内視鏡医師の知識シリーズ
ENDOSCOPIST DOCTOR'S KNOWLEDGE SERIES

紫外線を浴びるとビタミンDが生成されるってホント?足りない分はサプリメントから摂取しよう!

ビタミンDは、骨の健康を保ち免疫機能を高める重要な栄養素のひとつですが、食品からの摂取だけでなく、日光を浴びることでも体内で合成されるとされています。一方で、日焼け対策が普及する現代において、紫外線を避けることがビタミンD不足を引き起こすという懸念もあります。

そもそも日光を浴びることで生成されるビタミンDは十分な量といえるのでしょうか?今回は、ビタミンDは日光浴による生成量で十分足りるのかどうか、またビタミンD不足を解消する方法にはどのようなものがあるのかについて詳しく解説していきます。

1. そもそもビタミンDとは?

リハビリで階段の昇り降りをする高齢者女性
ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種で、骨や歯の健康維持、免疫機能の調節など、人体のさまざまな機能に重要な役割を果たしています。

ビタミンDの特徴として、食事からの摂取だけでなく、皮膚が紫外線を浴びることにより体内で合成される点が挙げられます。また、ビタミンDは免疫細胞にも作用し、免疫応答の調節や炎症の抑制など、免疫機能の維持にも関与しています。最近では、ビタミンDの不足が骨軟化症や骨粗鬆症だけでなく、自己免疫疾患や感染症のリスク増加とも関連していることが示唆されています。

2. ビタミンDは日光浴で十分?

皮膚は直射日光に当たることで体内にビタミンDが合成されることは先ほど紹介したとおりですが、日光浴や紫外線を浴びることに対し、必ずしもポジティブな印象を持たない人もいるかもしれません。そんな中、ビタミンDを体内で合成するためには、実際のところどれくらいの日光を浴びるとよいのでしょうか?

紫外線は「UVA」「UVB」「UVC」と3種類に分けられますが、ビタミンDを作る紫外線はUVBと言われています。このUVBは波長が短いため、室内や服を着た状態で日光浴しても皮膚に届かず、ビタミンDが合成されません。直接肌を露出して日光浴しないとビタミンDは合成されないのです。では、実際どれぐらい日光に当たればビタミンDが合成されるかというと、晴れた日に帽子をかぶらずに両手の甲、顔面を露出する程度の日光浴が必要となります。

2-1. 夏の日光浴の場合

たとえば、7月の昼12時から日光浴をした場合、ビタミンDを10㎍=400IU合成するのに必要な日光浴の時間は、那覇で5分、筑波で6分、札幌で8分となっており、全国どこで日光浴をしてもあまり差はありません。夏はどの地域でも日差しが強いことが影響をしているためです。

2-2. 冬の日光浴の場合

また、12月の昼12時から日光浴をした場合、400IUのビタミンDを合成するのに那覇で14分、筑波が41分、札幌が139分と夏季と違って大きな差が出ます。札幌の場合だと約2時間日光浴をしても400IUのビタミンDしか合成されません。しかも日光浴すれば当然日焼けもします。

日焼けをすると皮膚が黒くなりメラニン色素がUVBをが吸収するため、ビタミンDの生成量が下がってしまうといった悪循環に陥ってしまう点が大きな懸念点となります。

3. ビタミンDの合成量は脂肪の量で変わる

体重計に乗る女性
ビタミンDはもともと脂肪性のビタミンですので、脂肪がビタミンDを蓄えてしまうと血中に出てこなくなってきます。その結果、ビタミンDの血中濃度は上がりません。血中濃度が高すぎると、健康に悪影響を及ぼす場合があるので注意しましょう。

特に内臓脂肪が多い人は、どんなに日に当たってもビタミンDの血中濃度が上がってこないので太りすぎには気をつける必要があります。反対に痩せすぎの人もビタミンDが少ないため、太りすぎず痩せすぎず中肉中背がベストバランスと言えるでしょう。

4. ビタミンDの合成量は年齢でも変わる

老夫婦と孫
一般的に、年齢を重ねると日光浴によるビタミンDの合成量は下がっていきます。30代と60代を比較した場合、ビタミンDの合成量は3分の1にまで落ちてしまいます。ですから、年齢の高い人が日光浴によってビタミンDを合成するのはあまり現実的な方法とは言えません。

5. ビタミンDを食物から摂るには?

いろいろな種類のきのこ
ビタミンDの効果は、免疫力の向上やアレルギー疾患、高血圧、糖尿病のなどさまざまな疾患の予防に効果があると言われていますが、ビタミンDは食べ物からだけで摂取するのが難しいとされています。なぜなら、ビタミンDを多く含む食品は限られているためです。

ビタミンDを多く摂れるのが魚介類。その中でも、サケやイワシ、サンマなどの脂ののった魚は、日常の食卓でも取り入れやすい食材で、ビタミンDが豊富に含まれています。

また、干ししいたけやキクラゲなどのきのこ類も、ビタミンDを多く含んでいます。特に、しいたけは天日干しすることでビタミンDの含有量が増加するため、購入後に日光に当ててから調理すると効果的です。

ほかにも、卵黄や乳製品にビタミンDは含まれていますが、魚介類やきのこ類に比べると量は少なめです。とはいえ、比較的摂取しやすい食材であるため、日々の食事に取り入れることでビタミンDの補給に役立ちます。特に、ビタミンD強化乳やヨーグルトなどの製品を選ぶことで、効率的に摂取することができます。

6. ビタミンDがさまざまな病気の予防に効果的な理由

日本人の98%はビタミンD不足であると言われています。日光浴だけではほぼビタミンD不足の解消は無理ですので、残り2%の人はおそらくですがサプリメントなどからビタミンDを摂取していると思われます。

ビタミンDはいろいろな病気を予防してくれるものだと考えられていますが、なぜビタミンDが、こんなにいろいろな病気の予防に効果的なのか疑問に思われる人もいるかもしれません。その理由は実にシンプルで、体のあらゆる細胞にビタミンD受容体というのがあり、そのビタミンD受容体にビタミンDがくっつくことで、さまざまな効果が得られるためだと言われています。

7. 理想的なビタミンDの血中濃度

聴診器とグラフ
25OHビタミンDの基準値は「30ng/mL以上」ですが、理想の血中濃度は栄養学的に50ng/ml以上とされています。

ビタミンDが体内に不足すると、がんの死亡率が約1.7倍になるといわれ、逆にビタミンDが十分に足りているとがんの死亡率は0.58倍にまで減るという報告もあり、最近はビタミンDのがんとの関係にも注目が集まっています。

8. 足りないビタミンDはサプリメントから摂取しよう

ビタミンDのサプリメント
普段、ビタミンDはどれくらい摂ればよいのでしょうか?ドラッグストアなどで市販されているビタミンDのサプリメントはかなり量が少なく、たとえば、ネイチャーメイドのビタミンDの場合、1粒あたり400IU(10㎍)と記載がありますが、非常に少ないと言わざるを得ません。

今の時期、花粉症に苦しんでいる人は多いと思いますが、花粉症の人はビタミンDの血中濃度が非常に低いため、ビタミンDを多く摂った方がよいです。花粉症やアレルギーを良くする、免疫を上げる、感染しにくくするためには、2000~4000IUが必要と言われていますので、最初は1日4000IUを摂取することを目指しましょう。

9. まとめ

和朝食
以上、ビタミンDが日光浴による生成量で十分足りるのかどうか、またビタミンD不足を解消する方法にはどのようなものがあるかを説明してきました。

ビタミンDは日光浴により紫外線を直接肌に浴びることで合成することはできますが、それだけでは十分な量とは言えませんし、年齢が高くなると合成量が少なくなります。
それを補うためには、普段の食生活においてビタミンDが多く含まれる魚介類やきのこ類を好んで食べることが大事です。それでも足りない分はサプリメントによって補うのがベストと言えます。

適度なビタミンDの摂取は、骨や免疫、筋肉など全身の健康維持に重要な役割を果たしますので、普段からバランスの良い食事と適度な日光浴を心掛け、ビタミンDの不足を防ぐことが大切です。

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この記事を書いた人

秋山 祖久医師

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。