免疫力をつけるにはビタミンDが重要!花粉症改善の秘訣とは?
ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあることで知られていますが、近年は免疫力を高める栄養素として注目を浴びています。特に花粉症のようなアレルギーに対しては有効だとされていて、花粉症の人がビタミンDを摂取するようになったところ、「花粉症が和らいだ」「薬がいらなくなった」という症例もあるようです。
今回は、免疫力を高めるビタミンDの効果について、また花粉症を改善する秘訣についても詳しく解説していきます。
免疫とは、体が外部から侵入してくる病原体(ウイルスや細菌など)や異物に対して防御する仕組みのことです。免疫システムは、これらの病原体や異物を認識して排除する働きを持っています。
免疫は大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫(適用免疫)」の2種類に分けられます。
自然免疫とは、体が生まれつき持っている基本的な防御機能のことを指します。この自然免疫の持つ機能によって、異物が体内に入ってきた際、すぐに反応して排除しようと試みます。
具体的には、病原体が持つパターンを認識し、マクロファージや好中球、樹状細胞、NK細胞などが病原体を食べて分解してくれます。特定の病原体を標的にするのではなく、広範囲の異物に対して反応するのが特徴です。
獲得免疫とは、身体が特定の病原体に対して一度感染した後、その病原体に特化した防御機能を持つようになる仕組みのことで、別名「適用免疫」とも言います。抗体やT細胞、B細胞などがこの免疫に関与し、同じ病原体が再度体内に入ってきたときに素早く反応、より強力な抗体を作って病原体を排除します。
免疫細胞は、体の免疫システムを支える主要な役割を果たす細胞としてそれぞれが異なる機能を持っています。主な免疫細胞の種類には次のようなものがあります。
マクロファージには、異物や病原体を取り込み、消化して破壊する働きがあります。また、異物をT細胞に提示して獲得免疫を活性化する役割もあります。
好中球は白血球の一種で、体内において最も数が多い免疫細胞です。異物や病原体を取り込み、酵素で分解してしまいます。非常に早く炎症した部分に集合する細胞のひとつです。
樹状細胞は、異物を捕えたのち断片化してT細胞へ提示することにより、獲得免疫を活性化させます。
NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、ウイルス感染細胞やがん細胞を特異的に認識することなく攻撃する力を持っています。自然免疫の一部でありながらも非常に強力な抗ウイルス、抗がん作用を発揮する細胞です。
T細胞(Tリンパ球)とは、胸腺で成熟するリンパ球で「ヘルパーT細胞」と「キラーT細胞」の2つに分けられます。
まずヘルパーT細胞ですが、他の免疫細胞を活性化する役割を持ちます。たとえば、B細胞を刺激して抗体産生を促したり、マクロファージの働きを助けたりします。
もう一方のキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を直接攻撃し破壊する働きがあります。
B細胞(Bリンパ球)は、骨髄で成熟するリンパ球で体液性免疫に関与します。抗体を産生して特定の病原体に結合してそれを無力化するか、他の免疫細胞に攻撃させる働きがあります。
ビタミンDには、自然免疫と獲得免疫の両方に影響を与え、免疫細胞の機能を最適化する働きがあります。各種免疫細胞にはビタミンD受容体が存在しており、ビタミンDが免疫細胞のビタミンD受容体に引っ付くことで免疫力が上がり、糖尿病や自己免疫性疾患、がんなどのさまざまな病気を予防してくれます。なかでも、花粉症などのアレルギー症状を改善する力があることがここ最近の研究で分かってきています。
ビタミンDは、皮膚や粘膜のバリア機能を維持しながら、外部からのアレルゲン侵入を防ぐ役割も果たします。しかし、ビタミンDが不足すると粘膜の防御力が低下し、アレルゲンが体内に侵入しやすくなることがあるため、十分にビタミンDを摂取することで、花粉などのアレルゲンから体を守ることができるようになります。
花粉症は、原因となる植物の種類や発症時期によっていくつかの種類に分類されます。
日本で最も患者数が多いとされる花粉症は「スギ花粉症」です。スギ花粉症は、スギの花粉が原因となり、主に2月から4月にかけて発症します。特に関東や関西地方にはスギの植生が多いことから、この時期になるとスギ花粉が大量に飛散し、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状が現れます。
次に多いのが「ヒノキ花粉症」です。ヒノキはスギと同様、日本の広範囲に植林されており、スギ花粉の飛散が終わった4月から5月にかけてヒノキ花粉が飛散し始めます。ヒノキ花粉症はスギ花粉症と同様の症状が見られますが、スギ花粉症の患者がそのままヒノキ花粉に反応することも多く、症状が長引くことがあります。
夏から秋にかけて発症するのが、「イネ科の植物」や「ブタクサ」が原因となる花粉症です。イネ科の植物による花粉症は5月から7月にかけて、ブタクサ花粉症は8月から10月頃にかけて発症します。スギやヒノキに比べて花粉の飛散距離は短いため、症状は局所的であることが多いですが、発症する人にとってはかなりつらい時期となります。特にブタクサ花粉症は都市部でも見られ、秋のアレルギー症状の主な原因となります。
花粉症の改善のためには、花粉症を発症する3か月前からビタミンD 4000IUを摂取し始めるのが効果的です。これは、ビタミンDの血中濃度が落ちつくのが、ビタミンDを飲み始めて3ヶ月ほどかかるからです。花粉が飛ぶ時期だけビタミンDを飲むのもよいのですが、花粉症を軽減する以外にも免疫力向上や病気、がん予防につながるので、できれば通年でビタミンDを摂取するのが好ましいです。
ただし、ビタミンDの摂取による花粉症の改善効果には個人差があるため、すべての人に花粉症抑制の効果があるわけではない点については注意が必要です。
ビタミンDを摂取する方法としては、「食物から摂取する方法」や「紫外線により皮膚でビタミンDを作る方法」、「サプリメントで摂取する方法」などがあります。ただし、欧米化した食生活を好む日本人は、ビタミンDを多く含む魚をあまり食べず肉食傾向にあるため、食物からだけで十分なビタミンDを摂取するのは極めて難しく、サプリメントから不足したビタミンDを摂取するのが効果的です。
ちなみに、免疫力を高めるためには1日にどれくらいのビタミンDを摂取したらよいのでしょうか?一説には摂取したいビタミンDの量は成人だと1日4000IUと言われており、これを継続して摂取し続けることが大事です。単位数が増えればその分金額も高めとなり、1,000円を超えるようなサプリメントも存在します。
ちなみに金額的にかなり安く1か月分で200~300円といったビタミンDのサプリメントもありますが、1,000円以下のビタミンDサプリメントでは濃度が低いか粗悪なものの可能性が高いので気を付けましょう。
以上、免疫力を高めるビタミンDの効果について、またアレルギーを改善する秘訣について紹介してきました。
花粉症などのアレルギーを持ち、免疫力を上げたいという人は、ビタミンDを摂取することを取り入れてみるのはよいかもしれません。ビタミンDを摂ることで花粉症の症状を軽減する可能性があります。
またビタミンDの摂取以外にも腸の環境をよくするとさらに効果的で、乳酸菌をプラスして取り入れることも試してみるのもおすすめです。ビタミンD単体で摂取するよりは乳酸菌と合わせて摂取することで、腸の環境が良くなり栄養素の吸収もしやすくなります。ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。