高血圧は塩分の摂りすぎが原因って本当?血圧を下げる食事や運動について
高血圧の状態が長く続くと、心臓病や脳卒中、動脈硬化をはじめとしたさまざまな病気になる恐れがあります。高血圧はしばしば「サイレントキラー」と呼ばれるように自覚症状がないことが多く、定期的な血圧測定と生活習慣の改善が重要です。
一般的に高血圧の原因は塩分の摂りすぎが原因と言われますが、実際のところはどうなのでしょうか?また高血圧の人が血圧を下げるのに適切な食事や運動にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、高血圧の原因や血圧を下げる降圧剤、さらには高血圧を予防する食事や運動などについて詳しく解説していきます。
高血圧は血管が動脈を流れる際に血管壁にかかる圧力が正常値よりも高い状態が続く状態のことを言います。私たちが血圧を測る際には「上が〇〇、下が〇〇」といった言い方をしますが、上とは心臓が収縮し血液を送り出す際の収縮期血圧(最高血圧)を言い、下とは心臓が拡張した際の拡張期血圧(最低血圧)を意味しています。
高血圧と診断されるのは最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上の場合です。一昔前であれば年齢+90以下なら良いとされており、60歳の人なら150mmHg以下でも十分OKでしたが、現在の基準は厳格すぎるとも言われています。
年齢とともに血管は硬くなりますし、肺活量は少なくなるので血圧は上がる傾向にあります。基準が下がることで高血圧に当てはまる人が非常に増えており、その結果高血圧な人を数多く生み出していると言えなくもありません。
実は腸内環境が悪くなると血圧が高くなるというメカニズムが存在しています。これはかなり確立されており、実際に塩分の高い食事を摂る機会が多い人の場合、腸内環境がかなり悪くなります。具体的に言うと乳酸菌の減少が起こり、それにより免疫が落ちるといった具合にさまざまな不都合が起こってきます。
体内には炎症を誘発する細胞として免疫システムの中的役割を果たす「Th17細胞」というものがあるのですが、それが過剰に働き出し炎症性疾患や自己免疫疾患を引き起こす原因ともなります。炎症細胞がチクチクと血管を炎症させてしまうことで動脈硬化が進行し、最終的には高血圧になってしまうのです。
2-1. 腸内環境を良くすると高血圧は予防できるの?
腸内環境を良くすれば高血圧は予防できます。そのためのカギとなるのが実は乳酸菌です。乳酸菌にはたくさんの種類がありますが、この乳酸菌や乳酸菌産生物質が直接血管壁に作用して血管を拡張させ、血圧を下げる作用があることが明らかになっています。そんな乳酸菌のなかでも「エンテロコッカスフェカリス菌」という菌は、いろいろな整腸剤でも使われている菌のひとつで、血圧を下げる作用のある乳酸菌と言われています。
ただし、乳酸菌を持続的に摂取しないと効果はないので注意が必要です。
血圧を下げることで、心臓病や脳卒中、腎臓病、動脈硬化、視力障害、大動脈瘤といった病気を未然に防ぐことにつながりますが、血圧を下げる方法として「降圧剤」といった薬が使われることがあります。降圧剤とは血圧を下げるための薬で、一時的に血圧を下げる効果のあるものや、継続的に飲むことで血圧を調整するタイプのものなどがあります。
3-1. 降圧剤の服用に高いリスクがあるって本当?
降圧剤を使うことによるデメリットがあるのも事実で、降圧剤の服用にはリスクが存在します。もともと血圧は血液を全身に送るために必要な圧力であるため、薬等により血圧を下げてしまうと全身に血液が行き渡りにくくなります。特に重力に逆らって血液を送る必要のある頭や脳、目などにダメージが起こりやすくなります。
たとえば、ふらつきや眩いは頭や脳に血流がいかないことで起こるとされています。また、脳への血流が少なくなると認知機能も落ちてきます。最近では目の病気との関連についても言われており、白内障や緑内障は血流が少なくなることで起こる病気ではないかと言う人もいるようです。ほかにも、脳梗塞が増えているのは降圧剤が原因ではないかという説もあるなど、降圧剤の使用は必ずしもよい結果だけをもたらすものではない点はぜひ知っておく必要があります。
3-2. 血圧の薬の服用はいつまで行うのがベスト?
降圧剤といった血圧に関する薬は、高血圧と診断されている人の多くが飲まれています。怖いのが一度飲んだらその後は手放せなくなってしまうため、実はやめるタイミングが非常に難しいです。
では薬の服用をやめるタイミングですが、一度1ヶ月ほど薬の服用をやめ、自分の本当の血圧はどれぐらいなのか、を確かめてからがベストです。気候的には冬だと血管が収縮するので血圧が上がりやすく、夏は血管が拡張するので血圧は下がりやすい傾向にあるため夏にやめてみるのがよいでしょう。そのように薬の服用をやめてみた結果、血圧がかなり下がっているのに薬を飲み続けていた、といったことが発覚することもあります。
高血圧=塩分の摂りすぎといったイメージがあります。では実際に塩分を控えたら高血圧にはならないと言えるのでしょうか?
実は高血圧に塩分はほぼ関係ないと言われています。1日30~40gといった具合にあまりに多くの塩分を摂っている人であれば血圧にかなり影響すると思われますが、今の日本人でそんなに大量の塩分を摂っている人は多くありません。塩(塩化ナトリウム)に含まれるナトリウムの成分自体が血圧を上げる主な原因のため、塩分の摂りすぎが高血圧の原因と言われるほどの悪者になっていますが、味噌汁や漬物を食する人も昔に比べて年々減少しており、日本人の食塩摂取量は1日10g程度にすぎません。
4-1. 高血圧にはカリウムが含まれた自然塩がおすすめ
以上のように塩分量についてはそれほど高血圧と関係ありませんが、塩の種類は高血圧と関係があり非常に大事です。塩の主な成分であるナトリウム含有量が多く、純度が高いものほど血圧を上げてしまいます。
逆にナトリウムを排出する「カリウム」が含まれた塩を摂るのがおすすめです。カリウムは余分なナトリウムを排出してくれるとても重要なミネラルです。カリウムが多く含まれている未精製の自然な海塩を摂るのが血圧を上げないためにもベストです。
ちなみに、精製塩は塩化ナトリウムの純度が99.9%と高くミネラル分がありません。市販の多くの塩は精製塩であり、普通に家庭で使用する塩だとカリウムはほぼゼロです。また岩塩もカリウムがほとんど入っておらず、精製塩と同じく血圧を上げてしまいます。
普段から血圧の高い人は、カリウム豊富な自然塩を摂るように心掛けましょう。
塩以外にもカリウム含んだ食材はたくさんあります。たとえばサワラやカツオ、ブリ、メカジキといった魚や、ひじきや昆布といった海藻類などの腸活でもおなじみの食材はカリウムを摂るのに最適です。また肉類では脂肪が少ない赤身(豚ヒレ、輸入牛もも、皮なし鶏胸等)などにもカリウムは多く含まれており、血圧を下げてかつ血管と筋肉を強くしてくれます。
ほかにも納豆(大豆)やほうれん草、里芋、サツマイモ、ジャガイモ、かぼちゃ、枝豆などの野菜にもカリウムはかなり含まれていますし、果物ではバナナやキウイ、メロンなどにもカリウムは多く含まれます。ただし、食材によっては糖質が多いものもあるため注意が必要です。
酢も血圧を下げるのに適した食材のひとつです。酢の主成分は酢酸ですが、この酢酸が血圧上昇に関与するホルモンを緩やかに抑制してくれると言われています。1日大さじ1杯程度の摂取を心掛けるようにしましょう。
血圧を上げないための飲み物として、利尿作用のある緑茶や紅茶、コーヒーなどがあります。これらの飲み物はナトリウムを尿と一緒に排泄してくれるため血圧を下げてくれます。
ただし注意点としては、それほど多くの量を摂らないこと。1日1杯程度にとどめておきましょう。たとえば、緑茶は利尿作用が高く、テアニンという物質が含まれており、脳に作用してリラックス効果をもたらします。その結果として血圧を緩やかに下げてくれるという働きがあります。
それほど激しくなくても適度な運動をすることは高血圧の予防には最適です。簡単にできる運動のひとつとして「腹式呼吸」があります。1日2回、朝と夜と30回ずつ腹式呼吸をすることでリラックスでき、副交感神経が優位となって気持ちを落ち着かせて、血圧を下げる効果があると言われています。ほかにもその場のダッシュやバーピージャンプ、ストレッチなどをおこなうだけで血管は柔らかくなります。
また毎日1日2回、朝と晩同じ時間に血圧を測り、血圧の変化を観察・記録していくことも高血圧予防には大事です。これにより体の変化や血圧の変化が分かるようになります。
ちなみに測定の際には、朝だと尿が溜まった状態では血圧が上がりやすいため、排尿して負担をなくしてから測ることで本当の血圧を測定できます。一方夜の場合、お風呂に入ってしまうと血管が拡張してしまうため血圧が安定しません。よってお風呂の前に測ったり、少しゆっくり時間を過ごして寝る前に測定するのがおすすめです。
以上、高血圧の原因や血圧を下げる降圧剤、高血圧を予防する食事や運動などについて紹介してきました。
高血圧は加齢とともに起きやすくなりますし、そのまま放置すれば心臓病や脳卒中、動脈硬化につながるため、日々の生活で予防していくことが重要です。
食生活においては塩分の摂りすぎが高血圧の原因では?とも言われているものの、実際はあくまで塩分量ではなくナトリウムの摂取量が重要です。精製塩ではなく未精製の食塩の摂取であればナトリウムを排出してくれるカリウムが多く含まれているので選ぶ塩の種類にも注意しましょう。
それ以外にも、適度な運動を実践すること、朝晩血圧を測定することなどが高血圧を予防するのには大事です。明日からでもできることは多いので、ぜひ実践するよう心掛けましょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。