッグストア、通販によっては価格が異なることがあります。)

コーラックは、CMでも「ピンクの小粒コーラック」で有名な便秘薬です。5層構造で作られており、胃で溶けず腸で効果を発揮するための工夫がされています。

用法用量は、成人で1回2錠です。効果の発現時間は、服用してから6~11時間となっています。コーラックの特徴をまとめてみました。

・ビサコジルが主成分
・大腸の神経を刺激して、ぜん動運動を亢進し排便を促す
・ビサコジルが2錠で10mg含まれている
・1回量で十分
・依存性があり連用すると効果が薄れる

コーラックは、依存性があり毎日のように服用すると効果が薄れてしまうため、1日2錠では足りなくなり何錠も服用してしまう方がいます。

コーラックは、慢性便秘にもしっかり効果を発揮する便秘薬のため、便を押し出そうとする排便反射も刺激します。はじめて服用する場合は、腹痛を伴うことも考えられるため、会社や学校が休みの日に試すのがおすすめです。

また、コーラックにはビサコジルが主成分のもの以外にも、便に水分を浸透させ便を柔らかくし膨らませる膨潤性下剤のジオクチルソジウムスルホサクシネートを配合した「コーラックファースト」などがあります。

便秘の症状に合わせて、服用する量を調節し、便秘薬の種類を選択するといいでしょう。

2. 便秘薬の効果的な使い方

便秘に悩む女性
便秘薬には、それぞれ異なった効果を持つ成分が配合されているので、用量用法を理解した上で服用することが大切です。

はじめて便秘薬を服量する場合には、腸のぜん動運動が活発になることで腹痛が起きることも考えられます。どの便秘薬を服用するのか?ここも重要なポイントです。

おすすめの使い方は下記の通りです。
・非刺激性の便秘薬から試してみる
・整腸剤を併用する
・それでも効かない場合は、大黄やビサコジルが含まれる刺激性の下剤を追加する

2-1. 非刺激性の便秘薬から試すのがおすすめ

非刺激性の便秘薬の特徴は、便にある程度の水分を含ませ便をふくらませたり、軟らかくしたりすることで、排便しやすくする働きを持っていることです。

おすすめの服用方法は、1日1錠からはじめてみて、3日ほど服用しても効果がなければ、1錠ずつ増やしていく方法です。ご自身の便秘の状態に合わせていくといいでしょう。錠数が増え、1回の量が多く飲みづらいと感じた場合には、1日2~3回に分けて服用するのもおすすめです。

非刺激性の便秘薬によって排便がスムーズになる場合は、ぜん動運動が正常に行われている可能性があります。そうであれば、日頃の水分補給や、繊維を含む野菜の摂取が不足していて、便が硬くなりやすくなっているのかもしれません。

食事の見直しや水分をこまめにとるようにしましょう。

2-2. 便秘薬と製腸剤を併用するとは?

便秘や下痢は、腸内環境のバランスが崩れていても起きやすくなります。便の状態は腸内にいる腸内細菌によっても変化するからです。

便秘薬を服用して便秘が解消しても、それは一時的なことかもしれません。腸内環境を整えるには運動や普段の食事の見直しが必要です。ただし、これでは時間がかかってしまうため、整腸剤をうまく取り入れ腸内環境を整えましょう。

便秘薬と整腸剤の2剤だけで便秘が解消する方は、非常に多いです。

便秘薬と整腸剤を併用しても便秘が解消されない場合には、刺激性の便秘薬を追加する方法もあります。ただし、刺激性の便秘薬には依存性があるため毎日の服用はおすすめできません。服用する場合には、週に1~2回までが目安です。

3. おすすめの整腸剤とは?

飲み薬
市販の整腸剤には、さまざまなものがあります。どれを飲んだらいいのか、わからない方もいるのではないでしょうか?

整腸剤の選び方のポイントを知っておくと、自分に合った整腸剤を見つけられるでしょう。

3-1. 効果を見極めるには1か月服用してみる

ビフィズス菌、酪酸菌、乳酸菌などさまざまなものが含まれています。腸内環境のバランスや腸内菌の数や種類は人それぞれ異なるため、その方に合った整腸剤を見つけるには1か月間、服用を続けてみることが必要です。これを「1ヶ月チャレンジ」と呼んでいます。

毎日決まった錠数を1か月飲み続けても便秘が解消しない場合は、その整腸剤に含まれる菌があなたの腸に合っていなかったといえます。

1つの整腸剤を試してみて効果がない場合は、他の整腸剤を試してみてください。必ず、あなたの腸に合った整腸剤があるはずです。

自分の腸に合った整腸剤にすぐ巡り合える方もいれば、そうでない方もいます。もし、腸内環境が整うような整腸剤に出合うことができれば、腸内環境が整い、便秘解消の効果も期待できます。ぜひ、諦めずに自身と合う整腸剤を見つけ出してください。

4. まとめ

男性医師
便秘薬には、非刺激性と刺激性のものがあります。まずは、非刺激性の便秘薬を服用し便秘が解消するか確認してみてください。また、整腸剤を併用することで腸内環境が整うと自然な排便が期待できます。

それでも効果がない場合には、週1~2回、刺激性の便秘薬を服用を試みてください。ここまで試しても便秘が改善されない場合は、何か他の原因があるかもしれません。迷わず、専門医を受診し原因を明確にすることをおすすめします。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。