内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

腸内環境に不安がある人は自宅で簡単にできる「腸内フローラ検査」を受けてみよう

普段から下痢や便秘を繰り返している人、糖尿病やアレルギー疾患を抱えている人、肌荒れに悩んでいるといった人は、腸内環境に問題を抱えている可能性が高いです。腸内環境を悪化させている原因には腸内フローラが関係していると言われています。腸内フローラのバランスが崩れると、腸内の悪玉菌が増えてさまざまな不調を引き起こすとされているため、腸内フローラのバランスを正常な状態に保つことが健康を維持するためには非常に大事です。

自身の腸内フローラがどのような状態なのかをチェックするには「腸内フローラ検査」を受けてみるのが一番です。自宅で簡単に行えるため、腸内環境に不安がある人はぜひ検査を行ってみることをおすすめします。

今回は、腸内フローラ検査とはどのようなものなのか?その検査方法や何がわかるのかについて詳しく説明していきます。

1. 腸内フローラ検査とは?

腸内環境
腸内フローラ検査は、自宅で採便後にポストに投函するだけで腸内環境を可視化することができる検査です。

腸内にはさまざまな細菌が生息しており、腸内細菌の種類は約1,000種類、その数は100兆個以上ともいわれています。なかでも大腸は非常に多くの腸内細菌が住み着いているため、その様子がお花畑(=flora)に見えることから腸内細菌叢のことを「腸内フローラ」と呼んでいます。

腸内細菌は大きく分けると「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3つにわけることができます。善玉菌には悪玉菌の侵入や増殖を抑える働きがあり、悪玉菌は腸内で有害物質を生成するため善玉菌を減少させる働きがあります。日和見菌は善玉菌、悪玉菌のどちらか優勢なほうに付き、それぞれの菌の活動を助長する性質があります。

最近の研究にて腸内フローラはさまざまな疾患との関連性について指摘されており、大腸がんや潰瘍性大腸炎、糖尿病、動脈硬化、認知症、アレルギー疾患、うつ病、リウマチ、自閉症などの病気は、腸内フローラのバランスが崩れることによって引き起こされることがわかっています。悪玉菌が作り出す有害物質は、直接腸から吸収されると腸内環境に悪影響を及ぼすだけでなくさまざまな不調が表れてくるのです。

そのため、大腸内に生息する細菌を調べる腸内フローラ検査を行うことによって自身の腸内フローラの現状を知ることができ、これらの病気の予防につなげていくことが可能となります。

2. 腸内環境が良い人と悪い人の違い

サラダを食べる女性
そもそも腸内環境が良い人と悪い人の違いにはどのようなものがあるのでしょう?

腸内環境が良い人の特徴としては、毎日3食必ず食事を摂っていることが挙げられます。またほぼ毎日野菜を摂っている人も腸内環境は正常です。さらに整腸剤やサプリメントを飲んで腸内環境を整えているなど、健康意識が高い人も腸内環境が良い傾向にあります。

一方で腸内環境が悪い人の特徴としては、朝食を摂らない人が多いことが挙げられます。野菜の摂取は週1~3回とほとんど食べなかったり、過度な飲酒・喫煙を行っている、整腸剤などの摂取も行っていないと腸内環境は悪い状態のままとなります。

3. 腸内フローラ検査でわかること

健康診断
腸内フローラ検査では次のようなことがわかります。

⚫︎腸内フローラ判定(多様性、短鎖脂肪酸、腸管免疫、口腔常在菌)
⚫︎腸内に生息する菌の構成
⚫︎主要な腸内細菌(乳酸菌、ビフィズス菌、エクオール産生菌、酪酸性生菌など)の割合
⚫︎大腸がんのリスク判定(大腸がんになりやすい菌の有無)
⚫︎便秘や下痢のタイプ判定(便秘や下痢にやりやすい菌の割合)
⚫︎太りやすさ(肥満に関連する細菌比率を表示)
⚫︎健康長寿菌判定
⚫︎生活習慣改善ポイント

腸内フローラ検査には総合判定というものがあり、A、B、C、D、Eの5段階に分かれて検査結果が提示されます。Aが最も良い腸内環境で、Eが最もバランスの悪い腸内環境となっています。

3-1. 腸内フローラ検査では乳酸菌は反映されない

腸内フローラ検査では乳酸菌がほとんど反映されません。理由として、乳酸菌はほとんどが小腸に住み着くからです。乳酸菌のサプリメントを摂取しているにもかかわらず腸内フローラ検査をしたら乳酸菌がほとんどいないことがわかり乳酸菌サプリメントをやめようと考える人もいるようですが、乳酸菌は大腸にはほとんど住み着かず、小腸に住み着いて働くため、腸内フローラ検査では乳酸菌がほとんど見つからないのです。

4. 腸内フローラ検査を受けた方がいい人

医師の診察を受ける女性患者
腸内フローラ検査は、受けてみたい人であれば誰でも検査可能です。特に心臓や血管に病気をお持ちの場合、腸内フローラ検査を行うことで再発予防につなげることができます。

4-1. 腸内フローラ検査をおすすめする人

⚫︎便秘や下痢を繰り返している人
⚫︎過敏性腸症候群と診断された人
⚫︎肥満の人
⚫︎ダイエットをしているが効果がなかなか出ない人
⚫︎心臓や血管の病気を持っている人
⚫︎肌のトラブルを抱えている人
⚫︎生活が不規則な人
⚫︎糖尿病の人
⚫︎免疫力を高めたい人
⚫︎アレルギー疾患をお持ちの人
⚫︎日頃から健康意識の高い人

5. 腸内フローラの検査方法について

トイレ
腸内フローラ検査は以下のような流れで行っていきます。検査は自宅で便の採取を行い郵送するだけなのでとても簡単です。

5-1. 受付・検査の説明

まずは医療機関にて腸内フローラ検査の説明を受け、内容を理解したうえで検査キットの購入を行います。

5-2. 便の採取

検査キットを使って少量の便を採取して保存容器に入れます。採便の際は便の場所を変更しながら複数個所に採便棒を刺して採取するようにしましょう。採便できたらしっかりと蓋をします。

5-3. 検査キット郵送

検査キットと問診表を返信用封筒に入れてポストから投函します。採便後はできるだけ早く(1週間以内)郵送するようにしましょう。検査結果が出るまで4~6週間程度かかります。

5-4. 検査結果

検査結果は受付した医療機関に届きます。結果が出たら連絡が来ますので、検査結果を受け取りましょう。その際には、医師から診察結果についての説明や結果に応じた生活改善指導が行われるケースもあります。

検査結果をもとに食生活や生活習慣を見直していくことで、腸内フローラのバランスを整えることができ腸内環境を改善することができます。

6. 腸内フローラ検査費用について

検査費用のイメージ
腸内フローラ検査は、保険適用外となるため自費となります。金額は医療機関によって多少異なりますが、だいたい20,000円前後となるのが一般的です。正確な料金については、検査を行う病院に直接確認するようにしましょう。

7. まとめ

便秘の女性
以上、腸内フローラ検査とはどのようなものか?検査方法ついて紹介してきました。

腸内で悪玉菌が増えると有害物質が発生し、その結果便秘や下痢などお腹の調子が悪くなりやすくなります。さらに腸から有害物質が吸収されると、体のさまざまな場所に不調が現れるようになります。腸内環境が悪くなることで、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの発症リスクは高くなりますし、それ以外にも糖尿病やうつ、アレルギー疾患などをもたらすことがあるため、腸内環境は常に正常に保っておく必要があります。

そのためにも腸内フローラの状態を知っておくことはとても重要です。保険適用外の自費対象となるため、躊躇してしまう人も多いかと思いますが、腸内フローラ検査を受け自身の腸の状態を確認しておくことで、さまざまな病気の予防に役立ちます。ぜひ前向きに腸内フローラ検査を検討してみることをおすすめします。

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