内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

大腸ポリープを予防するために食べたい食材とは?

以前、ヤクルト1000の乳酸菌シロタ株が大腸ポリープを予防するとお伝えしました。そちらについて多くの反響があり、患者さまから「ヤクルト以外で大腸ポリープを予防できるものを知りたい」と要望があります。
ヤクルト1000を毎日飲むのが、難しいと感じる方もいるかと思います。また、ヤクルト1000に含まれる糖質が気になるところです。
大腸ポリープの予防が期待できる食材には、さまざまなエビデンス(仮説の検証結果から効果を証明できること)があります。そのエビデンスに基づいた、大腸ポリープを予防できる安くて無理なく手軽に普段の食事に取り入れられる食材について解説します。

1. 大腸ポリープを予防するには

ビタミンD
大腸ポリープを予防できる代表的なものは乳酸菌シロタ株ですが、それ以外にもうひとつあります。
それは、ビタミンDです。大腸ポリープを予防するためには、ビタミンDの特徴や摂り方を知っておくことが大切です。

1-1. ビタミンD

ビタミンDは、大腸ポリープの予防に効果的な栄養素だといわれています。
大腸ポリープを予防するには、ビタミンDを毎日7.5μg(マイクログラム)以上摂取する必要があります。ただし、50歳未満の方のみに対して予防効果がある摂取量です。
ビタミンDはサプリメントもありますが、サプリメントでは予防になりません。ビタミンDは、食べ物から摂取しなければ大腸ポリープの予防にはならないのです。
普段私たちがとっているビタミンDの摂取量は、どのくらいかご存知でしょうか?日本人の1日の平均摂取量は、6.9μg(マイクログラム)です。
先述した通り大腸ポリープの予防には、毎日7.5μg摂取する必要なので、0.6μg足りていないことになります。つまり無意識に食事をしていては、大腸ポリープが予防できていないことになるのです。
毎日の食事の中にビタミンDを含む食材をプラスできればいいのですが、毎日続けないと意味がありません。

2. 大腸ポリープを予防する食べ物は卵

たまご
大腸ポリープを予防するためには、毎日7.5μgのビタミンDを摂取する必要があります。
継続するには、手軽に安く手に入る食材を知っておくことも重要です。そこでおすすめなのが、卵です。

2-1. 卵を毎日食べること

卵1個に含まれるビタミンDは、約2.0μgといわれています。
毎日の食事で得られるビタミンDの平均摂取量が6.9μgといわれているので、卵1個を食事にプラスするだけで、大腸ポリープの予防に効果的なビタミンDをとることができるのです。
また、ビタミンDは、熱に非常に強い特徴があるので、どんな調理法で食べても問題ありません。生卵はもちろん、温泉卵、スクランブルエッグ、ゆで卵など、ご自身の好みや食べやすい方法で毎日の食事に取り入れましょう。

2-2. 卵は筋力アップに効果的

また、卵には、タンパク質も豊富に含まれています。卵1個に含まれるタンパク質の量は、約6gです。
国立研究開発法人の医薬基盤・健康・栄養研究所のデータによると、運動の有無にかかわらずどんな方もタンパク質の摂取量を増やすことで筋肉が増える、という研究結果が出ています。
具体的に、1日に体重1㎏あたり0.1gのタンパク質を追加するだけで、筋力量が数か月で約400g増加することもわかっています。
これは、普段から筋力トレーニングをしている方、していない方、意識的にタンパク質をとっている方、とっていない方など関係なく筋肉量が増えるというデータです。また、普段からタンパク質をとっていない方がタンパク質を追加すると、より筋肉の増加量が多いというデータもあるのです。

体重に対してどのくらいのタンパク質をプラスすればいいか、まとめてみました。
表
1日に体重1㎏あたり0.1gのタンパク質を追加する必要があるため、体重に0.1をかけると1日にプラスするタンパク質の量がどのくらいなのかが導き出されます。
タンパク質を摂り続けることは、筋肉量を増やすというよりも、筋肉量を維持することにつながると考えるとよいでしょう。

2-3. 筋肉量を維持することのメリット

筋肉量が増え維持できることは、将来のサルコペニア(寝たきり)予防にもつながります。
普段の食事に卵1個を追加するだけで、大腸ポリープの予防だけではなく寝たきりの予防にもなるのです。

3. 大腸ポリープと大腸がん

大腸検査
大腸ポリープには、大きく腫瘍性のものとそれ以外のものの2つに分けられます。
大腸ポリープには将来的にがん化してしまう腫瘍性ポリープである「腺腫」があります。大腸がんは、正常な粘膜から良性腫瘍(腺腫)ができ、なんらかの原因によってがん化するケースと、良性腫瘍(腺腫)の状態ではなくいきなりがんになるケースがあります。
いきなりがんになってしまうケースでは、早期発見・早期治療するしかありませんが、大腸ポリープからがん化するタイプは、がん化する前に大腸ポリープを切除すれば、大腸がんを予防できます。

3-1. 大腸ポリープは無症状

大腸ポリープは、自覚症状がないケースがほとんどです。
しかし大腸ポリープができる場所によっては、症状を自覚する方もいます。たとえば、肛門付近に大腸ポリープができると、排便時に血液が付着した便が出ることがあります。また、便に粘液のようなものが付着していることに気づくケースがあります。
それ以外にも、大腸ポリープが大腸を塞ぐほど大きくなると、便が細い、残便感があるという症状が出てきます。大腸がん検診で指摘されたり、ちょっとした違和感から専門医を受診し、大腸ポリープが発見されたりするケースがほとんどです。

3-2. 大腸がんの臓器別死亡者数はトップ3に入る

国立がん研究センターの2019年のデータによると、日本人10万人に対して、臓器別にがんになる人の割合をみると、大腸がんは男女ともに2位です。死亡率では男性が肺がん、胃がんに続き3位、女性は1位となっています。
特に、40歳から大腸がんにかかる方が増加することもわかっています。
大腸がんの多くは大腸ポリープががん化することで発症するため、大腸ポリープを予防することや大腸ポリープ、大腸がんの有無を確認するために大腸内視鏡検査を定期的に行なうことが大切です。
大腸がんは、早期発見・早期治療すれば完治できる病気です。また、定期的な大腸内視鏡検査を受けることで、大腸ポリープがあっても切除できれば大腸がんの予防になります。

4. 大腸がんのリスクを下げるには

和食
大腸がんのリスクを下げるには、大腸ポリープを予防することが重要です。大腸ポリープを予防するために普段の食事にビタミンDを意識的に取り入れることもいいでしょう。また、乳酸菌シロタ株を体に取り入れることも効果的です。
大腸がんや大腸ポリープの予防をするには、食生活や生活習慣の見直しも重要になります。

4-1. 食生活

大腸がんや大腸ポリープの予防には、大腸の環境を整えることがポイントです。
大腸の環境を整えるために行いたい食生活についてまとめてみました。
・動物性(飽和)脂肪をとりすぎない
・赤肉をとりすぎない
・加工肉(ハム・ソーセージなど)をとりすぎない
・食物繊維を積極的に摂取する
・野菜や果物を摂取する
・バランスのよい食事をとる
・アルコールを控える

大腸がんになる方が増えた要因の中には、食生活の欧米化も挙げられています。赤肉とは牛肉、豚肉などのことです。加工肉や赤肉をできるだけ控え、魚や大豆からタンパク質を摂取するといいでしょう。
肉を摂取したい場合には、鶏肉がおすすめです。鶏肉はどれだけ食べても、大腸がんのリスクを上げないと国立がん研究センターの予防研究グループの報告があります。
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられますが、両方の食物繊維を摂取できる食材または、食事内容を意識しましょう。
どのような食品がいいのかわからない方には、どちらの食物繊維も含まれている納豆がおすすめです。タンパク質が豊富で腸内環境を整える納豆を積極的に食べましょう。

5. まとめ

たまご
大腸ポリープを予防するためには、毎日7.5μgのビタミンDを食べ物から摂取するようにしましょう。
そのためには、ビタミンDが豊富で安くて毎日食べられる卵がおすすめです。また、卵にはタンパク質も豊富に含まれており、筋肉量の増加や維持が期待できます。筋肉量を維持することは、寝たきり予防にもなるでしょう。
食生活を見直し腸内環境を整えることは、大腸がんや大腸ポリープの予防につながります。
大腸がんは早期発見・早期治療ができれば完治できる病気であるにもかかわらず、死亡率が高いことも特徴です。大腸ポリープの早期発見・早期治療のためにも、定期的に大腸内視鏡検査を受けるようにしましょう。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。