腸活は朝の過ごし方で決まる!朝の腸活ルーティン7か条を紹介
コロナ禍によるステイホームやテレワークなどの影響もあり、自宅で過ごす時間が増えました。そんな中、自宅での「腸活」が全国的にブームになっています。メディアで取り上げられることも多く、芸能人の中にも腸活を実践している方はたくさんいます。
しかし、腸活をはじめたいと思っていても、具体的にどのように腸活をしたらいいのかわからない方もいるでしょう。そこで、今回は「腸活」から考えた理想的な朝の過ごし方について解説します。
腸活は、朝の過ごし方で1日が決まるといっても過言ではありません。朝を制するものは、1日を制するといったイメージでしょうか。
腸活的朝の過ごし方7か条は、以下の通りです。
① 家を出る1時間半~2時間前に起きる
② 起床後すぐにカーテンを開けて朝日を浴びながら深呼吸をする
③ 起き抜けにコップ1杯の水か白湯を飲む
④ 身支度をするときに鏡で顔色、肌の状態をチェックする
⑤ しっかりと朝食を食べる
⑥ 決まった時間にトイレに座る
⑦ 軽やかに家を出る
上記で示した7つのルーティンを1つ1つ詳しく解説していきましょう。
起床時間は、腸活を成功させるポイントです。朝の時間に余裕ができることで、腸内環境を整えやすくなります。
起床後、約1時間で排便タイムが来るといわれています。排便タイムは、便が出やすい時間帯です。いつも出かけるギリギリまで寝ている場合は、排便タイムを逃してしまっています。タイミングを逃すと、丸1日便が出なくなり便秘になる可能性も高くなるため注意が必要です。
何より朝の時間に余裕がないと、気持ちに余裕がないことがストレスとなってしまう場合があります。ストレスを感じると、交感神経を優位にしてしまうことで腸の働きが悪くなるため腸活によくないのです。
②起床後すぐにカーテンを開けて朝日を浴びながら深呼吸をする
起床後すぐにカーテンを開けて朝日を浴びると、体内時計がリセットされ自律神経が整い腸内環境によい影響を与えます。
また、深呼吸は幸せホルモンである「セロトニン」が分泌され、腸の蠕動(ぜんどう)運働が活発になります。
セロトニンは、脳と腸で分泌される神経伝達物質で、喜びや快楽などにかかわる神経伝達物質のドーパミンや、驚きや恐怖などのストレスで放出されるノルアドレナリンをコントロールする役割があります。セロトニンが幸せホルモンと呼ばれるのは、脳内で分泌されると気分が安定し、幸せを感じやすくなるためです。
便秘がひどいときの腸内では、セロトニンが分泌され続けます。本来、脳でもセロトニンは分泌されますが、腸でセロトニンが過剰分泌されるため、脳がセロトニン不足になります。セロトニン不足になった脳では、不安感が強くなったりイライラしやすくなったりしてしまいます。これは、脳と腸がお互いに影響し合う「脳腸相関」が関係しています。
腸活がうまくでき腸内環境が整うことは便秘の改善だけではなく、心の安定にもつながるといってもよいでしょう。
起きてすぐに水または白湯を飲むことで、胃から腸に刺激が伝わり腸の蠕動運動を促します。それ以外にも、肛門を閉めている肛門括約筋が緩み、排便の誘発につながります。
また、水分をとることで尿量が増え、体の余分な水分を外に排出してくれる作用もあります。
時間に余裕があれば、水よりも白湯がおすすめです。睡眠中は体温が低く、起きたばかりの胃腸も冷えているので、白湯を飲むことで胃腸を温められます。胃腸が温められると、消化機能も活発になるので、朝食べた栄養素を吸収しやすくなるのです。
④身支度をするときに鏡で顔色、肌の状態をチェックする
腸内環境を整える上で欠かせないのが、腸内細菌です。腸内細菌のバランスが悪くなっていると、顔の一部が赤くなっていたり吹き出物ができていたり、くすみを招いたりします。
もし顔色や肌の状態が悪くても、落ち込まないことが大切です。鏡を見ることで「いち早く腸の状態を把握できた」とポジティブな考えに転換するようにしましょう。
肌の状態や顔色は、見えない腸の様子を映す鏡です。腸の状況を把握することは、腸活にとって大切ですし、腸への意識を高めると腸内環境もどんどん整っていくでしょう。
身支度ついでの顔色チェックを、ぜひ習慣化させてみてください。
できる限り、朝食はしっかりとってください。1日の中で、1番多くとってもいいくらいです。ヨーグルトや整腸剤もあわせてとることで、腸活も成功しやすくなるでしょう。
朝食をしっかりと食べると、胃に刺激が与えられ腸の蠕動運動が促され排便が誘発されます。これを胃結腸反射といいます。胃結腸反射とは、食べ物が胃に入ることで大腸が反射的に収縮し、便を直腸に送り出そうと動きはじめる反応です。胃結腸反射は、睡眠後の胃が空の状態である朝に起こります。
朝食を抜いてしまうと、胃結腸反射が起きないまま一日が終わってしまう場合もあります。
もし、食欲がないからと朝食を抜いていたという方は、ヨーグルトだけなどでもよいので、少量の食べ物を口にしてみることからはじめましょう。朝食をとることは、便秘改善だけではなく、脳も刺激されるため朝から頭がスッキリします。
①で起床時間は、出かける時間の1時間半~2時間前とおすすめしているのは、しっかりと朝食を食べ、腸の蠕動運動によって排便しやすい環境を作りだしトイレの時間を確保するためでもあります。
時間の余裕があればゆっくり食事をとれるのはもちろん、食べ物をしっかり噛み砕いて食べられます。咀嚼がしっかりできると、食べ過ぎを回避でき、肥満防止にもなります。
朝食が終わったらそろそろ排便タイムです。トイレに座る時間をあらかじめ決めておき、最低でも5分は座りましょう。排便を促すためにも、スマホや雑誌などを見ながら行うのはやめましょう。
便座には、「ロダンの考える人」をイメージして座ってみてください。便座に座った状態で、つま先を立てひじを膝につくような姿勢をとると、直腸から肛門までが直線になり便が出やすくなります。
ただし、便が出ないからといって無理にいきむ必要はありません。毎日決まった時間にトイレに座り、腸に排便タイムを覚えさせることが目的なので、5分ほど便座に座っても便が出なければ終了してもいいです。
③「起き抜けにコップ1杯の水か白湯を飲む」や⑤「しっかりと朝食を食べる」を実践すると、排便が促されます。しかし、腸内環境のバランスが悪い方は、排便タイムが来てもトイレに行きたいとは思いません。そのため、排便タイムを習慣化させるのが大切です。
通勤通学時間を利用した腸活ルーティンです。軽く息が上がるくらいの速さで歩きましょう。
エレベーターやエスカレーターよりも、階段を使う意識が大切です。可能であれば、階段も1段飛ばしで登ると運動量もアップします。運動を継続することは、腸に刺激を与え腸活にも直結します。
毎日の通勤通学を利用し運動することで習慣化しやすくなるでしょう。
腸活に直結する朝のルーティン7か条を、すべて行うのはなかなか難しいと思うので、まずは、自分ができそうなものだけをピックアップして実践してみてください。腸活を意識し、できるものを続けることが重要です。
腸活は、腸内環境を整えることで腸本来の働きを取り戻すことです。
腸本来の働きとは何か?腸が正常な働きをすると、どんな影響や健康的なメリットがあるのでしょうか。
腸の中には約100種類以上、100兆個を超える量の腸内細菌が存在しています。腸内細菌の数や種類は、食生活や年齢などによって異なります。
実は、私たちの免疫力の約70%が腸で作られているのです。つまり、腸は免疫機能を司る臓器です。腸活を行い腸内環境が整うと、腸管免疫の働きがよくなります。免疫力とは、体内でがん細胞が発生した場合や細菌や、ウイルスなどによって体内が攻撃された場合などに体を守るための自己防衛システムのことです。
腸がこれほどまでに免疫力に関わる臓器であるのには、理由があります。腸などを含む消化器官は、皮膚と同じように常に外部の細菌やウイルスから直接攻撃を受けやすい状態なので、生命を維持するためにも、免疫力などの防衛システムが必要になるからです。
今回は、腸活的朝の過ごし方7か条を解説しました。
便秘や下痢など腸の調子が悪く「腸活」に興味を持った方は、できるものからはじめてみてください。腸活は、意識の改善と毎日の継続が何より重要です。
腸活的な朝の過ごし方を理解し実践することで、腸内環境をよくしていきましょう。
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この記事を書いた人
秋山 祖久医師
国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。