今回は、アンチエイジングについての解説です。
アンチエイジングについて興味がある方って多いのではないかと思います。
やはりいつまでも長生きしたいですしね。
福岡院の話をすると、福岡院に来院される患者さんの割合は女性の方が男性よりも多いです。
これは、女性の方が男性よりも健康意識が高いのが理由の1つです。
女性って美意識も男性より高いのですが、美意識と健康意識はイコールと思っていますので、納得できます。
ある論文の報告によりますと
暦の年齢と、普段の生活習慣の影響によって体内の細胞が老化することによる生物学的年齢が乖離していくのが40代と言われています。
つまり、暦の年齢のスピードと生物学的年齢のスピードが変わってくるのが40代ということです。
具体的な数値で言うと、なんと早い人は、40代になると、生物学的年齢が、年間2.44歳のスピードで老け、遅い人は年間0.4歳のスピードだそうです。その差約2歳!1)
1)Elliott ML,et al,”Disparities in the pace of biological aging among midlife adults of the same chronological age have implications for future frailty risk and policy” Nature Aging(1)295-308,2021
恐ろしいですよね。自分の普段の生活習慣で、暦よりも早いスピードで老けることもできれば、遅いスピードにすることもできるんです。
できれば生物学的年齢は遅くしたいものですね。
そこで今回は、アンチエイジング基礎編と実践編に分けて話をしたいと思います!
まずは基礎編で、老化はなぜ起こるのか、老化を防ぐには何が必要かを解説します。
そして実践編では、自分の生活で具体的にどのようなことを行なっていけばアンチエイジングできるのかを解説します。我々も普段から行なっている実践法ですのでぜひ参考にされてください。
基礎編
まずは、老化についての解説です。
我々の体はどのようにして老けていくのでしょうか?
それは「酸化」と「糖化」です。
酸化は別名「体のサビ」
糖化は別名「体のコゲ」と呼ばれています。
「酸化」は生き物だけでなく、植物や、金属などの無機質な物体でも必ず起こるものです。
そこに酸素がある限り必ず起こってきます。
我々は普段、呼吸して生きてます。空気中に酸素が含まれていますので、吸い込んだ酸素のうち数%が活性酸素となり、細胞を傷つけ、老化を促したり、病気になったりします。
この「酸化」は、生き物が誕生してからずっとつきまとってる反応ですので、我々の体の中で「酸化」に対する防御システムがすでに自然と備わっています。各種ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質を使って予防することができるんです。
対して「糖化」ですが、これは、体内で余った糖とタンパク質がくっつくことにより起こる反応です。
有名な例えとして、ホットケーキミックスに含まれる糖とたんぱく質である卵などを混ぜて焼くとホットケーキが出来上がります。ホットケーキはこんがりきつね色になると思いますが、このきつね色になったホットケーキが「糖化」です。
詳しく説明すると、「糖化」の過程で、糖から「アルデヒド」という物質が作られ、それがたんぱく質とくっつくことにより、AGEs(糖化最終生成物)が作られます。
これは、食べ物を調理した時に発生するコゲにもAGEsがくっついてます。
実は体内の細胞には、このAGEsが結びつく受容体が存在し、この受容体にAGEsがくっつくことにより、細胞が炎症を起こし、細胞が老化していきます。
ちなみに、「アルデヒド」ってなんかどこかで聞いたことありませんか?
そう、アルコールを肝臓で分解することで作られるあの「アセトアルデヒド」もその1つです。
つまり、お酒を飲むと「アセトアルデヒド」が作られ、これがたんぱく質とくっつき、AGEsが作られて老化が進みます。飲み過ぎ注意ですね。
さて、この「糖化」ですが、飽食時代になってから起こりうるようになってきました。
つまりは「酸化」と違い、「糖化」はまだ歴史が浅いんです。
このため、「糖化」に対してまだ体内で防御システムが発達していません。ですので、「糖化」が起こらないように自分で気をつけなければいけないことになります。
2 老化を防ぐためのキーワードは「オートファジー」と「サーチュイン遺伝子」
それではまず「オートファジー」から解説しましょう!
「オートファージ」とは、日本語で「自食作用」と言います。
体内の細胞を常に正常な状態に保つために、細胞内の様々な物質を分解してリサイクルし、新しいものに作り変えることです。
わかりやすく例えると、車(細胞)の部品を少しずつ新しい部品に交換して、常に新車の状態のように保っていると考えると良いのではないかと思います。
そしてこの「オートファジー」は加齢とともにその機能は低下してしまいます。
「オートファジー」の機能が低下すると、体内の細胞がフレッシュな状態に保たれにくくなり、これが老化の原因となってしまうんですね。
次に「サーチュイン遺伝子」についてです。
「サーチュイン遺伝子」は、日本語で「長寿遺伝子」と言います。
この遺伝子は、2000年にその存在が発表されました。
このサーチュイン遺伝子が活性化されると、寿命が伸びると言われていますが、詳しい働きについてはまだ研究中です。
現在分かっていることとしては
サーチュイン遺伝子が活性化されると
1 インスリンの分泌を促し、糖代謝を促進する。
2 脂肪の代謝を促進する。
3 神経細胞を保護して記憶や行動を制御する。
4 オートファジーを活性化する。
と言われています。
そしてこのサーチュイン遺伝子の活性化に関わっているものがいくつかあるのですが、最近注目されているのが、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質です。NADがサーチュイン遺伝子を活性化させると言われています。
NAD・・・なんか聞いたことありませんか?
そうです!あの老化防止のサプリメントで最近注目されているNMNですね!
NMNを摂取すると、このNADが体内で作られ、サーチューン遺伝子を活性化させるという仕組みです。
NMNに関してはここでは割愛します。いかがでしょうか。
・「酸化」と「糖化」を防ぐこと。
・「オートファジー」と「サーチュイン遺伝子」を操ること。
この2つが実践できれば、アンチエイジングがうまくいくことになります。
それではどのようにすれば良いか、実践編へと行きましょう!
実践編
さて、今回は実践編を送りたいと思います。
実践編は3つです。
1 「酸化」を防ぐ食材を摂る!
2 「糖化」を防ぐような食べ方を工夫する!
3 「オートファジー」「サーチュイン遺伝子」を発動させるためにはこう食べよ!
抗酸化作用の代表といえば・・・ポリフェノールですね!
代表的なポリフェノールとしては
・イソフラボン:大豆に含まれる有名なポリフェノールです。
・アントシアニン:ブルーベリーなどのベリー系に含まれます。
・カテキン:緑茶に含まれることで有名です!
・ケルセチン:玉ねぎに含まれる今注目のポリフェノールです!ポリフェノールの中でも高い抗酸化効果があると言われています。
もともとこのポリフェノールって、植物が紫外線による酸化の害から防ぐために備えられている物質です。これを我々もお裾分けしてもらおうということですね。
つまり、ほぼ全ての野菜や果物にポリフェノールは含まれています!
野菜や果物のカラフルな色だったり、食べると苦かったりするものありませんか?
あれがポリフェノールと思ってください。
現在、1日でどれくらいのポリフェノールを摂取したらいいのか、基準となる量は決められていません。
個人的には、腸活することも考えて、毎日1皿は必ずサラダで野菜を摂りましょう!
そうすることで、食物繊維も摂りつつ、ポリフェノールを摂ることもできます。
その他、普段の食事の副菜の中に野菜を調理して摂取すれば完璧です。
味噌汁、野菜スープ、野菜炒め、お鍋、カレーなど。。。野菜を使った料理はたくさんあります。
実はポリフェノールは熱に強いため、野菜を煮たり焼いたりして調理してもポリフェノールが失われることはほとんどありませんので、安心して調理してください。
次に、抗酸化作用があるものと言えば・・・ビタミンです!
抗酸化作用のあるビタミンと言えば、
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEです!
それでは、それぞれを含む食べ物としては・・・
ビタミンA:何はともあれ緑黄色野菜です!ニンジン、ピーマン、ほうれん草、ブロッコリーなどです。卵にも含まれてます!
その他、豚や鳥のレバーに豊富に含まれていますが、毎日食べるとなるとちょっと現実的ではないですね。
ビタミンC:ほとんどの野菜、果物に含まれています。が、どれだけ沢山の野菜や果物を毎日摂取しても、ビタミンCの摂取量としては十分に摂れるとは言い難いです。
それは、ビタミンCは水溶性ビタミンであるため、調理するとビタミンCが失われてしまうからなんです。ですので野菜や果物は調理せずに生で摂るのが一般的ですが、ここはサプリメントや点滴で摂取する方がより効率的だと思われます。
ビタミンE:脂溶性ビタミンの1つですが、摂りすぎても便と一緒に排出されやすいため、摂りすぎを気にする必要はありません。
ビタミンEを多く含むものとしては、アボカド、ブロッコリー、卵、ウナギなどです。
以上より、毎日効率的にACEを摂取するためには、卵とブロッコリーを摂ると良いのではないかと思います。
基礎編でもお伝えした通りで、体内で「糖化」を防ぐ防御システムはまだ発達していません。
ですので、未然に「糖化」を防ぐしかないことになります。
未然に「糖化」を防ぐポイントとしては「血糖値を爆上げしないこと」と「食べ物からなるべくAGEsを摂らないこと」です。この2つさえ押さえていれば大丈夫です!
まず、血糖値を爆上げしないようにする基本としては、
・しっかりと3食を摂ること!
・腹一杯食べないこと!
・ベジタブルファースト、プロテインファーストを常に意識する!
です。
きちんと3食しっかりと食事を摂りましょう。朝食を抜く人がいますが、昼食後に血糖値が爆上がりしますのでダメです。そして、腹7分から8分くらいにしておきましょう。
また、食事を摂取するときの基本としては、野菜やタンパク質豊富な食べ物から先に食べましょう。その後主食である糖質を摂ることで血糖値の上昇を防ぐことができます。
次に食べ物から「AGEs」を摂りすぎないことです。
基礎編でも解説しましたが、「糖化」とは余った糖とタンパク質がくっつき、最終的にAGEsが作られ、これが細胞を老化させると説明しました。
実は、食べ物を調理すると、調理した食べ物にもAGEsは含まれています。
AGEsが含まれやすい調理法を上から並べると
・揚げる
・焼く
・炒める
・煮込む
・蒸す
・茹でる
・なま
となります。つまり、焦げたものやこんがりきつね色になったものにはAGEsが含まれやすいということになります。
調理した食べ物に含まれるAGEsの1割が体内に残ると言われています。もちろん、焦げは調理の中で必ず起こるものであり、それが料理を美味しくする工夫ですので、食べないようにすることは不可能ですし、そこまで神経質になる必要はありません。
ただ、そういう知識だけは持っておきましょう!
また、基礎編でも話をしましたが、アルコールを肝臓で分解すると、最終産物として「アセトアルデヒド」が作られます。
この「アセトアルデヒド」がたんぱく質とくっつき、AGEsが作られますので、お酒の飲み過ぎにも注意しましょう!
3 「オートファジー」「サーチュイン遺伝子」を発動させるためにはこう食べよ!
最後に、老化を防ぐためのキーとなる「オートファジー」「サーチュイン遺伝子」をうまく発動させるために、普段の食事で気をつけることを説明します!
・腹一杯食べないこと!
お腹いっぱい食べると、サーチュイン遺伝子の活性はオフになりますし、オートファジーも発動しません。1回の食事では腹一杯食べないようにしましょう。
・腹7~8分で済ませましょう!
ある実験では、腹7分程度でサーチュイン遺伝子が活性化されるという報告があります。
腹7分の目安とは、食事を済ませた後、同じ量をもう一度なんとか食べることができる量のことです。
そもそも人間を含む生き物は、ある程度のカロリー制限をすると寿命が伸びると言われています。
私も常に腹7~8分で済ませてます。食べ過ぎないようにしましょう!
・12時間程度の絶食時間が理想的です!
以前の動画でも解説しましたが、オートファジーは空腹が続くことで発動します。ただ、朝食を抜くような16時間絶食は、昼食後に血糖値が爆上がりして「糖化」を促してしまいますので要注意です。
ここは12時間絶食で十分です。これなら19時に夕食を済ませ、翌日朝7時に朝食を摂れば12時間絶食が完成しますのでオートファジーもきっちり発動してます。
・夕食を食べてすぐ寝ないようにしましょう!
オートファジーは食事を摂ると一時的に機能が低下します。
そして、睡眠によりオートファジーは活性化されますので、夕食を食べてすぐに寝るとオートファジーの機能が低下した状態がスタートになるので効率的ではありません。
ここは、ケトフレックス12/3に則り、夕食後3時間は空けてから寝るようにしましょう。
そうすれば効率的にオートファジーの機能を揚げることができます。
・間食はなるべくやめましょう!
先ほど話した通り、オートファジーは食事を摂ると機能低下します。つまり、ダラダラと食べているといつまでたってもオートファジーが発動しません。
ですので、3食の間に間食をすると、オートファジーの機能が低下したままですので、なるべく間食は摂らないほうが良いです。
以上になります。早速今日から実践してみましょう!
そしてアンチエイジングして、楽しい人生を過ごしましょう!