内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

ウイルス性肝炎とは?ABCDE肝炎それぞれの特徴とは?

肝臓がんの原因となる肝炎には、ウイルスによって引き起こされるものがあります。ウイルス性肝炎は、A型・B型・C型・D型・E型の5種類があり、それぞれ感染経路や症状が異なります。

ウイルス性肝炎は日本人に非常に多く、脂肪肝の次に多いといわれている病気です。ウイルス性肝炎を発症しても無症状の場合もありますが、その一方で重症化し命に関わるケースもあります。この記事では、5つのウイルス性肝炎の感染経路・症状・豆知識を解説します。

1. ウイルス性肝炎とは

肝臓
ウイルス性肝炎とは、肝臓がウイルスに感染し炎症を起こす疾患の総称です。極端な話をすると、風邪を引き起こすウイルスや新型コロナウイルスでも肝炎を起こす可能性があります。

肝炎の原因となるウイルスの種類によって、A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎・D型肝炎・E型肝炎と呼ばれ、それぞれ特徴が異なります。

一般的に耳にするのは、B型肝炎・C型肝炎ではないでしょうか。それは、B型肝炎・C型肝炎が肝硬変にまで進行し、最後には肝臓がんを発症してしまうからです。

2. ABCDEそれぞれの肝炎の特徴

肝炎の種類
主なウイルス性肝炎には、ABCDEの5種類がありそれぞれの感染経路や症状が異なります。5種類それぞれの特徴を知っておくことで、自身の体を守ることや家族を守るきっかけになる可能性もあります。

ここでは、それぞれのウイルス性肝炎の感染経路・症状・ワクチンの有無・治療薬の有無・豆知識について解説します。

2-1. A型肝炎

A型肝炎は小児と若い成人に多くみられます。また、A型肝炎は慢性化はせず、感染が6カ月を超えることはほとんどありません。ただし、重症化して劇症肝炎となり、死亡してしまうことも稀ながらあります。

・感染経路
A型肝炎の感染経路は経口摂取と性交渉です。とくに衛生管理が行き届いていない発展途上国の水や、生牡蠣からの感染が一般的ですが、衛生管理が悪い下水などが混ざった水域で獲れた貝類や甲殻類なども発生要因となります。

また、感染した人が不衛生な環境下で調理した場合なども注意が必要です。近年は、性交渉でも感染することがわかってきました。

・症状
体の倦怠感(だるい・きつい)などの急性肝炎にみられる症状が現れますが、無症状の場合もあります。ほぼ自然治癒しますが、稀に劇症化し命を落としてしまうケースもあります。

・ワクチンと治療薬について
A型肝炎にはワクチンがあります。任意ではありますが、2013年3月から1歳以上であれば不活化ワクチンを受けられるようになりました。日本人のほとんどが、A型肝炎ウイルスに対する抗体を持っていないため、A型肝炎がまん延している地域へ渡航する場合は、予防接種を受けましょう。

一方、治療薬はありません。症状が重い場合や急性期は入院し、安静に自然治癒を待ちます。また、肝臓に負担を与えないように過度な栄養を摂らず、バランスの良い食事を心がけます。

・豆知識
A型肝炎は一度感染すると終生免疫ができるため、二度と感染しません。

A型肝炎ウイルスは、世界中に分布しておりとくに発展途上国でまん延しています。発展途上国へ行く機会がある場合は、予防接種することをおすすめします。

2-2. B型肝炎

肝炎の母子感染
B型肝炎には急性と慢性があります。感染したのちに慢性化すると悪化する傾向があり、数十年かけて肝硬変に至ると、肝臓がんになるリスクも高くなります。

・感染経路
B型肝炎は、母子感染することでも知られています。母子感染は垂直感染ともいわれ、出産のときに産道を赤ちゃんが通ることで、血液を介し赤ちゃんに感染します。

垂直感染(母子感染)以外には、血液や体液を介することで感染します。
体液には、唾液・涙・母乳・尿・腟分泌液・精液などが含まれるため、性交渉も感染リスクがあります。また、B型肝炎ウイルスを持った人が使用した歯ブラシやカミソリの共有も感染経路の一つです。

何らかの原因でB型肝炎ウイルスが体内に侵入した場合のB型肝炎発症率は、約30%です。感染力が強いため家族間の感染には注意する必要があります。

・症状
体の倦怠感(だるい・きつい)などの急性肝炎にみられる症状が多く、場合によって無症状のケースがあります。成人になってからB型肝炎に感染した場合は約90%が完治しますが、残りの約10%は慢性肝炎、肝硬変へ移行します。稀に重症化し、劇症肝炎を発症することがあります。

・ワクチンと治療薬について
ワクチンはあり、医療従事者や歯科医院勤務者などは必須接種となっています。2016年10月からは、B型肝炎ワクチンの定期接種が始まったため、現在母子感染はほぼみられません。

ただし、妊婦検診などでB型肝炎ウイルスの感染が確認された場合、定期接種ではなくかかりつけ医から接種スケジュールの指示があります。

治療薬は、内服薬の核酸アナログ製剤と注射薬のインターフェロンの2つです。急性の場合は、ほとんど自然治癒してしまうため治療薬は必要ありません。ただし、慢性肝炎を引き起こした場合は、核酸アナログ製剤で治療します。重症化した場合は入院の上、ステロイドホルモン治療を行なったり、肝移植を行うこともあります。

・豆知識
B型肝炎を危惧する理由は、無症状でも肝臓がんになることがあるからです。一般的に肝臓がんは、慢性肝炎から肝硬変を経て発症しますが、ウイルス性B型肝炎に感染すると肝硬変の経過を辿らなくても肝臓がんを発症するリスクがあります。
しかも、B型肝炎が完治しても肝臓がんの発症リスクはなくならないのです。

つまり、一度でもB型肝炎にかかった場合はたとえ完治していても、定期的に腹部エコーやCTなどの画像検査を行う必要があります。

2-3. C型肝炎

注射器
麻薬など違法薬物の注射をする際に滅菌されていない注射針を共有することが、もっとも多い感染経路だといわれています。かつては、輸血や臓器移植による感染の可能性もありましたが、現在はほとんどありません。

注射の使いまわし以外の感染経路は、血液や体液を介した感染です。そのため、性交渉での感染や母子感染もありますが、B型肝炎よりも発症率は低いとされています。C型肝炎に汚染された血液や体液によるC型肝炎の発症率は約3%です。

・症状
自覚症状は、ほぼありません。自覚症状がないがゆえに、知らない間に感染し知らない間に慢性肝炎や肝硬変へ進展してしまうことがあります。
C型肝炎に感染した人の50~60%は、いつどこで感染したか不明なケースです。

・ワクチンと治療薬について
ワクチンはありません。
治療薬はB型肝炎と同様、インターフェロンの注射による治療と、抗ウイルス薬の内服治療があります。
以前はインターフェロンが治療の中心となっていましたが、現在は、飲み薬のみでほとんどのC型肝炎が完治するようになりました。また、他の疾患で服用している薬の飲み合わせにも注意が必要なため、服用歴は医師にしっかり伝えましょう。

・豆知識
肝臓がんの約60~70%がC型肝炎ウイルスに起因しています。医療従事者の多くは、ワクチンのあるB型肝炎よりもワクチンのないC型肝炎の感染を危惧しています。
患者の血液や体液に触れる機会の多い医療従事者は、定期的に血液検査を行い感染の有無を確認しているのです。

2-4. D型肝炎

D型肝炎は、体内にB型肝炎ウイルスがいなければ感染しません。つまり、D型肝炎に感染しているということは、既にB型肝炎に感染しているか、BとD同時に感染しているということになります。
日本では非常にまれな疾患です。

・感染経路
感染経路は、B型肝炎とほぼ同じです。D型肝炎ウイルスを含んだ血液や体液を介し感染しますが、母子感染はほぼありません。

・症状
B型肝炎とD型肝炎を同時感染した場合は、軽度から中等度の体の倦怠感があるます。ほとんどの場合、自然治癒し慢性化することはまれです。

・ワクチンと治療薬について
ワクチンも治療薬もありません。ただ、D型肝炎はB型肝炎に感染していることが条件になるため、B型肝炎の予防接種によって予防することはできます。

・豆知識
日本においては、D型肝炎はまれです。

B型肝炎ワクチンの接種が行えるようになったため、世界のD型肝炎ウイルスの感染者は減少傾向にあります。

2-5. E型肝炎

E型肝炎が慢性化することはないとされていますが、エイズ感染やがん治療を行うなど免疫機能が低下している状態では、慢性化する恐れがあります。

・感染経路
A型肝炎と同じく、経口摂取によって水や食べ物を介して感染します。糞便で汚染された飲み水を介する場合や猪や鹿のジビエ系の肉の経口摂取によって、体内にウイルスが侵入します。

ジビエ肉の調理法については、厚生労働省がガイドラインが設けられており、十分加熱するように呼びかけています。

・症状
体の倦怠感(だるい・きつい)などの急性肝炎にみられる症状が現れることがあります。ほとんどの場合は自然治癒しますが、まれに劇症化し命の危険を伴います。とくに妊婦が、E型肝炎に感染した場合は重症化しやすいです。妊娠第2期・第3期に感染すると、急性肝不全・流産・死亡のリスクがあります。

・ワクチンと治療薬について
ワクチンおよび治療薬は、ありません。劇症化した場合は、入院し経過観察するのが一般的です。

・豆知識
ジビエ肉以外にも、鶏レバーなどにもE型肝炎ウイルスが潜んでいることがあります。肉を70度で10分、または95度で1分加熱することで、ウイルスは死滅します。E型肝炎やそれ以外のリスクを軽減するためにも、肉を生や不十分な加熱で食べることは避けましょう。

3. まとめ

肝炎に悩む男性
ウイルス性肝炎は日本人に非常に多く、脂肪肝の次に多いといわれてる病気です。ウイルス性肝炎には、それぞれの感染経路と特徴があります。ウイルス性肝炎に感染しないためにも、感染経路や特徴を知り、不安なことがあれば医師に相談、または必要に応じてワクチン接種を検討しましょう。

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この記事を書いた人

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。