大腸カメラを受けるメリットとは?これを知れば大腸カメラを受けたくなる!
大腸カメラ検査にはどんなイメージがありますか?大がかりでつらそうな検査、というイメージを持っている方もいるかもしれません。
ここでは、大腸カメラを受けるメリットや、大腸カメラ検査を受けたくなる事実について解説します。今まで大腸カメラ検査を受けたことがない方や、しばらく検査を受けていない方は、ぜひ参考にしてください。
国立がん研究センター(2018年)によると、大腸がんと診断される人の数は、全国で1日に433人です。また、大腸がんで死亡する人の数は、全国で1日139人です。
一生涯に大腸がんと診断される男女の割合は、男性が11人に1人、女性が13人に1人です。この数字を見て「大腸がんになる人の数は、意外と多いかも」と思われた方は、大腸カメラを受けるメリットにも興味を持ってくれたのではないでしょうか。
日本人が生涯にかかるがんのうち大腸がんは、常に上位にあります。それだけ、多くの方が大腸がんと診断され、大腸がんで命を落としているということなのです。
では、世界的に見た場合はどうなのでしょうか。
2. 日本はアメリカに比べると大腸がん死亡率が高い
厚生労働省(2017年)人口動態統計によると、日本の大腸がんによる死亡者数5万681人に対してアメリカは5万260人でした。
日本とアメリカの数だけ比べると、おかしな点に気がつきます。アメリカは日本の約3倍の人口ですので、単純に考えると日本の大腸がんの死亡者数よりも、アメリカは3倍死亡者数が多くないといけないのでは?と思いませんか。それなのに、大腸がんの死亡者数は、むしろ日本のほうが多いのです。
これは、どうしてでしょうか。医療技術の差?それとも他に理由があるのでしょうか?
2-1. アメリカの大腸がん死亡率が低いのは検診率が高いから
アメリカの大腸がんの死亡者数が日本より少ないのは、大腸カメラの受診率が高いからです。アメリカでは、約67%(2018年米疾病管理センターのデータ)が大腸カメラを含む大腸がん検診を受けている一方で、日本は約40%(2019年の国民生活基礎調査)しか大腸カメラ検査を受けていません。
アメリカと日本の大腸カメラ検査の受診率の差は、大腸がんの死亡者数に関係しているといえます。
アメリカのがん協会によれば、大腸がん検診で発見した大腸ポリープを切除することで、大腸がんが減ってきたと指摘されています。アメリカは、大腸カメラ検査の受診率を上げ大腸ポリープを早期に切除することで、大腸がんを未然に防ぎ死亡者数を減らしたということなのです。
2-2. アメリカもかつては大腸カメラ検査率が低かった
大腸がんになりやすい代表的な食べ物として上げられるのが、酒や牛肉などです。
食べ物だけで見ると、酒も牛肉も、日本人よりもアメリカ人のほうがよく食しているイメージがあります。それにもかかわらず、アメリカのほうが大腸がん死亡率が低いのです。
実は、2005年時点でアメリカの大腸がん検診率は47%でした。アメリカでは検診率を上げる法律を掲げ大腸がんの死亡率もそれに伴って減少していったのです。
医療技術に関しても、日本の医療技術は世界最高峰のレベルといわれていますので、アメリカと遜色はないはずです。
日本でも大腸がんの検査率を上げられれば、アメリカのように大腸がんの死亡者数が減少すると期待できます。
大腸がんは、大腸ポリープが年月をかけて大きくなりがん化することがほとんどです。つまり、大腸ポリープの段階で切除できれば、大腸がんを予防できます。
この事実を知っても「でも特に症状はないし、別に大腸カメラまで受けなくてもいいのでは?」と思っている方もいるかもしれません。
大腸ポリープが、大腸に発生しても無症状です。たとえば、ある日血便が出て慌てて検査を受けたら「進行大腸がんが見つかった」ということも。この段階では、手遅れになっているかもしれないのです。
症状の有無にかかわらず、健康のために一度大腸カメラを受けるようにしましょう。
症状がなくても、大腸カメラ検査を受ける目的は以下の2つです。
・大腸がんの早期発見
・大腸ポリープの発見
無症状でも、以下の条件に当てはまる場合は、迷わず大腸カメラを受けましょう。
・便潜血検査の結果が陽性だった
・大腸がん手術の経験がある
・内視鏡で大腸ポリープを切除した経験がある
・大腸腺腫性ポリープの切除経験がある
・50歳以上である
・家系に大腸がんになった人がいる
・高カロリーの食事が好き
・肥満傾向である
・毎日飲酒する習慣がある
・喫煙する
上記は、比較的大腸がんリスクが高くなる要因です。無症状でも大腸ポリープができているかもしれませんので、大腸カメラ検査を受けましょう。
医学には、大きく分けて治療医学と予防医学の2つがあります。この違いを知っていると、より病気になりにくい体作りができ、また病気を予防しながら健康的に歳を重ねられます。
医療業界では有名な例えですが、
「川で溺れている人を助ける」行為を治療医学とするならば、「川で溺れる人を減らすために川に橋をかける」行為は予防医学です。
大腸カメラ検査を定期的に受けることは、大腸がんの予防になるため予防医学に当てはまります。
予防医学を専門にしている医師にとって、予防医学の大切さを伝えることは使命です。それと同時に、「この世から胃がん、大腸がんをゼロにする」という願いもあります。
大腸カメラ検査では、体の左側を下にした状態でベッドに横たわります。足を曲げ膝を抱える姿勢で行うのが一般的です。
太さ約12mmの大腸カメラを肛門から挿入するため、肛門に局所麻酔や潤滑用のゼリーを使うことで痛みを軽減するなど工夫する医療機関が多いです。カメラは、肛門から入り大腸の一番奥にある盲腸まで進めていきます。大腸の長さや状態は人それぞれ異なり、腸の形やねじれている場合は、カメラが通過するときに苦痛を伴うこともあります。
大腸カメラが一番奥の盲腸まで到達すると、腸管内に炭酸ガスを入れ腸管を張った状態にするため、腹部が圧迫されることで痛みになることがあります。カメラを挿入したとき、炭酸ガスを入れたときなどに苦痛を感じる方もいます。
大腸内視鏡検査を受ける前には、下剤を使用して大腸をきれいにする必要があります。この前処置が辛いといわれる方も多くいます。前処置を避けることはできないため、せめてその後の大腸カメラ検査でも苦痛を避けたいですよね。
ラクに大腸カメラ検査を受けるには、医療機関の選び方がポイントです。
6. 大腸カメラ検査が苦痛なくラクに受けられる医療機関とは
大腸カメラ検査を苦痛なく、できる限りラクに行うためには、病院の規模や設備だけではなく、以下のポイントも確認しましょう。
・鎮静剤を使用できる
・検査数や治療数の実績が多い
・検査前の下剤の種類が選べる
・内視鏡専門医の資格を持った医師がいる
病院を選ぶ際の参考にしてください。
6-1. 内視鏡専門医の資格を持った医師の大腸カメラ検査とは?
大腸カメラ検査では、大腸の一番奥にある盲腸まで大腸カメラを挿入する必要があります。大腸の長さやねじれの有無なども考慮できるのは、内視鏡専門医の資格を持った医師だからこそのスキルです。
大腸カメラ検査の苦痛も理解し、鎮静剤を使用するケースも多くみられます。鎮静剤は、年齢・性別・体格・飲酒頻度・睡眠剤の服用の有無などに合わせ、種類や量の調整を行います。
また、鎮静剤は、大腸カメラ検査を受ける方の苦痛を避けるためだけに使用するのではなく、検査をスムーズに行う目的もあります。腸管のねじれによっては、寝ている向きを変える指示を出しますが、鎮静剤によって痛みが軽減されていれば、体勢を変えることなく検査ができ短時間で終了できます。また、大腸ポリープが発見されたときも、痛みを抑えて切除が可能です。
経験豊富な内視鏡専門医は、鎮静剤を使用するときのメリットもデメリットもしっかりと把握し小さな病変を発見できます。
大腸がんは、早期に大腸ポリープを発見し切除してしまえば完治する病気です。
大腸がんのリスクを下げるには、定期的に大腸カメラ検査を受けましょう。自分の健康のために、症状がないときこそ、大腸カメラを受けるのがベストです。「症状も特にないし、別に大腸カメラまで受けなくてもいいのでは?」と思っている方も、予防医学の大切さを理解してくれることを願っています。
また、ラクに大腸カメラ検査を受けるには、医療機関の選び方がポイントであることも覚えておくとよいでしょう。それに加え、大腸カメラ検査を受けるときには、信頼できる内視鏡専門医に頼ってください。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。