内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

大腸カメラは痛い?検査の苦痛を軽減できる医療機関の選び方を解説

皆さんは大腸カメラ検査を定期的に受けていらっしゃるでしょうか?大腸カメラ検査といえば、「痛い」「苦しい」「下剤を飲むのが大変」といったマイナスのイメージを持たれている方も多いと思います。

特に過去に大腸カメラ検査で苦痛を感じた方は、「二度と受けたくない」と思われているかもしれません。

しかし、大腸カメラ検査は、大腸がんの早期発見・早期治療に欠かせない検査です。数多くあるがんの中でも特に大腸がんは、初期の場合、自覚症状がほとんどないため、血便などの自覚症状を感じたときには、かなり進行した状態である場合も少なくありません。

大腸がんの予防や早期治療のためには、定期的に大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。大腸カメラ検査は、皆さんがイメージするとおり、苦痛を伴う検査の一つであるといえますが、検査を受ける医療機関を正しく選べば、苦痛を軽減して負担が少ない状態で検査が受けられます。

検査の苦痛を理由に大腸カメラ検査を躊躇している方は、ぜひ正しい医療機関の選び方を知って、定期的に検査を受けましょう。

この記事では、大腸カメラ検査に伴う体や精神的な苦痛を軽減できる医療機関の選び方を5つご紹介します。

1. 大腸カメラ検査の目的

内視鏡
健康診断で受ける大腸カメラ検査の目的は、大腸がんの早期発見・早期治療です。食の欧米化にともなって、大腸がんで亡くなる方は増加傾向にあります。しかし、大腸がんは自覚症状がないため、早期発見が難しく、定期的な検査が大切です。

大腸カメラ検査は、健康診断以外にも、便通異常や腸に起こった症状の原因を調べるための診断を目的としたものや、大腸ポリープを切除するための治療を目的として行われます。

2. 大腸カメラ検査が痛いといわれる理由

お尻をおさえる女性
大腸カメラ検査が痛いといわれるのには、理由があります。せっかく大腸カメラ検査を行うならば、精度が高く、体や精神的な負担をできるだけ軽減して受けたいと思うのではないでしょうか。

大腸カメラ検査が痛いといわれる理由を知れば、その痛みに対処できる医療機関を選べるでしょう。

2-1. 内視鏡の通過による痛み

大腸カメラ検査で起こる痛みは、肛門からカメラを挿入する際や大腸のS字結腸と横行結腸で生じるケースが多いです。S字結腸と横行結腸は、ぐにゃぐにゃと曲がり、位置も固定されていないため、内視鏡が通過するときに必要以上の圧がかかります。それが痛みの原因です。

2-2. ガスによる痛み

大腸カメラ検査を行う際、腸内の病変を見逃さないために、内視鏡からガスを噴出させ腸内を広げた状態で検査を行います。腸内を膨らませることで、腸のヒダの裏まで病変が隠れていないかを探せるのです。

しかし、このガスによって腸管が膨らむと、お腹の張ったような痛みが生じます。

2-3. 癒着(ゆちゃく)による痛み

憩室炎(けいしつえん)や虫垂炎(ちゅうすいえん)などのお腹の手術の罹患歴がある方は、腸の癒着が生じているケースがあります。腸が癒着している場合は、内視鏡が通過するときに痛みが生じます。

3. 大腸カメラ検査の負担を軽減できる医療機関の選び方

医師と看護師
大腸カメラ検査を受けようと思ったときに大切なのは、いかに体や精神的な負担を軽減しながら、精度の高い検査を受けられるかです。

そのためには、大腸カメラ検査を受ける医療機関選びが重要なポイントとなります。以下の5つのポイントを参考に、医療機関を選びましょう。

3-1. 鎮静剤が使用できる

大腸カメラ検査の精神的な苦痛を和らげるために、医療機関によっては鎮静剤を使用します。年齢や性別、体格、飲酒の有無、睡眠薬の服用の有無などによって、鎮静剤の種類や量の調整を行います。

同じ鎮静剤であっても効き方には個人差があるため、鎮静剤の種類や量の調整ができる内視鏡医がいる医療機関で検査を受けるのがおすすめです。

また鎮静剤使用のメリットは、検査を受ける側だけではなく、検査を行う側にもあります。検査を受ける側の苦痛がないということは、より短時間で腸内の観察ができ、ポリープの切除も安全に行えます。

しかし、鎮静剤は薬剤の一種なのでまれではありますが、呼吸抑制や血圧低下、アレルギーなどの副作用が起こるリスクがあります。

鎮静剤を使用する際は、これらのリスクをしっかりと把握した上で鎮静剤の種類や量を調整できる経験豊富な内視鏡医がいる医療機関で検査を受けましょう。

3-2. 大腸カメラ検査数や治療数などの実績が多い

大腸カメラ検査や治療数の実績が多い医療機関で、大腸カメラ検査を受けましょう。大腸カメラ検査に必要な技術とは、苦痛を軽減しながら大腸の奥までしっかり内視鏡を挿入し、小さな病変も見落とさないことです。

また治療に関しては、大腸ポリープを確実に切除することといえるでしょう。

大腸カメラ検査は、例えるとスポーツによく似ており、診断や治療をより多く経験しているほど、その技術が上達するといっても過言ではありません。ただ単に、大腸カメラ検査を行っているというだけではなく、より豊富な実績がある医療機関で受けるようにしましょう。

インターネットが普及している今、ホームページなどで過去の治療実績や検査数を公表している医療機関も多くあるので、それらを参考に選びましょう。

3-3. 検査前の下剤の種類を選べる

大腸カメラ検査は、検査自体に苦痛を感じる方も多いですが、実は検査前の下剤の服用に苦痛を感じる方も多くいます。大腸は便が常に溜まっている臓器であるため、検査前にすべて便を出さなければ、病変の見落としのリスクが高まります。

そのため、検査前に約2リットルの下剤を約2時間かけて服用し、腸管内を空にする必要があるのです。下剤にはさまざまな種類があり、人によっては合う合わないが生じるため、相性のいいものを服用することが大切です。

相性がよい下剤を知っておくと苦痛を軽減できるため、その後に行う大腸カメラ検査への抵抗感を減らせます。だからこそ、下剤を選択できる医療機関で検査を受けることが大切です。

3-4. 内視鏡専門医がいる

内科医でももちろん大腸カメラ検査を行えますが、できれば内視鏡専門医がいる医療機関で検査を行いましょう。

内視鏡専門医とは、学会が認めたある一定水準の技術を取得した医師です。この資格を取得するには、学会が定めた資格取得可能な医療機関で一定期間の勤務経験や研修の受講、内視鏡検査での治療数を一定水準満たす必要があります。

これらの要件以外にも、豊富な知識量を要する試験に合格しなければいけません。

内視鏡専門医の資格を持っている医師すべてが、内視鏡のエキスパートとはいいきれませんが、一定水準の技術を有しているのは確かです。また資格を取得して終わりではなく、検査や治療に従事しながら症例をこなし、定期的に資格を更新していく必要があります。

3-5. 第三者から高い評価を受けている

自分が検査を受けてみたいと思っている医療機関で、実際に治療や検査を受けた人の感想を聞くのが一番よい方法ですが、身近にそういった人がいない場合は、インターネットの口コミなどを参考にして、評価が高い医療機関を選ぶとよいでしょう。

4. まとめ

大腸がん検診
大腸カメラ検査は、痛みが伴うというイメージが先行し、なかなか検査を受けられない方も少なくありません。痛みがまったくないわけではありませんが、上手に医療機関を選べば、体や精神的な負担を軽減できます。

大腸カメラ検査は大腸がんの早期発見・早期治療には欠かせません。また、検診だけではなく診断や治療にも重要な役割を担っています。

だからこそ、精度が高くて、負担なく検査が受けられる医療機関を選ぶことが重要です。内視鏡専門医は、車の免許のように取得後、講習を受ければ更新ができるといった仕組みではなく、さまざまな課題に合格する必要があります。

体や精神的な負担を軽減しながら精度の高い検査を受けようと思うなら、内視鏡専門医がいて、鎮静剤の使用や下剤の種類を選択できるような医療機関がおすすめです。

初期の大腸がんは自覚症状がほとんどないため、定期的に大腸カメラ検査を受けるようにしましょう。大腸カメラ検査を定期的に受けることが、大腸がんの予防や早期発見の近道です。定期的に検査を受けるからこそ、信頼のおける医療機関を見つけておくと安心ですね。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。