皆さん、現在の腸活トレンドをご存知でしょうか?
それは
「ポストバイオティクス」です。
「ポストバイオティクス」については、
以前の知識シリーズで詳しく解説していますのでご覧ください。
しかしながら、「ポストバイオティクス」だけしていれば良いということではないです。
普段の生活から
「シンバイオティクス」も取り入れていかなければいけません。
やはり普段の食事も気をつけないと、不摂生な生活をしていれば腸内環境は悪くなります。
ただ、巷には色々な腸活の情報が溢れており、正直言って腸活って何をして良いのか分かりません。
そこで今回は、腸活実践編として、
腸活は最低限これだけやればOK!なことを解説していきたいと思います。
腸活迷子になっている方、以下の3つだけ実践してみましょう!
- 1日3食しっかり摂りましょう。
- シンバイオティクス(善玉菌を摂る+育てる)しましょう。
- ポストバイオティクスしましょう。
それでは1つずつ解説していきます。
以前も解説しましたが、福岡院での腸内フローラ検査で判定A,Bと良好な腸内環境の方は、全員1日3食しっかりと食べてました。
ですので、食事は1日3食しっかり食べましょう。
この時、ケトフレックス12/3(トゥエルブスリー)を実践すると尚goodです。
ケトフレックス12/3とは、夕食から朝食までの時間を12時間空ける、夕食から寝るまで3時間あける、という、認知症予防に有効な食事療法です。
これをすればオートファジーが働きますし、認知症の予防にもなるのでお勧めです。
02. シンバイオティクス(善玉菌を摂る+育てる)しましょう!
シンバイオティクスで皆さんが期待する作用は、整腸作用だと思います。
乳酸菌やビフィズス菌を摂って、そして育てて、下痢や便秘を改善させたい、という考えではないでしょうか。
シンバイオティクスの効果はもちろん期待できます。きちんとシンバイオティクスをすることで下痢や便秘が改善したという経験をされた方も多いのではないでしょうか。
ただし、シンバイオティクスは続けなければ意味がありませんので、毎日毎日摂取し続ける必要があります。
また、ヨーグルトなどの発酵食品は菌数が少なく、生きて腸に届くのはわずかなため、効率が悪いことは頭に入れておきましょう。
また、複数の菌をセットで摂取した方が効果が高いという報告があります(1)ので、シンバイオティクスの基本としては、乳酸菌とビフィズス菌、乳酸菌と糖化菌といった感じで同時に摂ることをお勧めします。
(1)Yaeshima T.et al:Biosci Microflora,16:73-77,1997
次に、菌を育てるためには食物繊維が必要です。
ただし、食物繊維の中にも、善玉菌の餌になる食物繊維と、餌にならずに便の材料になるだけのものがあります。
腸の中で食物繊維を分解し、善玉菌の餌にしてくれる便利な菌がいるのですが・・・それが糖化菌です。
糖化菌を含む食べ物の代表と言えば、納豆です。
納豆には納豆菌が含まれており、これが糖化菌です。糖化菌である納豆菌は芽胞を持ってますので、その多くが生きたまま腸に届きます。
糖化菌は酸素下で生息するので、小腸に住みつき、ここで食物繊維を分解して善玉菌の餌にしてくれるんですね。
また、納豆には乳酸菌も含まれていますので、糖化菌+乳酸菌が同時に摂れるという優れものです。
以上のことを踏まえて、お勧めのシンバイオティクスの食材を発表します!
食物繊維とビタミンC以外の栄養素を全て含むと言われている優秀な食材です。食物繊維、ビタミンCは他の食材で補えば問題ありません。
また、卵の中に含まれている栄養素の中でもビタミンDは、腸内細菌の多様性を上げる作用があると言われています(2)。
さらに、ビタミンDは大腸がん、大腸ポリープの予防になるという報告もあります(3)ので腸内環境を良くするのにお勧めです。
(2)Wang J,et al:Nat Genet,48:1396-1406,2016
(3)Hanseul Kim,et al:Gstroenterology,Vol.161,Issue4,p1208-1217,2021
タンパク質、食物繊維豊富で、さらに野菜の中で
ビタミンC含有量はトップクラスです。最近
「指定野菜」にも認定されたという優秀な野菜です。
ブロッコリー100gあたりの栄養素ですが、
タンパク質3.5g
食物繊維3.5g(水溶性0.8g、不溶性2.7g)
ビタミンC 150mg
が含まれています。
さらに、抗酸化作用のある
スルフォラファングルコシノレートを含んでいます。
これは、ミロシナーゼにより分解され、スルフォラファンになると言われています。
スルフォラファンには、
ピロリ菌の殺菌作用があることが報告されており、
(Fahey JW., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 2002, Vol.99, pp7610-7615.)
さらに最近では
大腸がん発症予防効果があるという報告もあります。
(JJCAM4(1),9-15,2007)
ブロッコリーは1日70~80gが推奨されており1房が約20gなので、
1日に3~4房食べれば十分です。
食べ方としては、
蒸し焼きがベストです。焼いたり煮たりすると、ビタミンCがなくなってしまいます。ミロシナーゼの活性もなくなるので要注意です。
前述の通り、善玉菌の餌となるのが食物繊維ですが、この食物繊維を分解して善玉菌の餌としてくれるのが納豆菌(糖化菌)です。さらに納豆には乳酸菌も含まれています。
そして納豆には1パックあたり3.3g(水溶性1.1g、不溶性2.2g)の食物繊維も含みます。
さらに、タンパク質も1パックあたり6.6gも含みますので素晴らしいです。
1日1パックで十分かなと思います。
これらの食材を毎日摂ることで、腸内環境が良くなってきます。
ブロッコリーじゃなくても、一般的には野菜であれば良いと思います。実際、腸内フローラ検査では良好な腸内環境の方はほとんど毎日野菜を食べてました。
まずはポストバイオティクスをおさらいしましょう。
「健康に有効な作用をもたらす不活化した菌体、または、その菌体の構成成分やその代謝物を積極的に摂りましょう。」
というのが定義でした。
つまり、死んだ菌(死菌)でも十分に効果があることが実証されています。
これは、乳酸菌でもビフィズス菌でも酪酸菌でもどの菌でも死菌で効果があると言われています。
ここでいう効果とは、整腸効果、免疫力増強効果、その他あらゆる病気を予防する効果です。
死菌でも効果があるのであれば、腸内細菌の菌数が腸内に100兆個以上いることを考えると、たくさんの数を摂った方が効果的です。
光岡知足先生は1日1兆個は乳酸菌を摂りましょう、と提唱していました。
これを満たすポストバイオティクスは、巷にある発酵食品では厳しいです。
やはりここは整腸剤などのサプリメントが有効だと思います。
実際、我々の腸内フローラ検査では、腸内環境が良好な結果であったA,Bの方のほとんど日整腸剤を含むサプリメントを毎日摂ってます。
ただ、どのサプリメントを摂って良いのか悩みどころですよね。
ここでサプリメントを選ぶポイントを伝授したいと思います。
→1日1兆個ほど取れば、腸内環境に良い影響を与えてくれます。
ただし、注意して欲しいのは、サプリメントのパッケージに1ヶ月分の菌数がデカデカと書いてたりしますのでよく見て選びましょう!
ちなみに死菌で全然構いません。逆に言うと死菌じゃないとこれだけの菌数は摂れません。
→乳酸菌とビフィズス菌、乳酸菌と酪酸菌など、複数の菌が入っているのがお勧めです!
もちろん、どの菌も死菌で大丈夫です。
→乳酸菌産生物質は、腸まで届いて腸から吸収されますので非常に効率的です。これが入っているとより良いと思われます。
いかがでしょうか。
腸活迷子で困っている方、これらのことをぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。